ドイツ・ライプツィヒの造形美術館を訪ねたところで、テーマごと、展示室ごとに振り返っておりましたら、
やたら長期連載になってしまいましたですが、ようやく最終回は落穂ひろいということで。
ここまでに取り上げなかった作品を拾い集めてみたのでありますよ。
まずは心温まるふうの一枚、19世紀末にイエスがやって来た…とまあ、そんな感じですかね。
作者はドイツ印象派のひとりとされるフリッツ・フォン・ウーデですけれど、子どもが描き込まれる絵が多く、
どれも和む感じが伝わりるもので、これもやはりそうした一枚でありましょう。
こちらはなんともシュール(?)な作品でありますねえ。
次々と人の頭部が切り落とされてキャベツ?にすげ替えられていく…というふうに見てしまったものの、
後から調べてみますと、「Lass dich umbacken in Eeklo」というタイトルがヒントであるようです。
ネーデルラントの無名作家が1550年頃に描いたものですけれど、この絵が描かれた当時、
フランドルのエークロという町では、頭を切り落としてオーブンで焼き(確かに左奥にオーブンがある)、
元に戻すと若返るということがまことしやかに伝えられたのだとか。
ただ、実際に試すともう元へは戻らないので、人口激減は必至でしょう。
長続きはしなかったのでは…と想像するところです。
と、こちらは女性のスタイルからしてクラーナハ?とも思うところですけれど、
ケルンのマイスターの作(つまりは作者未詳)として1470年頃に描かれたというですので、
クラーナハが生まれる前ですな。この頃のドイツの人たちには細身が好まれていたのでしょうか。
細身の女性像はクラーナハらしいところと見るよりは、伝統があったということなのかもです。
さて、続いては唐突に現代アートに飛びますが、
第二次大戦から社会主義国・東ドイツへという歴史の流れに思いを馳せることになるのでありますよ。
ディーター・ボック・フォン・レネップという現代アート作家によって
1989~1990年というベルリンの壁崩壊という激動期に制作された作品には、
左側にちらりとヒトラーの姿が見てとれますなあ。
でもって、こちらはベルリンの壁に描かれた落書きアートの中で最も有名な、
ブレジネフとホーネッカーの熱い抱擁、口づけを描いたもののパロディー。
これまた1989年に描かれたことにも、当然に意味がありましょうね。
と、現代アートの政治向きを見たあとの口直し?としては、ハンス・ホルバイン(息子)の銅版画を。
取りあえずこちらの一枚でもって、あれやこれやとたくさんの作品と出会ったライプツィヒ造形美術館の振り返りを
終えるといたしましょう。こうしたたっぷりした展示のある外国の美術館でも訪ねたいところですが、
どうにもままならぬ状況はまだまだ続くのでありましょうか…。