このブログで、前回「アラジン」を取り上げたときは、川崎シェフの勇退について書いたが、今回は巨匠がいなくなった後の店を訪ねてみた。
昇格したシェフは、概ね、前任者のマインドを受け継ぎ、定番料理は良い意味で「完コピ」に近いレベルに達していると思った。
一方で、自身のオリジナルだろうか、見慣れぬ料理が出てくると、「あれ?」という感じの完成度。
師匠の背中を追いつつも、自分探しの旅の方は、まだ始まったばかり。
オリジナリティを出して、古い客たちの評価を得るには、少し時間がかかりそうだ。
厳しい意見に聞く耳を持ち、腐らず、いじけず、「なにくそ」と歯を食いしばれるか、だろう。
カリフラワーのババロア、ブロッコリーのソース。このブログには何枚か、師匠時代のこの料理の写真があるから、比較してみていただきた。
赤万願寺唐辛子に手長海老とアボカドのタルタルを詰めた物。ズボンのケツが破けるくらいまで詰め込んでくれたよう(笑)
以前のこの料理はこんな感じ。
セップとかぼちゃのニョッキ。季節感もあり悪くはないけど、なぜにニョッキ?という疑問は残る。
ただ、以前からこの店ではイタリアっぽい皿がコースに織り込まれていたので、その意味では違和感はないが。
阿寒湖のザリガニとジロール茸。これはソースがとりわけ上手にできていて美味しい。来年のザリガニ最盛期にまた食べたい。
頭や骨をきれいに外してまとめた鮎に、タプナードのソース。錦糸瓜とゴーヤのオイル。
定番料理は分かるのだけど、今年だけでもう何回食べたかな?
履歴を残して、客ごとに少しずつ内容を変えてくれたら、誠にありがたい。
メインは、仏鴨とフォアグラのパイ包み。これは見た目からして、疑問手。
まず、まとまりがない。食べ始めると、食材がバラバラになる。パイが頼りなく、薄くてシナシナなため、効果が不明。
これは、師匠的にはどうなんだろう? 新シェフには率直に伝えたが、あまり響かなかった様子。
美味しいパイ包みは、断面からして旨そうに見える。食材が層を織りなし、パイ生地との比率も適切で、食べやすく仕上げっている。
これは、鴨の胸肉が分厚すぎて切りにくい。なによりパイの中で、具材がとっちらかっている。
1つ前の投稿の「ア・ターブル」のパイ包みと比較してみてほしいものだが・・・。
と、色々書いたが、それでもこの店を応援していく気持ちに変わりはない。
新シェフの一層の飛躍を願うばかりだ。