相も変わらず激しい雨が断続的に降ってくる中でしたので、ぶらり函館の街歩きというわけにもいかず(後に決行しますが)、差し当たりバス利用で出かけたのでありますよ。別に函館バスの回し者ということでもありませんが、ここで利用したのがこちらのバスになります。

 

 

「五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバス」というものでして、今回の函館行にあたっては「そうだ!五稜郭に行こう!」という話になっておりましたのでさもありなむなのですが、ここでまず目指したのはトラピスチヌ修道院の方であったのですなあ。

 

そもトラピスチヌ修道院への交通アクセスは、ガイドブック(手元においたのは「まっぷる」最新版)に「バス停トラピスチヌ入口徒歩10分」と案内されていたところながら、雨の心配の中、徒歩10分はずぶ濡れ必至とも思ったものなのですね。

 

さりながら、件のシャトルバスを使う限りにおいては通常の路線バスの「トラピスチヌ入口」なるバス停とは別に「トラピスチヌ前」という停留所がある。まあ、幾分かでも近いところに停車してくれるのであろうと推測したのでありますよ。

 

バスは市街地を通り過ぎ、もはや山間部と思われるあたりを通りましたですが、ふいと「トラピスチヌ入口」というバス停を通過するや、脇道に入って上り坂をぐんぐん登っていくのですな。路線バスで来た場合には、この坂道を10分、登らなくてはならなかったのであるなと、改めて恩恵あり感が湧いてきますとほどなく、バスは「トラピスチヌ前」のバス停に到着。確かに、修道院の目の前まで連れてきてもらえたのでありました。

 

 

折しも雨は小降りになって、その間にささっと見学可の庭のあたりをひとめぐり(修道院の建物などは完全に閉鎖空間になっておりますよ)することにいたしました。

 

 

それにしても、6月も末のこの時期、北海道ではツツジの季節なのですなあ。そういえば、そこここで見かけたあじさいもまだまだこれからという印象でしたし。やはり気候はかなり違いますですね。と、奥に見えている2体の白い像は教会などでも見かけることのある聖地「ルルドの洞窟」を模したものということで。

 

 

画像ぼんやりの白い姿からは、ついベックリンの「死の島」を思い出したりしてしまいすが、どうも不敬な想像でもありましょうかね。

 

ところで、そもそもトラピスチヌ修道院とは?ですけれど、クッキーで知られるトラピスト修道院が男子修道院として北斗市にある一方、こちらは女子修道院ということです。

 

1898年(明治31年)にフランス、ウプシーのトラピスチヌ修道院から修道女8名の派遣を受けて、設立されたのだそうです。正式名称を「厳律シトー会 天使の聖母トラピスチヌ修道院」というこの施設は、その後会員(修道生活を送る方のことでしょうか)が多くなったことから、「西宮の聖母修道院」(兵庫県加古川市)、「伊万里の聖母修道院」(当初は福岡、現在は佐賀県伊万里市)をそれぞれ設立するに至ったそうな。こういっては何ですが、それほどに修道生活を送る方々が日本にもおられるのですなあ。

 

ちなみに、「祈りと労働を主要な手段として神と人々に奉仕する隠世共住修道会」であるというこちらの修道院では、3時半に起床、19時45分に就寝と、睡眠時間の長さは一定確保されているものの、起床就寝の時間だけとってもいわゆる浮き世とは一線を画した生活でありますね。さらにその一日はと言えば、まさに祈りと労働なのですから、それを思えばやっぱりこの暮らしをされる方々がおられるのではあるなあ…と改めて。

 

 

とまれ、そうした労働の成果物でありましょう、売店で販売されていた「マダレナ」という焼き菓子を買い求めてきましたですよ。「マダレナ」というのは要するによくあるお菓子の「マドレーヌ」のことと思っておりましたら、「マダレナの名前の由来は、裏側のシェル(貝)の模様が涙のあとに似ていることから、聖マダレナ(マグダラのマリア)にちなんでつけられたそうです」との紹介が「函館市公式観光情報 はこぶら」というサイトに。さて裏側の模様を確かめて見ようと思ったときには、すでに食してしまっており…(笑)。

 

それにしても日本の函館にあって修道院を訪ねてみれば、しばらく前にベルギー、ブルッヘ(ブルージュ)のベギン会修道院を覗いたときのような気分になったり。しばし束の間の異国体験のようでもありましたですよ。