もうずいぶんと前の話で、と自分で自分のブログを検索してみれば6月のことでしたですが、
ネット通販でCDをまとめて買ったところがどうにも入荷しない商品があったらしく
「待ち」の状態のままになった…てなことを言いました。
その後、入ったものから順々に発送してもらい、
最後の最後になった1点がとうとう届いたのでありますよ。
いやあ、オーダー時点から実に5カ月。それほどに欲しいものであったかというと、
実はそんなにまで思い入れがあったわけではありませんで、
待てるだけ待ったらどうなるか…てな興味本位でもあったというのが本音でしょうか。
とまれ、全てが手に入ったとなったところで思い出したことには、
このときに購入したCDを少しずつじっくりと聴きながら、
どんなCDであるかと逐次ご紹介申し上げようと目論見つつ、
「次に聴くのもピアノ作品のCD」と予告しつつもそのままになってしまっておりました。
もちろん取り上げるCDはこれまでの間に何度も何度も聴いていたところながら、
それに触れる機会を逸していたと申しましょうか。
で、ようやっと登場させるCDはこちらでございますよ。
エフゲニア・ルビノヴァのピアノによるプロコフィエフ
のピアノ作品集。
第4番のソナタが1曲入っているものの、内容からすれば小品集というべきでありましょうかね。
そもそもピアノ曲には詳しくなく、かてて加えてプロコフィエフの音楽自体、
なかなかに晦渋ではないかい?と思っていたくちですから、
ここで「プロコフィエフのピアノ曲は…」てなことを語るだけのものは持ち合わせておりませんが、
比較的初期のものが中心のこのCD、プロコフィエフにもこういう時期があったのだね…と
思わせるものではありました。
もともとこの曲が聴きたくてと思った「10の小品作品12」あたりは特にでありまして、
それもそのはずプロコフィエフ15歳から20歳過ぎくらいまでに書いたという若書き。
なかなかにピュアな感じがするのでありますよ。
その名の通りに小さな10曲から成っておりますけれど、
全体におよそ晦渋さのない、シンプルで見通しのよい音楽といった印象。
1曲目のマーチは一見、でなくて一聴したところでは子供向けでもあらんかと思うものの、
陽気さなふうは長続きせず、むしろ大人向けの諧謔なのかもとも。
一方で、3曲目のリゴドンや5曲目のカプリチオを聴いていますと、
響きはドビュッシーほどの新鮮さではないながら、プロコフィエフの「子供の領分」のようにも
また演奏者自ら書いているライナーノーツにあるシューマン の雰囲気も漂うような。
後の方では重々しさも出てきますけれど、
そうした前後の分岐点とも思われるのが7曲目のプレリュード、一番お気に入りの曲です。
西側で初めて演奏されたプロコフィエフとも言われる曲でして、
その清新な瑞々しさからしていかにも広く受け入れられる気がするのでありますよ。
ただ、中間部にはコーカサスのリズムを使うという捻りもあって、
単に爽やかというにとどまらないあたりが作曲者の将来を垣間見せているのかもしれません。
このプレリュード1曲がアンコールピースとしてあることで
なんとか生きながらえているようなふうでもある「10の小品」ですけれど、
もそっと演奏会でまとめて取り上げてくれてもいいような…とは、
プロコフィエフ作品の入門編的なところだったりするかもしれませんですね。
先へ進むには段階ごとによっく聴きこまないと、この先の作品にはついていきにくいですが。
と、ピアノを余り聴かないという者がちょいと気を良くして、
次に取り上げるCDもやはりピアノ曲になると予告だけしておきますね(笑)。