莫干山での黄茶の製茶「成功」と「失敗」と
今年の清明節は、莫干山の茶師のところで黄茶の製茶をしていました。
2019年春以来の莫干山。
5年ぶりの莫干山は、茶師から聞いていた以上に変わっていました。
ただ、茶師の家族、仲間たち、そして茶摘みの人たちは昔のまま。
元気に変わらず、久しぶりの再会を喜び合っていました。
さっそく、黄茶作りを開始。
例年、黄茶作りをしていたので、茶師が準備をして待っていてくれました。
黄茶の製茶のカギは、悶黄という工程。
同級生茶師の黄茶は、悶黄の工程を電気ではなく、今でも伝統的な炭でしています。
電気でない分、手間はもちろん、時間もお金もかかる。
そして、手作業の分だけ、失敗もしやすい。
それでも、手作業にこだわり伝統的な少量生産をしています。
大型機械で大量生産でない、わたしが訪ねる茶師たちの製茶は手作業がメイン。
その分だけ、一つ一つの工程がキモとなる。
タイミング一つの違いで、本来の特徴が出せず、失敗におわります。
そもそも、「茶」は製茶が成功したのか失敗したのかが重要。
銘茶とか、どこで作ったとか、どの品種だとかはその次のこと。
製茶が成功して、はじめて品種など混じりのない茶葉である所以がわかる、良質な茶葉となるからです。
今回も製茶をしながら、わたしが訪ねる前日までに作っていた茶師の莫干黄芽の緑茶から黄茶、そして、紅茶まで日にちごと、品種ごとの評茶を二人で飲み、語り合っていました。
飲んで製茶が成功した茶葉だと判明した時は、その特徴の良さの原因を分析する。
飲んで茶葉の欠点を見つけた時は、その欠点を表現しながら製茶からその理由を解析する。
一つの茶葉を飲み、「茶葉を科学する」時間はとてもしあわせです。
日々、気候の影響を受け変化する茶葉の動きを100%見極め、製茶をすることは至難の業。
人が手作業で作ったのはであれば、失敗するのは当然。
むしろ真摯に茶葉に向き合い、経験を積んでいるからこそ、客観的に茶葉を判定することができ、製茶の失敗がわかるもの。
Xingfuの茶師たちは、わたしに対し、必ずと言っていいほど茶葉について意見を求め、かつ欠点の有無を聞いてきます。
とてもうれしいことである一方、大きなプレッシャーを感じる瞬間でもあります。
それは、茶葉の違いを表現し、欠点を伝えることはわたしの飲む技術を信頼してくれていることであり、また、飲む技術を試されていることでもあるから。
茶師たちは製茶を
わたしは飲む技術を
お互い切磋琢磨し、向上できる茶師たちと出会えたこと
Xingfuの茶師たちが作る中国茶&台湾茶を日々、味わえることができて、とてもしあわせです。
中国&台湾茶教室―Tea Salon Xingfu主宰
中国茶&台湾茶研究家 今野純子