と、朝の散歩がてらのぶらりでたどり着いたブルッヘのマルクト広場 (Grote markt)。
その一角にどおんと聳え立つのがこちら、鐘楼(Belfort)でありますよ。
土台となるのは13世紀の建物で、
14世紀には(今では中央部になりますが)4つの小尖塔が加わり、
一番上、八角形の時計塔の部分は15世紀末に建て増しされたのだとか。
見た目にもそれ以上積み重ねるのは難しかろうところがありますけれど、
その時期あたりがブルッヘ繁栄の分岐点でもありましょうかね。
ところで、この鐘楼は高さ83m、聖母教会の尖塔(122m)には及びませんが、
広場に面して立つ姿は威容を誇っておりますし、見晴らしもまたよろしかろうと。
塔の中を366段の階段で登っていけば展望台になっているのでありました。
こんな階段をひたすら登っていくのですね。当然にして途中からとても狭くなったりもする。
もっとも途中途中には足休め的に展示物のある小部屋につながっていたりもしますが。
建築途上を描いた絵やブルッヘの市の特権を表すメダルの説明があったりしたですが、
特にメダルの方は1279年、時のフランドル伯ギー・ド・ダンピエールから与えられたものだとか。
領主と市民は税の取り立てなどで決して良好な関係ではなかったように思いますけれど、
外のマルクト広場に立つ像に象られた市民リーダー二人が活躍した1302年の市民蜂起は
対フランスの「金拍車の戦い」の一環でもありまして、この戦いにフランデレン側が勝利したとき、
フランス側に捕えられていたギー・ド・ダンピエールは一時的にも解放されたそうですから、
いかに強い市民のもとにある領主であったか…などと想像してしまうところです。
とまれ、366段を登り詰めて到達した展望台。
金網越しに眺めやるので写真写り的にはどうよ?感ありですが、
例によっては高い建物はなく町外れはすぐに農村風景になってしまうヨーロッパの地だけに
なかなかの見晴らしでありますね。
かつては新しい法律が公布される際、この鐘楼のバルコニーから知らしめられたそうですから、
いわば「高札場」のような存在でもあり、ブルッヘのランドマークとしてより高くという威容が
求められたのは当然のことでもあったのでありましょうね。