そういう施設が日本橋 にあることは以前から知っていて少々気になっていたですが、
そちら方面へ出かけるついでにちょいと覗いてみることしたのが、
「Daiichi Sankyo くすりミュージアム」でありました。


その名のとおりに医薬品メーカーである第一三共がやっている企業博物館 ですけれど、
江戸期より日本橋本町は薬種問屋が多い土地柄であったらしく、

今でも第一三共のほかにアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品の合併会社)や

興和といった会社のビルがここにあるのですな。


そんな日本橋本町の一角に大きなビルを構える第一三共の1階に

「くすりミュージアム」はあるものの、再開発されて賑やかになった室町あたりからは

ちと引っ込んだところですので目立たない。
それだけに穴場的なスポットといえるかもしれません。


企業がPRの一環でやっていることでもあり、当然に無料なわけですが、
なかなかに凝った体験型ミュージアムになっている。


受付ではまず「コイン」なる薄い今川焼き状のものを渡されて、
展示のそれぞれにある「コインを置いてください」の場所にセットすると解説が始まったり、
はたまたゲームが始まったりするというような仕組みでありました。


子供受けもする設えながら、説明はどう考えても子供には無理でしょ?!という内容が
何ともアンバランスな印象を与えますので、大人が遊び心をもって臨めばいいのかも。


ただゲームもやってみたですが、心筋梗塞やインフルエンザの発病の仕組み、
その病気に対して投薬する薬はどういう効果があるのか、

また投薬することで症状がどうなるかといったことが示された後に

「それではウィルスを撃退してみましょう」となって、エアホッケーのような要領で
画面に映し出されるバーチャルウィルスを弾き返していくといった遊び方。


どうも要領が悪いのか、

画面上で動かすマレットを感知する機能が鈍いのか(個人的には後者だと思いたい…)、
どうにもウィルスを撃退しきれない…で、「ウィルスを取り除けませんでした」てな表示が
目の前に。

自分の体の中のことではありませんけれど、いやあな気分になるものでありますよ。


解説の方は、天然素材から薬効成分を見つけ出すことや

見つけた薬の「素」を実際に薬にできるかということなどに
不断の努力を傾注しているようす(この辺りが製薬会社の知ってもらいたいことでしょう)を

分かりやすく説明してくれていて「ふむふむ、なるほど」と。


病気のときに薬を飲んで、「薬が効いた」てな言い方をしますけれど、
この時に薬が病気を撃退したものと思ってしまうところながら、
その実、薬が作用するのは体の機能の方であって、

病気の状態を改善させる方向に人体の機能を向けた結果、
病気が軽減したり、治ったりする。どうも勘違いしがちな部分でもありますね。


加えて、言われてみればこれも当然と言えば当然と思うものの、

薬の飲みどきの話にもこれまた「なるほど」と。


一般に薬には「食前」「食間」「食後」と服用するタイミングが示されますが、
食間とか食後とかの胃腸の状態を想定して、

薬の溶ける位置(胃なのか腸なのか)や溶けるのに掛かる時間などを
計算して作られていたのですなあ、薬は。


糖衣錠というコーティングされた錠剤がありますけれど、
薬がむき出しだと苦いし飲みにくいから包んである…のではないようで、
コーティングしてある分(コーティング部分が溶けるのに時間がかかる分)、
例えば薬が胃で溶け始めないで腸で溶けるように…といった深ぁい?考えのもとに

できているようで。


そうそう、これまた当然とは思うものの、薬を飲み際にはくれぐれも水か湯冷ましでと。
それ以外の何か(説明にあったのは極端な例でしょうけれど、ジュースとか牛乳とか)で飲むと
そのものに含まれている成分が薬とぶつかることにもなって、

効果が出なかったり、逆に強く出たりする。
それだけ特別に凝縮させた成分で薬ができているというでありますね。


できることなら余り頼るようになりたくない「薬」ではあるものの、
お世話になることが全くないわけでないものですから、

「大丈夫だろう」という思い込みで飲むタイミングを適当にしたり、

コーヒー飲んでるついでに薬を飲んだりしてはいけんのだと改めてよおく分かりました。


最後にひとつ思ったことは、そういう人体に大きく関わる薬だからこそ、
企業という営利組織がその製造に携わっているのはどうなのだろうなあ…と。


営利目的であるということと極めて高い倫理観を持つということが、
歴史のさまざまを思い返しても人間には難しいことだろうなと思うものですから。
もっとも、この点は製薬会社に限った話ではないのですけれど。


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