遅ればせながらいささか焼きもの にも興味が出てきている昨今ながら、
昨年出張で訪れた岡山の県立博物館 で「備前焼」を見て、
その素焼きの素朴さといいますか、実に味わい深いものであるなと思ったものの、
まだまだ備前焼のありがたさ(?)を知らずにいたのですよね。


ですが、日本六古窯の一つと言われる実に長い歴史、

そして釉薬を使わないというこだわりにも感心したりしてはいたところ、

一度は行ってみようと考えていた東京国立近代美術館工芸館で
その備前焼の展覧会が開催されていると聞き及べば、

これを機会と出かけてしまうわけですなあ。


東京・竹橋の東京国立近代美術館本体には何度も出かけているも、
そのままちょいと先へ進んだところにある工芸館には立ち寄ったことがありませんでしたが、
この煉瓦造りの建物が気に掛からない人もなかろうかと。


東京国立近代美術館工芸館(旧近衛師団司令部庁舎)

元々は1910年に建てられた近衛師団司令部庁舎であったという建物、
まあ、隣接する北の丸公園が近衛師団の駐屯地だったのですものねえ。


と、それはともかく開催中であったのは
「The 備前―土と炎から生まれる造形美―」という展覧会でして、
「古備前」と言われる伝統の品から、その伝統を生かした現代の作品までずらりと
並んでいるのでありました。

The 備前―土と炎から生まれる造形美―@東京国立近代美術館工芸館

とにもかくにも、釉薬を使わずにただただ「焼く」という過程を経ることで、
かくも異なる表情を見せるものかと改めて感心したのでありますよ。
「古備前」作品は写真不可でしたけれど、現代の作品の方はOKでしたので、

その肌合いの違いを見ておきたいと思います。






乱暴な言い方をすれば、土をこねて焼いただけ…のはずのものに

かくも豊かな表情が現れる。焼きものの不思議(化学?)でありますなあ。


専門的に言いますと、それぞれの見た目を類型的に「窯変」、「緋襷」、「牡丹餅」、

「胡麻」、「桟切」などと呼んだりするようですが、どれがどれ?といったところは

だんだんに目を養っていくといたしましょう。


で、これまで見た器の類いとは別に「備前焼」という技を用いて、

オブジェ、要するにアート作品として作り上げたものにも目を向けてみますと、

こんな具合なのでして。





焼きものと言いますと、つい畠山記念館 で見るような茶道具を思い浮かべてしまいますが、

現代のアート作品もまた実は焼きものであったりするとは、

前に一度だけ訪ねたことのある菊池寛実記念 智美術館 の展示でも分かるところ。

たかが焼きもの、されど焼きもの。興味深さがあるものでありますよ。