想い出してしまう こんな雨の日は
なにもかも 始まりそうで

 

初恋の通り雨 (MIND DROPS) 尾崎亜美

想い出してしまう こんな雨の日は

霧がかった街中で
あなたを見かけたの

あなたを見たとたん、
頬が赤くなった気がした私

急にぽつぽつと大粒の雨が降り出して
雨宿りをしているあなたに
うしろから傘を差しだした

びっくりして振り向くあなた
私 にっこり微笑んだ

あれは初恋だったのかしら

雨が降りだして 恋が始まり
雨がやむと 恋は終わったの

アスファルトの路も ふたりも傘も
淡いグレイの光の中で 輝いていた恋


想い出してしまう こんな雨の日は
なにもかも始まりそうで

雨やどりをしてる 誰かのうしろ姿に
また心ときめかせ 立ち止まっていた

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これも尾崎亜美の可愛い曲。

雨で始まり、雨がやむと終わってしまった
通り雨のようだった初恋

若いふたりが1つの傘の中、

しかも初対面なら
しゃべりにくいのはわかる。
だけど、
「もうすぐ雨があがってしまうね」の返しが、
「こんな日は私 好きじゃないわ」だと
彼もさぞかしおどろいただろう。

それぞれおどろいた二人
駆けだした彼女に彼は傘を返せたのだろうか。

尾崎亜美いわく、
「杉真理さんが大好きなポップスの世界。
私もね。やっぱり大好きなんですよね。
その時代の音楽に影響を受けてというか
ちょっとパロディっぽい感じで作った歌」
(https://www.youtube.com/watch?v=yUXfD8x8I-A)

えっパロディだったの?
なんのパロディだったのか僕は知りたい。

[追記]
パロディの元曲は、1967年のThe Cowsillsの
"The Rain, The Park and Other Things"
(邦題:雨に消えた初恋) かもしれない。
男が雨の中で微笑んでくる女の子と出会う

という曲で、女の子は男の手をとって

雨の中の公園を一緒に歩くのだが
太陽が顔をだすと突然彼女は消えてしまう。
彼女は花の精だったのか、

男の手には彼女の髪(と花)だけが
残っていたというもの。
この曲のパロディとすると、

「初恋の通り雨」で
彼女が最初に微笑んでいた様子や、
雨がやみそうになると

「こんな日は私 好きじゃないわ」
と言った彼女の言葉の意味がしっくりとくる。

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「初恋の通り雨」は尾崎亜美の4thシングル。

作詞/作曲 尾崎亜美、編曲 松任谷正隆
1977年7月20日リリース。

1977年6月5日にリリースされた2ndアルバム
「MIND DROPS」からのシングルカット。

アルバム「MIND DROPS」の
編曲、プロデューサーは松任谷正隆。
タイトルは松任谷由実のアイディアだという。

このアルバムは雨に関する曲が多く、
「涙の雨」「旅」「初恋の通り雨」
「さよならを言うために」で4曲、
 "やっと空も晴れだした"で始まる
「BOOMING CRACKER」も無理矢理入れると
雨がらみの曲が5曲になる。

「MIND DROPS」というアルバムタイトルは
"mind"(心、気持ち)と
"raindrops" (雨粒)をかけあわせた

ものなのだろう。

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尾崎亜美の記事はこれで6記事目になりました。

以下は雨関連の過去記事です。