先日見に行った「土木展」@21_21DESIGN SIGHT で、
そのミュージアムショップには「土木萌え」の初心者あたりにくくっとくるような本というか、
写真集というか、そうした類いがいくつか並んでおったのですね。
個人的には正にそうした部類?となってしまうのでありましょうか、
ぱらぱらとめくっているとどれもこれも手元に置きたくなるような、
はたまた載っている土木遺産的なるものに皆行ってみたくなってしまうような。
だもんですから、(現実にはしないけれど演出としてよくある)ように
「うう、いけんいけん」と頭を振り払い、ミュージアムショップを後にしたのでありました。
が、後になって「手軽なものなら一冊くらい、よかろう」と
既にミュージアムショップ段階で目をつけておりました文庫版を一冊、
Amazonで購入してしまったという…。
それが「絶対に見たい!世界の橋」というものでして、
土木系の中でも取り分け「橋」に着目する自分にここでまた気付いたのでありますよ。
内容はといえば、文庫版ではありますけれど写真を大きく扱って、文章わずか。
あっという間に読み終えてしまうわけですが、そこはそれ、
写真を見て「実物、見たいものだぁね…」と思ったりすることにこそ楽しみがあるといいますか。
ですが、取り上げられた橋には「なるほど!」もあれば、「これなの?」もありますし、
一方で「なぜ取り上げられていない?」と選択に疑義を抱く(大袈裟ですが)ものもあり。
その辺りをちとここで触れておこうかと思うわけでありまして。
取り上げられていますのは、全部で51の橋。
アジア、日本、ヨーロッパ、アメリカ&太平洋と4つに章立てされて紹介されてますけれど、
ヨーロッパが一番多いのは古代ローマ 以来の建築の伝統てなことになりますかね。
まずアジアからは6件と控えめですが、
中国の歴史的、文化的なところに根ざしたような橋が半分でこれはこれで興味あるところながら、
「お!」と思ったのがアブダビのシェイク・ザーイド・ブリッジ。
その独特の流線型に「これはもしかして…」と思ってみれば案の定、
ザハ・ハディド 女史の設計によるものでありました。
「見に来い、見に来い」とそそりまくるフォルムですが、
アブダビに行く予定は差し当たり無く…。
続く日本の部15件、熊本の通潤橋 から始まるのは見てきたものとしてはむべなるかなと。
徳島のかずら橋や北海道のタウシュベツ橋梁(旧士幌線橋梁) もまたそりゃあ入ってくるでしょう。
そんな中で今ちと「行って渡りたい度合い」の高まっているのが佐賀の筑後川昇開橋ですな。
一方で、隅田川に掛かる永代橋が取り上げられているのは、ちと他に比べて格落ちのような。
「なめたらあかん」江戸の歴史を引き継いでいるのでもありましょうけれど。
さて、ヨーロッパの部は最多の20件。
先日の「美の巨人たち」でもクローズアップされていたパリのアレクサンドル3世橋や
ロンドンのタワーブリッジ、フィレンツェのヴェッキオ橋などは「なるほど」の部類ですが、
いずれも歴史を背負っている有名な橋であるのはヨーロッパらしいところながら、
さほど目新しくもないですな。
そんな中で行ってみたい度ナンバー1と思ったのがポン・デュ・ガールでは
尚のこと目新しくないですが、古代ローマの建築技術の粋でもあり、やはり一度は見たいものです。
最後にアメリカ&オセアニアの部で紹介されているのは10件で、ここには
わざわざ渡りに行った(とそればかりが目的ではないですが)シドニーのハーバーブリッジや
サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジが入って、「そうでしょ、そうでしょ」と思う一方、
ニューヨークのマンハッタンブリッジが出てきたのには意外の感、拭いきれず。
月並みながらもここはブルックリンブリッジでしょうと思うわけで。
ブルックリンブリッジとマンハッタンブリッジはお隣どうしの橋。
マンハッタン側からブルックリンブリッジでイーストリバーを越え、
今度はマンハッタンブリッジを通って戻ってくるのを貸し自転車でやったことがありますけれど、
渡り心地というのでしょうか、すぐそばを金網越しに地下鉄が走り抜けるマンハッタンブリッジに比べ
ブルックリンブリッジの見晴らしいい爽快感は雲泥の差と言っていいような。
ですが、ここではおよそ渡り心地といったことは考慮外であって、
それを前提に橋そのものの見栄えなど考えてみれば、眺めるに良しということになりましょうかね。
でもって、このエリアで見たいと思ったのがブエノスアイレスのプエンテ・デ・ラ・ムヘール。
実にスタイリッシュなフォルムながらそれだけの橋ではなく、
船を通すために旋回するというのですから。
佐賀の昇開橋ではありませんが、
この「動く」というのもかなりそそるポイントではなかろうかと。
と「なるほど」も「うむむ」もあった世界の橋51ですけれど、
ここに紹介されている以外にも萌えを呼ぶ橋は山のようにありましょうね。
その全部を見て回ることはとてもできないように思うものの
(その気になれば不可能ではないはずですが、興味の対象が広いもので…)
タイミングをつかまえて、その時々で選りすぐって出かけてみたいという気になってくるのでありました。

