この間は「日常生活を送る場では季節のうつろいにあまり目が向かないような…」てなことを申しましたですが、そうした気付きが反って近所に目を向けることになったか、普段図書館やら買物やらで通りすがる道沿いにも「ああ、こんなにもあじさいが咲いていたのであるか…」と今さらながら。まあ、季節柄ではありましょうけれど、先日の花菖蒲詣でに続いてこの時期ならでは、あじさいを愛でて周ることにしたのでありますよ。至って近所の散歩ではありますが(笑)。
あじさいの花言葉は「移り気」とも言われますように、色が変わっていく花であるとは知っておりましたけれど、咲き色が実にさまざまだったのですなあ。と、初めて気が付いたわけでもありませんけれど、これまで通りすがっても気にかけていなかったからでありましょうね。単純には水色と思っておりましたが…。
白い花はともかくとして(と、俄か仕込みの知識が追い付いていないだけですけれど)、あじさいの花の色は土中に含まれるアルミニウムが関係しているということなのですなあ。アルミニウムそのものは吸収できないので、アルミニウム・イオンの形となったものをたくさん吸い上げるとこれがあじさいの持つアントシアニンと結びついて、花は青くなるのであるとか。このとき、酸性土壌ならばアルミニウムがイオンに分解しやすいので、多く供給されて花は青となり、アルカリ性土壌であれば吸収が少なるのので花は赤くなる、というのが基本的なところであるようです。
先にターシャ・テューダーが庭づくりにあたって、土のphを気にかけていたましたけれど、ターシャの庭にあじさいがあるかどうかはともかくも、土は大きく影響しておるのであるなと、これまた改めて思うところでありますよ。ですので、あじさいの花の色はコントロールできるわけですね、土づくりによっては。
ところで、あじさいの花の色のバリエーションにはなんとなく付いていけたものの、実は花の形そのものもあれこれあったのとは思いがけず。ま、これまでじっくり眺めることもありませんでしたのでね。
素人目ですので、もしかするとあじさいではない種類が混じっているかもですが、ご容赦を。まあ、そんなふうに「本当にあじさい?」という気持ちもいささか生ずるようにさまざまに見えたものでして。
とまれ、近所の散歩で見かけた範囲内だけでもあじさいの多様性に「ほお~」と思ったわけですけれど、個人的にはいわゆる「がくあじさい」という種類でしょうか、このパステル・カラーをちりばめた、あたかもキャンディー・ボックスのようなのが「何ともかわゆいのお~」と。
それにしても「花の色はうつりにけりな」ではありませんけれど、今を盛りと咲き競うあじさいたちもやがて枯れ尾花のようなかさかさになっていって、いつのまにやらそこにあじさいがあったのかというほど、ひっそりと姿をくらましてしまうのですよね。それがまた翌年の同じ頃、待ってましたと「ここにいましたよ!」と立ち現れる。そんなことにも植物のすごさを感じたりするところです。動物より遥かに長い年月を生き延びてきていることにも思いをはせたりすのでありました。近所を散歩しただけで大げさですけれどね(笑)。