山梨県北杜市の桜見物で谷戸城址を訪ねたところ、桜の話になる以前に甲斐源氏と城址見物の話になってしまいましたので、ちと仕切り直し。改めて谷戸城址の桜に目を向けてみようかと。

 

 

 

といって、谷戸城址の桜の本来はかように一本一本見ていく類いではなして、全国的な桜の名所である吉野山を引き合いに出すのもなんですが、多くの桜が山肌を埋めるような景観とでも申しましょうか、そういう方向のものではないかと思ったところながら、そうした状況にはまだ些か早かったのかもしれませんですね。

 

そこで畢竟、遠望を兼ねた景色の部分として見てしまったりもするのですよね。何せ山の展望には事欠かない場所であるわけでして。まずは樹間から垣間見る八ヶ岳でありますよ。

 

 

 

そして城址の頂上部、一の廓の土塁上から眺める南アルプスです。正面に鳳凰三山、右側には北岳の頭の部分が見えておりますなあ。小淵沢の「三峰の丘」あたりから見るのとはまた違った眺めとなりまして、甲斐駒とは違ったどっしり感が味わえるのですな。

 

と、これまた桜の話よりも山の眺めの話になってきておりますが、近くにあるまた別の桜のお話ということで。谷戸城址のほど近く、こうした造り酒屋があるのでありますよ。

 

 

なにやら「いかにも」な感じの佇まいですが、右手の塀には表札のように「谷櫻」と…ま、写真では小さすぎて読めないでしょうけれど。ともあれ、谷櫻酒造という酒蔵でして、もちろん地元では夙に知られた存在ですな。大滝神社の社殿にも、このように酒樽が奉納されていたりして。

 

 

山梨の日本酒というと(個人的にはかもですが)まず「七賢」を思い浮かべるのですけれど、「七賢」の方は甲州街道の台ケ原宿にあって南アルプスの伏流水が使われているという。その一方でこちらの「谷櫻」は八ヶ岳の伏流水で仕込んでいるという。水の違いは個性の違いに反映することでありましょう。

 

ともあれ、せっかく目の前まで来たわけですから、敷地内の直営店に立ち寄ることに。状況的に「蔵見学」は休止中ということですのでね。

 

 

お店には「古銭屋」と染め抜かれたのれんが掛かっておりまして、嘉永元年(1848年)の創業当時、「蔵の敷地より大量の古銭が出土したことから 「古銭屋」という屋号としても親しまれてきました」(同社HP)とのこと。では、現在の社名になっている銘柄「谷櫻」のいわれは?と思うところですが、オフィシャルサイトからは伺い知れず…。桜で知られた谷戸城址に近いからとは想像するも、お店で尋ねておけばよかったですなあ(後悔先に立たず)。

 

ということでここでは「谷櫻 味吟醸」なる一本を手に入れ、後から味わうことに。「花見で一杯」ならぬ「花見と(のちの)一杯」ということになった桜見物の一端ではありました。