さて、あっちもこっちも閉まっていたというメヘレンの休日 にあって
ちゃあんと中に入れたというお話をすべく、いったんマルクト広場に戻ってまいりました。
で、広場に面した市庁舎と反対の方向を眺めやってみますれば、このような建物が。
実に堂々たる鐘楼を持つ聖ロンバウツ大聖堂(Sint-Romboutskathedraal)でありますよ。
「ベルギーとフランスの鐘楼群」として世界遺産登録されているもののひとつでして、
高さ97mの塔の上には、49個が組みになったカリヨン が2組備えてあるそうな。
このカリヨン備え付けというのが単なる鐘楼とは違って、この地方ならではなのでしょう。
そういえばメヘレンには王立カリヨン学校があって、カリヨン奏者を育成しているのでもありました。
ちなみに手前左に見えております像は、かのマルグリット・ドートリッシュ の毅然とした立ち姿。
これにご挨拶申し上げて、聖ロンバウツ大聖堂へと歩を進めていったわけですが、
堂内に入りますと折しもちょうどオルガン演奏の最中でみなオルガンの方を見ておりましたなあ。
と、ここを訪ねて見逃してはいけないもののひとつが
翼廊右手に設けられた祭壇に掲げられた絵画でありますね。
英国で活躍したことから一般にアンソニー・ヴァン・ダイクと英語風に呼ばれますが、
アントウェルペン生まれとフランデレンの画家、現地的には「アントーン」ですね。
とまれ、そのアンソニー・ヴァン・ダイクの「十字架のキリスト」。
十字架上のイエスがずいぶんと低い位置にあるものですから、
周りの人がひしとすがりつけてしまう。
見上げて悲しむという構図よりも人間として生な感情を呼び覚ます気がしましたなあ。
光の加減とはいえ、も少しクリアに撮っておきたかってですが、
この祭壇の前では何の集まりか、地元の人と思しき方々が手に手にワインをもって
談笑しておられたものですから、これ以上は無理でした(全くの余談ですが)。
ところで、この説教壇には目をとめずにはおられませんでしたですよ。あ
1723年作ということなんですが、木々の芽生えが螺旋を描きながら天にも昇らんとする姿は
植物でありながら「動く」生々しさが感じられるような。
ある意味、SFっぽくもあり、またいささか気持ち悪いようでもあり…。
とまあ、かようにしてメヘレン=ブリュッセル大司教座のカテドラルを一巡し、
今度はその鐘楼に登ってみたというお話になるのでありますよ。