ドイツ、ザクセン・アンハルト州のハレはヘンデルの生まれ故郷。
ということで、その生誕地に建っているというヘンデルハウスにやってきました。
とはいえ、確かにハレ生まれでその足跡がハレの町にないではないのですけれど、
同年代のバッハ(生まれ年が同じですな)がもっぱら中部ドイツの狭いエリアで活躍したのに対し、
ヘンデルの場合はかなり移動範囲が広く、最終的にはロンドンでの活動が一番知られている。
図録のタイトルが「HANDEL the european」となっているのもむべなるかな、でありましょう。
ですので以前ロンドンにある「ヘンデルハウス」も訪ねたことがありましたが、
さすがに大都会ロンドンで王様お気に入りの音楽家とはいえ、ビルの一室(というより数室)に住まいとして、
展示の規模もそれなりという博物館になっていたわけですけれど、ハレの方はなかなかに大がかり。
通りの角に面したひと区画の邸宅にたっぷりと資料展示がなされている形でありました。
考えてみれば、どうにも観光資源にはいささか乏しいハレ(関わりなくビートルズ博物館を作ったりも)だけに、
活躍の地がほかの国であろうとハレ生まれの超有名人を顕彰する意識が高いということであろうかと。
とまれ、館内のようすなどを少々。
展示解説はかなり充実しておりますね。
またスマホのアプリを使えば、日本語解説も聴けるようになっているようですが、ガラケー派には無縁。
憐れんだ?係の方が部屋ごとに英語解説の音声が流れるようにしてくれましたですよ。
こちらの一枚の絵は、ヘンデル幼少のみぎり。
音楽好きで才能も示していたものの、父親としてはゲオルク少年を法律家にしたかったのだとか。
あたかもマルティン・ルターのようではありますけれど、一族郎党こぞって音楽家というバッハとは違いますなあ。
楽器の練習も親に隠れて、あるときにはこの絵のように「あ!見つかっちゃった…」てなところかと。
ですが、そうした環境は身近なところに収まるでなく、ヘンデルが音楽世界を広げる素地にもなってでしょうから、
これまたバッハとの違いを考えずにはおれないのですよね。
と、展示室には昔々の姿をとどめた部屋もあれば、また楽器博物館になっているところも。
珍しい楽器、といってあちこちの楽器博物館で同じようなものに目をとめている気もしますけれどね。
ヘンデルハウスを訪ねたというわりにはヘンデルの逸話が少しだけになってしまいましたですが、
個人的には「王宮の花火の音楽」や「水上の音楽」、そしてオルガンやハープなどのための協奏曲、
そうした器楽のための曲ばかりを聴いてきたわけながら、ヘンデルの真骨頂はオペラであり、オラトリオ。
ルターハウス・アイゼナハにあった試聴コーナーのようなストイックな設えでなく、
あたかも劇場空間を模したと見える空間でヘンデルの音楽が流れるのを聴きますと、
そちら方面の音楽にも目を、耳を向けてみようと思う機会になったものでありました。