…ということで、山梨県北杜市小淵沢、お泊り勝手のアパートから帰ってまいりました。
北は北海道、南は九州、沖縄まで緯度に開きがありますので一概には言えませんでしょうけれど、日本には四季がありまして、季節が移ろうさまがよおく感じ取れるわけですな。まあ、東京にいても分かるといえば分かるわけですけれど、どうなんでしょう、今一つそこに目が向かないような。もっともそれは東京だからということよりも、日常的な生活の場として日々を送るのに精一杯だったりするからでもありましょうかね。
むしろごくごく日常の場であるところから少々離れた方が目を向けやすいのか、はたまた里山という、それこそ自然に溢れた場所に出かけたからなのか。果たして日常的に自然に近いところにお住まいの方々にとってはどうなんであろうかな…などと考えたりもしたものでありますよ。
とまれ、しばらく前に「おお、咲いてる咲いてる」なんつうふうに思った神田の大糸桜にしても、といってこれはわざわざ訪ねずともJR中央本線の長坂駅から小淵沢駅へと向かう右側の車窓から瞬時眺めることができるのですけれど、すっかり葉桜になっているなあと。やはり季節は移ってゆくのですよね。もそっとアパート身近で言いますと、すっかり散歩コースとして馴染みになった八反歩堰という疎水沿いの遊歩道などを歩いても、今やすっかり辺りの田には水が満たされて田植えも終わっていたりするわけで。
この場所に限らず、いつもその威容を見せてくれている甲斐駒ヶ岳がすっかり雲に隠されて…。まあ、これもまた湿気が多くなり、雲が多くなり…という季節の移ろいのなせるわざではありますね。で、ふと気づいてみれば田んぼに張られた水面に大空の雲が鏡写しになっている。田んぼアートとは普通借り入れが終ったあとでもあろうかと思うところながら、これはこれでこの時期ならではの田んぼアートかもしれませんですね。
田んぼが近くにある方にとってはなんてことのない景観ではありましょうが、東京住まいの者にはこんなことにも「!」と思ったりするのですから、いかに自然貧乏であるかということで(笑)。
馴染んだ散歩コースの八反歩堰を歩いてたどり着くのは大滝湧水公園というのがお決まりのルートでして、田んぼの向こうにぽっかりと口を開けたトンネル、上を中央本線が通っておりますけれど、このトンネルを潜った先に公園はあるのですな。
公園の片隅、というより大滝神社の境内といった方がいいように思いますが、きれいな湧き水を使って設けられているわさび田にも、今では日除けの紗がかけられて、これもまた季節が進んだことの表れでありますね。紗の中ではわさびの青々とした葉が大きく繁っておりましたよ。
と、ついでですから湧水をペットボトルに汲んで帰ろうと思ったところ、「ん?!」と。大滝湧水と言えば、苔むした大木が樋状になってそこからじゃばじゃばと水が流れているわけなのですけれど、樋が新しくなっているではないか!と。
どういうタイミングで代替わりさせるのかは詳らかではないながら、これもまた季節ならぬ時の移ろいを感じたりしたものです。
と、かような散歩コースはもっぱら南に開けた斜面の方向なのですが、今回はこれまであまり踏み込んでいなかった北側に上る方向にも出かけてみることに。アパートの裏手の方へとだらだら上っていきますと、ほどなく舗装路は終わり、かような、それこそ「このまま進んでいいのか…」という道に様変わりするのですな。すっかり山道と言ってもよろしいかと。
木立の中をゆるゆると進むこと30分弱で車道に合流、このちょいと先でレインボーラインという道と交差し、左に折れると星野リゾートやその先には道の駅などがありまして、にぎやかになるのですが、手前のこのあたりは実に静かなものでありますよ。
で、今回はそのレインボーラインとの交差点を曲がらずに直進。交差点のところに小さな看板がなかったなら、こんなところに観光スポットがあるとは思わないでしょうなあ。散歩ついでに目指していたのは「小淵沢絵本美術館」なのでありました。
とまあ、そんなことでありますので、次の機会に「小淵沢絵本美術館」を訪ねたお話となってまいるのでありますよ。