忍野八海
コンプリートの後は一路南へ。
富士のビュースポットとして夙に有名らしい山中湖畔、長池親水公園を目指したのでありました。
これでいよいよ富士五湖巡りもコンプリートかと思うと幾分気持ちも高揚して…となるはずながら、
どちらかというと気分は下り坂であったという。
すでに忍野八海を巡り歩くうちにもその兆候は十分に感じられていたわけですが、
思った以上に雲の湧くスピードが速かったといいましょうか。
人気のビュースポットたる長池親水公園にたどり着いたときの、
山中湖の眺めはこんな具合になってしまっておりましたよ。
ということなれば、富士のお山の方角に目を転じてみても、
そこにはやはり「あ~あ…」という姿しか最早眺めることもできず…。
本来なれば左右に長く裾野を引いた富士山の眺望が得られるはずなんですが、
辛うじて右側(北側)の稜線が見えただけでも「良し」とせねばなりませんですなあ。
「終わり良ければ全て良し」とはよく言ったもので、
こうも終わりがよろしくないとがっかり度合いが弥増すものであるなと改めて。
前日には本栖湖 からも、精進湖 からも、西湖 からも、河口湖 からも
すっきりと秀麗な富士の姿を望めたわけですから、
やはりその機を逃さず、山中湖までも制覇しておくべきだったのでありましょう。
と、いつまでぼやいても雲は晴れそうもありませんから、
この際気持ちを切り替えて「吉田のうどんを食いに行こう!」ということに。
来た道を戻ることにはなりますが、富士吉田市を目指したのでありました。
うどんがその土地の名物というところは、
例えば館林
のように小麦粉の産地であることから名物化していたり、
あちらこちらで謂われがあるものと思いますけれど、吉田のうどんは富士講
との関わりが。
(農林水産省の選定した「郷土料理100選」にも入ってますですね)
市内に点在するうどん店はどうやら富士講でやってきた人たちをもてなす意味もあったようで、
しっかり食べた感が得られるように「コシの強さ」が特徴になっているそうな。
そんな「吉田のうどん」ですけれど、
ガイドブックに載っているような名店は三連休というタイミングからして混んでいるとも思われ、
ここはいささか安直ながら駐車場には事欠かない「道の駅富士吉田」の軽食コーナーへ。
まあ、道の駅らしいサービスといいましょうか、
セルフサービスのお茶の湯のみが富士山型でなっておりまして、
うどんのどんぶりにも顔が書いてありましたですよ。「うどんぶりちゃん」というゆるキャラです。
差し当たりボリュームを求めて「肉わかめうどん・五目混ぜご飯セット」に
「富士山コロッケ」を追加。富士山の雪を思わせる部分はパルメザン・チーズですな。
とまれ、何よりメインは「吉田のうどん」ですけれど、
噂に違わぬ「コシの強さ」がなるほど独特の食感でありまして、なかなかにうまい。
富士講の人たちも目前に控えた富士登頂に向けて、さぞや勢いを得たことでありましょう。
さすがに「吉田のうどん」は、富士山が世界文化遺産となった構成要素ではなかろうものの、
これまた関連する歴史とは切り離せない伝統の食文化であるのですなあ。
そんなことを思いつつ味わったうどんなのでありました。