『スターウォーズ』、『スーパーマン』、『インディー・ジョーンズ』、そして『E.T.』…と、これらはみな、音楽が似ているように思えますなあ。まあ、ジョン・ウィリアムスというひとりの作曲家が手掛けたのだからと思っていたわけですけれど、その後に手掛けた『シンドラーのリスト』あたりを思い浮かべますと、決してワンパターンではなかったのであるなと思い知らされたわけですが…。

 

とまれ、同じ作曲家が手掛けるとどうしても「似てる」と思うことしばしでもあるところでして、三重テレビ制作の歴史もの(?)のドキュメンタリーをいくつか見ていてもまたそんな印象が起こっておるわけで…。

 

地方TV局が相互に制作番組をやりくりしているのか、基本的には見られようはずもない三重テレビ制作の番組が東京(といっても多摩ですが…)TVK(テレビ神奈川)やテレ玉(テレビ埼玉)で見られるもので、最初に見たのが『斎王〜幻の宮の皇女〜』(2016年)でしたなあ。これを見ていて(と、それだけの理由では無いながら)、やがて伊勢路を巡って斎宮跡にまで行ってしまったくらいですので、興味深く見たと言ってよろしいかと。加えて、これのテーマ曲が結構脳裏に焼き付いて、折に触れては我知らず、鼻歌で出てきたりもするという。

 

そして、やはり三重テレビ制作の番組である『芭蕉が詠む祈りのこころ』(2015年)、『音楽の源流~御食国の鼓動』(2017年)、『祈り~神と仏と~』(2020年)、『氏神さま〜私たちの身近な祈り〜』(2021年)などなど、(制作年順に見たわけではないものの)次々と見かけるに及び、三重県にとって伊勢神宮おひざ元という感覚は相当に特別なものなのであるなあと、こうした番組制作が続けられていることで思い巡らしたりもしたものです。

 

ところで、先に『斎王』を見て鼻歌にも出てくるようになったというテーマ曲ですけれど、類似番組に使われている曲がどうにもどれもこれも「似てる」のですよねえ。改めてオープニングのクレジットに目を止めてみれば、音楽は嗣音奏多とされている。興味を持ってネット検索に及ぶわけですが、なんでもインターネットで調べられてしまうようなご時勢にあって、この音楽家がいったいどういう人なのか、一向にヒットしないのですなあ。多少関わった楽曲については出てくるものの…。かほどに情報を得られないというのは、近頃では珍しくもあるような気がしたものです。

 

一方で、嗣音奏多の曲では(『斎王』に使われていたものも同様ですが)非常に二胡の音色が印象的に使われておりますなあ。でもって、賈鵬芳(Jia Peng Fang)という二胡奏者による演奏が多いということだけは分かりましたので、ジャー・パンファン(カタカナ書きではもっぱらこのように表記されているのでとりあえず)の演奏を、CDで聴いてみることに。近隣図書館にあったものは嗣音奏多の曲ではないのですけれど、ともかくベスト盤ではあるようで。

 

 

しばらく前までは「二胡」と「胡弓」の区別もついておりませんでしたけれど、いささか探究したことで違いがわかるようにもなってはおりますが、前者が中国の楽器、後者が日本の楽器…と言ったところで詮無い話。形状の違いとして胡弓は三味線を立てて弓で弾いているというふう、二胡の方は胴体部分が八角形になっておりますなあ。

 

と、聞きかじりはともかくも、二胡の音はポルタメントかけまくりといいましょうか、その独特の節回しはいかにも中国という印象なのですが、これが不思議と懐かしさ、郷愁といったところと結びつくような。ベスト盤というだけあって、ジャー・パンファンの演奏のために作られたオリジナル曲が主でもって、例えば「Silent Moon」や「Sweet Dreams」あたりは齢重ねた者にとっては何とも涙腺を刺激するものになっておりますですよ(いずれもYoutubeなどでヒットすると思いますので、一度お試しあれ)。

 

まあ、当初の探索目的からいささかズレてきてしまったものの、辿り着いた先で耳にしたメロディーには満足する結果とはなったのでありましたよ。