「春一番」が吹いたのはつい先日のことながら、数日にして「夏が来た!」ような陽気にもなろうとは。キャンディーズだってそれぞれのシングル盤リリースには3カ月ほど間が開いているというのに…と、そんなことが思い浮かぶのも「昭和歌謡ミュージカル」の名残りが頭の片隅あるからかもしれませんですなあ。

 

されど、それはともかくとして、ぽかぽか陽気に釣られて東京都心へ。日本橋界隈をぶらりとしてきたのでありますよ。散歩の終着点を東京駅に置き、ぶらりの締めには東京ステーションギャラリーで開催中の「佐伯祐三 自画像としての風景」展を見てくるか、という目論見だったわけですが、いざたどり着いてみると当日券の購入に行列ができていたという。結局のところ、行列を横目で見ながらそのまま改札を抜けて帰ってきしてしまいましたよ。とにもかくにも、行列には近寄らないたちだものですのでね。

 

ともあれ、何度も歩いている日本橋界隈ながらこれまで気付いていなかったようなこともあるものだと。展覧会という主目的は失われたものの、それなりにお楽しみがあるそぞろ歩きでありましたよ。

 

まず向かったのは、日本橋ならぬ江戸橋。日本橋川沿いに隅田川方向にひとつ隣の橋ということになりまして、昔の浮世絵師が日本橋を描くのに江戸橋から望む景色を取り上げていたりしますように、繁華な日本橋からちょいと外れた脇役が江戸橋となりましょうか。

 

 

上を首都高が通っていている点は日本橋と同様ですけれど、開けた分だけ明るい雰囲気でしょうか。もっとも、ここが橋だかどうだか一見したところでは分からないくらいですけれどね。辛うじて橋のたもとの小公園に立つ親柱でもってそれと知れるてな具合です。

 

 

と、この親柱のある橋のたもとには、日本橋川に面してかような高層ビルが建っているのですな。いささかレトロな外観は元々のビルの姿でしょうか。それを外壁として残しつつ、敷地中央にどどんと大きなビルを建てる方法は、歌舞伎座やら東京中央郵便局やらと同じ発想で、同じような再開発は数多く行われているわけで。

 

 

旧ビルは経済産業省が認定する「近代化産業遺産」となっているようですけれど、これが文化庁のいう「近代化遺産」とは別ものらしい…とはなかなかにややこしいところではありますね。

 

 

ところで、現在は「日本橋ダイヤビルディング」となっているも、かつては「三菱倉庫江戸橋倉庫ビル」として昭和5年(1930年)に建てられたということなのですけれど、きわめてざっくり日本橋は三井村、丸の内は三菱村と思っていたところへ、この日本橋川沿いにどぉんと三菱のビルが建っているとは…。

 

実はこのビルの一階エントランスに「三菱倉庫・江戸橋歴史展示ギャラリー」という展示コーナーがありまして、中央区が区内のあちらこちらに設定している「まちかど展示館」のひとつとなっているのですね。墨田区で展開する「すみだ小さな博物館」と同じような趣向でありましょう。墨田区の方ではちょいと前に訪ねた両国の「NTTドコモ歴史展示スクエア」が「小さな博物館」だったですが、中央区の「まちかど展示館」の方でも「小津史料館」やら「Daiichi Sankyo くすりミュージアム」やらを覗いたことがありまして、それぞれ面白かったなあと。

 

とまれ、なぜここに三菱が?…といったあたりも含め、歴史展示ギャラリーを覗いてみれば分かるであろうかと、中に入ってみたわけですが、ちと長くなってきましたのでお話は続く…ということで。