青森まで出かけて三内丸山遺跡を見てきたとなれば、遺跡のほぼお隣にあると言ってもいい

青森県立美術館(奈良美智の手がけた巨大犬『あおもり犬』で有名ですな)に立ち寄るのは必定…ながら、

こたびは故あってスルー(再訪を期す!)いたしまして、その代わりに?覗いたのが

あおもり北のまほろば歴史館なのでありました。

 

 

棟方志功記念館から三内丸山遺跡に向かって

直通の「あおもりシャトルdeルートバス ねぶたん号」に乗って移動しましたですが、

途中でこの歴史館前に停車した際に目に留まったのが、こちらの船でありまして。

 

 

「おお、これはヴァイキング船ではないか!」と、一瞬にして8年前に出かけたノルウェーのオスロで

ヴァイキング船博物館を訪ねた記憶が蘇ったものでなのでありますよ。

 

そんなこともあって立ち寄ることにした歴史館ですけれど、ヴァイキング船が屋外展示されているのは

まあ、単に海と関わる民俗文化の一端てなことでありましょうか。実は特別な関係が語られるでなく…。

 

 

ともあれ館内に入りまして、すぐに目についたのが「アイヌの紋様展」という企画展でありました。

アイヌといえばすぐさま北海道を思うところながら、かつて縄文の人たちも津軽海峡を行き来したとすれば、

アイヌの人たちもまた当然にして本州北端部に暮らしていたとしても不思議は無いわけですね。

 

 

まあ、縄文の人たちとアイヌ民族を並べてしまいますと、時代的にアイヌの方々に申し訳のないところながら、

プリミティブな造形の妙をどうしても感じるところではなかろうかと。

また、自然素材の活かし方にしても、何でも「買う」ことで補う現代人には忘れられたものでしょうなあ。

 

とまあ、そんな感慨を抱きつつ常設展の方へ足を向けたわけですが、これまた「これだけ?!」と思った矢先、

開いた一枚の扉の向こうにはなんとも巨大な展示空間が広がっていたのでありますよ。

 

 

 

こちらこそがメイン展示だったわけでして、考えてみればすでに建物の外側からガラス越しに透けて

中の展示が見えていたことに気付いておらず…。扉一枚手前でもって、「もはやここまで?」とうっかり、

帰ってしまっていたかもしれないところでした(笑)。

 

「あおもり北のまほろば歴史館」は青森市を中心とした郷土の歴史や民俗を総合的に紹介する展示施設です。

とまあ、このようにHPにあるとおりではありますけれど、いささか雑駁な展示であるなとも思われて…。

 

ともあれ、広い展示会場に入るとすぐに目をとめることにあるのが、1/4スケールの帆船模型ですな。

外にヴァイキング船が置いてありましたように、海、港、船…というのは海峡を目の前にした青森を考える、

キーワードになるのでありましょう。

 

 

これは「江戸時代中期以降に活躍し」たという北前船ですな。

船の種類としては「弁才船(べざいせん)」というものに当たるようですけれど、

外にあるヴァイキング船が船首から船尾にかけて通った竜骨でもって船底が三角形なのに対して、

平底になっているのが和船の特徴のひとつなのかもしれません。

 

しかしまあ、海とのつながりは確かにあるにせよ、

これほどの船が折り重なるように展示されていても、ここは艇庫なのかとも…。

 

 

されど、ここにあるのは「ムダマハギ型漁船」と言われるものだそうでして、

北日本地域に特有の構造を持っているころから、この67隻ものコレクションは

国指定の重要有形民俗文化財となっているとは、御見それいたしました。

 

もちろんこのほかにも、先に館内を俯瞰した写真にありますように、

昔の生活を当時使われていた道具などともに偲ぶコーナーもありますし、

青森市ゆかりの人たちを紹介するところも。三浦雄一郎や淡谷のり子などが紹介されておりましたよ。

 

と、雑駁なと思ってしまった展示を雑駁に見て回ってしまいましたですが、最後にひとつ。

この博物館には展望室があるのですなあ。エレベータに2階…とは低いのかと思うと、さにあらず。

途中階がないままに展望塔になっていたのでありました。

 

 

高さ的に遮るものがないので見晴らし良好、遠く八甲田山(たぶん)が望めましたですよ。

青森県の山というと、ついつい岩木山を思い浮かべてしまう(個人的見解です)のですが、

八甲田もこんなふうに望めるのですな。青函連絡船の船名に使われるのもなるほどと。

 

ということで、あおもり北のまほろば歴史館をひと巡り。

果たして青森が北の「まほろば」であるかはもそっと深い探求が必要な気がしましたですが、

そも青森が北のまほろばであるとは、司馬遼太郎が『街道をゆく』で記したことであるようで。

三内丸山遺跡があったことまで遡ってみれば…ということでもあるかもしれませんけれど。