連載性春小説  碧いラフレシアの花 -94ページ目

連載性春小説  碧いラフレシアの花

好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代


「KENちゃんどうしてるのかなぁー。」


TAKAが言った。



「しんちゃんが最近会ったみたい。」


と言った後、乱人君はシマッタという顔をした。



KENちゃんとしんちゃんは真帆の不倫相手だった。



「ごめん・・。TAKAちゃん。」


乱人君がうつむいた。






「いいよ気にしなくて。KENちゃんは真帆と結婚しなくて正解だったな。あいつがポン中になった時点で面倒臭い女は捨てたんだ。俺にはそういう賢さはなかった。それで今は散々だ。」


だるそうにTAKAが言った。



「俺は真帆さんとは接点ゼロだったから、よく分からないけど・・・。」乱人君が言った。


「お前はヘンな仲間にならなくて正解だった。」


「いやぁ、真帆さんは、僕には少し・・・あはは。そういえば真帆さんの友達が俺のファンだった。思い出した。」


「お前は基本がおっとりしてるから不幸になる要素がないよ。何でKENちゃん、結婚した後の真帆なんかにちょっかい出したんだろう。」


「KENちゃんも女にひきづられやすいんだよ。フィリピーナに全額引き出されて逃げられたこととかあったよ。」


「人の事言えないけど本当にダサいやつだなぁ。でもフィリピーナに騙されても世間の風はまだ温かいぞ。俺なんか女房が覚醒剤で御用だ。洒落にもならん。」


「真帆さん、切ればいんだよ。」


「うん、なんかブラックホールみてえな女だしなぁ。」


「KENちゃんは幸せみたいよ。再婚相手がすごくいい人みたい。」


「おかめ納豆みたいって聞いた。」


「KENちゃんはもう昔のKENちゃんじゃないんだよ。堅気。堅気。嫁さんと2人で仲良く工務店とかしてるみたい。」



「あー、俺もフツーに生まれたかった。フツーの女に育てられなかったから、オチが変なんだ。もうおかめ納豆でもいいからキチガイじゃないの、プリーズ。」


そう言ってTAKAが泣くふりをした。





「いや・・、KENちゃんはまだ分かるんだけど、何で真帆さんしんちゃんに興味持ったんだろう。」


乱人君がぼそっと言った。



「知らないよ。真帆の昔の浮気相手のおっさんもダサかったし、あいつは極端だったらなんでもいいんだ。エッジが利いてるのが生きている証なんじゃないの?いろんな意味でぇ。躁鬱みたいなところあるよ。」


「しんちゃんは悪そうにしていたよ。」


「俺はそんなにしんちゃんに関しては怒ってないよ。ただあいつは捨て方がへたくそで真帆が快調に暴れて警察に捕まったんだ。すべて間が悪かった。」


「今つきあってる若い子はどうなの?」


乱人君が聞いた。



「いい子だよ。」


「TAKAちゃん、前向きに生きたほうがいいよ。また結婚すればいいじゃないか。」


「いやぁー、いい子なんだけど思い込みが激しくて。なんか別れるとき死ぬとか言いそうで。」


「今から別れるときの事考えてるの?付き合ったばかりでしょ?」


「俺はお袋もホラーだし、女房もキテたから、あんまり女運は良くないな。怖くてもう結婚できない。」


「真帆さんが特殊なんだよ。一般人じゃないし。」


「真帆だって付き合った時は一般人だったよ。今じゃもうホラーだ。」


「TAKAちゃんはいいところあるよ。奥さんがあーでも、それでもTAKAちゃんのポジションが欲しい人は一杯いるよ。」


「一杯いるかね?主人公真帆が俺の家に来たら、集合住宅のオヤジが出てきて、あの女ったらしなら引っ越したよ・・って言うんだ。女ったらしって俺のことらしい。あいつはあの時会社のオヤジと二股かけてたんだぞ。それが何だよ顔に縦線入っちゃって・・ガーン・・みたいな・・。」


「読まないほうがいいよ。基本的に。」


「あいつ自分の浮気とかは絶対にストーリーに入れてない。嘘はついていないが、自分の汚点は消しゴムで綺麗に消しやがる。どうせ、自分の不倫のこととかも書かないんだろう。何が自伝だ。」


「気を悪くしたら悪いんだけど葉っぱ臭を線香で消す話とか懐かしいな・・と思った。」


「何、それ?俺知らないよ。そんなことまで描いてるのか。俺がガキにおちょくられる訳が今分かった。」




「良くも悪くもTAKAちゃんは有名なんだよ・・・。」


「なんかバンド性年みたいな描き方で不愉快。もう女のプロデュースはしづらい。いくら俺が教えたからってアレとかドラックとかサルみたいにハマったのはあの女だぞ。全部男のせいにするなよってカンジ。」



「でもそうまでして売れたかったのかなぁ・・自分。」


TAKAがぼそっと言った。




「真帆は貢がされたとかインタビューで言ったけど、実際は違う。俺は破産するつもりだった。ローン会社のババアに言いくめられて、真帆が何があっても絶対見捨てないからって言って、自分で身売りしだした。それをさも脅迫か強制のように・・・・今になってよぉー。今更よぉ。娘に嫌われたくないんだけど、俺。」



「TAKAちゃんのお母さんはどうなの?」


「もう寝てるだけだよ。散々おれの金で豪遊して、この様だ。もともと借金は俺の借金ではなかった。お袋がレディースローンで借りて、真帆にしわ寄せが来た。それだって、真帆が22くらいの大昔の話だよ。」


「うん。TAKAちゃんは女脅してどうこう・・っていう人じゃないよ。」


「メジャーデビューしたらお袋が観光だとか言って上京してきた。そのまま俺の保険証で借金つくって逃げた。俺も少し親に認められたかったんだなぁ・・・。でも俺の母親は腐った女だった。金目当てだった。」


「大変だったんだね・・・。」


「真帆には感謝してる。確かにあの時破産していたら個人事務所も独立も、プロデューサー業もありえなかった。」


「真帆さんのほうが男に夢中になるタイプだったよね。よく知らないけど。」


「それからプロデューサーで有名になったらまたお袋がぬっと現れて豪遊して飲み歩いて、借金作ってくも膜下出血で倒れて、今は野菜みたいに寝てるだけ。」


「TAKAちゃん、まだ人生長いよ。幸せになってよ。」


「何か俺が売れなかったらお袋も豪遊後こんな雑巾みたいにならなくて済んだんじゃないか・・とか思うときがあるよ。あのまま・・B級バンドで終わったら、真帆とも紐亭主結婚で続いたのかも知れない。娘とも暮らせた。」


「TAKAちゃんのせいじゃないよ。」