ということで、ボルドー展
を見に国立西洋美術館に出向いたからには
常設展で見てこなきゃいけないものがありますですね。
ヨハネス・フェルメール
の作品ではないかと言われている「聖プラクセディス」。
長らく所有していたアメリカの富豪が死去されて、
オークションにかけられたところ、日本人が落札したそうな。
そこで西洋美術館に寄託されて、現在公開中というわけでして。
約束事に気をつければ、欧米の美術館よろしく写真撮影が可能な常設展会場ですけれど、
さすがにこの「聖プラクセディス」は不可である由。
まあ、仕方がないですが、その分じっくりと目で見ておこうと考えた次第です。
常設展会場という、わりと誰でも気軽に立ち寄れるところで公開しているのは、
「フェルメールの作品らしいけれど、果たして…」の部分をいろんな人に見てもらおうということらしい。
ひとつの鍵としては作品の左下部分に「Meer」とのサインが見てとれるということがあったり、
また科学的な分析結果として「白」を表現する絵の具に用いられた鉛白が、
フェルメールと同時代のオランダ絵画
で用いられたものと成分がよく似ているてなこともあるという。
(同時期にイタリア
絵画で用いられた鉛白とは成分が異なるそうな)
その他にもいろいろな論拠があって議論百出、未だ予断を許さずてなところもあるような状況で、
個人的には、手にした壺の輝きの鈍さがどうにも「らしからぬ」ように見えてしまうような気が。
ですが、1655年という初期作であって、
1640年代のフェラーラの画家フェリーチェ・フィケレッリによる作品の模写として考えれば
習作のようでもあり、「らしからぬ」と言ったところでなってもしまいそう。
皆様もぜひ自らの目を信じてご覧になってはいかがでしょう。
と、せっかく常設展会場に足を踏み入れたのですから、見て廻ることに。
素敵な作品がてんこ盛りであることは分かっていながらも、
いつでも見られるだろうとの安心感から企画展だけで失礼してしまうこともしばし。
ですが、展示作品の入れ替えもあれば、新規の収蔵品もありましょうから、
時間が許す限り立ち寄らなくてはですよね。
実際に「これ、見たことあったっけかな?」というのも何点かありまして。
例えば、このジャック=エミール・ブランシュの「若い娘」という作品。
こんな清楚なお嬢さんにお目にかかったことはなかったような。
こちらはボナールの「花」ですけれど、
いかにもボナールの色合いながら小さい粒々のような花にアクセントが効いてます。
そして、どう見てもヴラマンクな一枚は「町役場」というタイトル。
どうもそっけないタイトルのものばかり特集した感じになってますが、
先に泉屋博古館分館
で見たヴラマンクに感心したのと同系統であるなと思ったものですから。
こうした「お初にお見知りおきくだすった」作品のほか、
「また出会えてよかったね」という作品はそれこそ山ほどあるわけですが、
その中で厳選?2点ほど。いずれも大好物なのでして。
「聖プラクセディス」の真贋見極めがてら、常設展でお気に入り作品を見つけ出す。
館内は当然に冷房ばっちりとなれば、夏の素敵な過ごし方かもしれませんですなあ、西洋美術館。