しばらく前になりますが、京王線めじろ台駅あたりに出向いた折、
地図に「椚田遺跡公園」というのを発見したものですから、
どんなもんかいね…と、取り敢えず足を延ばしてみることにしたのですね。


駅からですと歩いて15分くらいでしょうか、
住宅地の中にぽっかりとした空間として「椚田遺跡公園」はありました。
ちなみに「椚田」は「くぬぎだ」と読むようで。


椚田遺跡公園@東京都八王子市

写真では木々が紅葉していますけれど、訪ねたのはしばらく前と申しましたように
(思い返してみれば)10月末でしたのご容赦のほどを。



とまれ、1975年に地域の区画整理事業(多摩地域の宅地開発ですかね)に伴う発掘で
「縄文時代中期の典型的な集落」が保存状態の良い形で発見された遺跡だということで。

 
 
 



土器や石器の類いもざくざく出て来たということですが、
発掘後には遺構の保存のために盛土して(建物は建てられないため)公園にしたようす。
ここが遺跡の上にあることを偲ぶよすがとしてでしょうか、
竪穴住居と敷石住居の遺構が見られるようになっているばかりです。

 
 
 



ところで、縄文土器などの発掘品は八王子市の郷土資料館に展示されている
ということでしたのでは、機会を見つけて見に行ってこようと思っていたところ、
先日、八王子市夢美術館 を訪ねたものですから、郷土資料館にも行っていたわけでして。


郷土資料館なる施設はおよそどの市町村にもあるのではないかと思われるほどですが、
近隣でも折にふれて立ち寄ることがありますのは、
ちょいと前にも立川市歴史民俗資料館 を訪ねたとおりです。


八王子市郷土資料館 にもかつて二度ほど出向いておりますが、
だいたいにおいてどこの郷土資料館でも訪ねるのは企画展示あたりにぴくっと来たとき。
これは、常設展示だけ見ても「あまりにローカルな…」と思っていたからでもありますな。


ですので、企画展示をひと周りした後に常設展にも目を向けますが
往々にしてさらりとなでるが如く。結果、あまり記憶に残らないということになり、
三度めの訪問ながら八王子市郷土資料館の常設展示がどんなんだったかなと。


で、今回はその常設展示たる椚田遺跡ほか、八王子市内の遺跡から発掘された
数々の出土品を改めて目にしたですが、なんだか今回ばかりは(?)
それが目的だったせいもあってか、新鮮に見えたものでありますよ。


縄文式土器にもいろいろあって

例えば縄文土器にしても触れる機会が増えてくるほど、
その装飾の多様性には驚かされることになりますね。


そもそも土器は間違いなく実用品であって、装飾を施すことに何の意味があるのか、
(場合によっては祭祀に使われるが故に、装飾に意味を持つものもあるでしょうけれど)
意味が無いと思えるところに、あたかも競うように作り手たちは
個性的な装飾を施しているわけです。


これを先に「民藝 」のことを書いたときに考えたあたりと比べてみると、
「ああ、縄文人もおんなじなんだな」と思い至ったりするのですなあ。


実用には意味のない装飾ではあっても、実用的だから普段よく使う。
よく使うものがそっけない、それこそ実用本位の代物だと何か面白くない。
そこに「これぞ」という模様が付いているとなると、
何となく使っていても満足感があるというか、うれしいというか。


おそらくは縄文人も土器を作りながら、
縄目が生み出す模様の数々をああでもないこうでもないしながら
日々の土器利用が楽しくなることを考えていたのかもしれませんですね。


昔の感覚でいいますと、

昔々の人たちを極めてざっくり「原始人」みたいな言い方をしてましたですが、
その実、どうやら縄文の人たちは(現代と比べてではなくして)当時は当時として

豊かな感覚をもって暮らしていたのではないかなと思ったりするのでありました。