ということでブルッヘのランドマークたる鐘楼 に登って高見の見物に及んだ話をしましたですが、

「鐘楼」である以上、本来的な役割は鐘を鳴らすための建物ということになりますな。

遠くまで鳴り響くためにも高さはやはり必要だったということになりましょう。


鐘楼に吊られた鐘


ところでここで「鐘」とは言いましたですが、

単純に「じゃらん、じゃらん、じゃらん」と鳴る鐘を思い浮かべると間違いなのでして、

大きな鐘から小さな鐘まで取り揃え、メロディーを奏でることのできる「カリヨン」のこと。





Wikipediaにも「フランドル地方の伝統楽器」とありまして、ブルッヘや後に訪ねたメヘレンの町で

鐘の音によるメロディーをよく耳にしたものなのでありますよ。

で、鐘楼の塔に登る途中には展示室があるてなことを言いましたですが、

ちゃあんと大鐘の近くにはカリヨンに関する説明もなされておりましたですよ。


カリヨンを鳴らす仕組み


カリヨンの演奏にはいわばオートとマニュアルの2種類あることが、

この演奏の仕組みの解説図からもわかりますが、オートの方は巨大なオルゴール ですね。

図の右端にあるドラムにはその上の写真で分かりますようにたくさんの爪が付いておりまして、

これがベルのハンマーと結ばれたワイヤーをひっかけて音を出すてな構造です。


一方でマニュアルの方は写真の左側上に見られる鍵盤を、

ピアノやオルガンなどに比べて桁違いに重いキーなのでしょう、拳固で叩いて弾くのですな。


当然にして速いパッセージは苦手ということになりましょうし、

曲も穏やかなものに限られるわけですが、それでも実に多様な調べを耳にしたものです。

キリスト教ゆかりのメロディーとして「アメイジング・グレイス」などが聴こえてきたかと思えば、

おや?てな感じで日本の「さくらさくら」まで流れてきたりしたのでありますから。



ところでブルッヘの鐘楼は展望台まで366段の階段と言いましたですが、

カリヨン演奏のためのドラムのある部屋は階段の数にして333段目、

また展望台から33段下にあるという位置づけなのですね。


果たしてこの「3並び」は偶然なのでありましょうか。

言うまでもなくキリスト教で「3」は「三位一体」を示すものとして特別な数であるような。

そうしたこととの関係がもしかしてある…ということもないでしょうけれど(笑)。


日本で「カリヨン」と聞けば仕掛け時計のことかと思ってしまいがちですけれど、

実はパイプオルガンとはまた違った意味で世界最大級の楽器だったのですな。

そしてパイプオルガンが会堂の中で使用され、カリヨンは会堂の外へ向けて使われるという

全く異なる機能を担っていたわけでありますなあ。


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