このブログを続けて読んでくださっている方は、とうの昔にお気づきだろうが、管理人はお店の新規開拓に全然熱心ではない。
同じような店に繰り返し出向いているだけなので、ゆえにブログは全然人気がない。
もっと、焼肉やラーメンや丼物の店に行けばよいのだろうが、そんな気力も時間もない。
ごくたまに、信頼できる筋から美味い店の情報を得たときにかぎり、出かけていくことにしている。
この店、「ア・ターブル」も推しを受けての訪問。
窓からは神田明神の裏階段が見える立地。ポツンとフレンチ、という場所柄である。
店内は、いたってビストロ・チック。だが、出てくる料理はかなり本格派の古典料理。
当然ながら、お値段も。
このギャップが、好みを分けるところかもしれない。
アミューズは、レストラン未満、という感じ。ハムとサワークリームを挟んだおつまみは、泡やビールが進む味。
アラカルトでまずは軽めの前菜、トウモロコシのムースを選択。
やさしい甘さながら、ねっとりと濃厚な余韻を残す。上の黒いチュイルは視覚的にも味覚的にも、あまり効果的とは思えないが。
ホタテのムースを巻き込んだ鰻の料理。
神田明神至近ということで、メニューに鰻をみつけたら、ついつい食べたくなる条件反射。
甘みを帯びたソースもかば焼きを想起させる。しかし技法はまさしくクラシック・フレンチのもの。
最近は鱧や穴子など、長物を出す仏伊料理屋が増えているが、これは久々のヒット。
事前情報で「パイ自慢の店」と聞いていたので、メインは鳩とフォアグラ、鮑のパイ包みをオーダー。
鮑はスモークを効かせていて、この香りが絶妙。ミンチやソースにも鮑の肝を溶かし込み、ほのかな苦みと磯の風味が漂う。
それが肉類とケンカせず、よくマッチしているのだから不思議なものだ。
鮑とフォアグラという罰当りな組み合わせだが、A5和牛とキャビアのような脈絡の無い成金感は全くない。
そしてご自慢するだけあって、パイはさっくり、バターも程よく香って、誠に結構であった。
接客もフレンドリーで、肩ひじ張ることはない。
気楽に、しかし料理は本格派のフレンチを楽しみたい向きには、おススメである。