保守的な傾向 晴山 三田 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

この店は、もうどれくらい通っているだろうか。

ここまで定期的に出かけている日本料理店は、他にない。

ゆえに、定番料理と新しい料理は、だいたいすぐに見分けがつく。

 

8月末の訪問だったが、手堅いというか、やや保守的というか、思い切った新作のようなものが特にみられなかったコースであった。

鮎や鱧は、実にオーソドックスな調理。ゆえに晩夏ともなると、双方かなりの回数を他店でも食べているため、さすがに飽きが来る。

できれば、何か一工夫を、と思わぬでもない。

 

初手は、能登の白バイ貝に冬瓜のすり流し。見た目にも涼やか。イマドキ風のキャビアだトリュフだといった派手さはないが、暑さに参った体に沁みこむ1品。

定番の海老真薯椀。上には青ずいき。ブリッとした食感のタネを噛みしめると、甲殻の甘やかな味わいがじんわり広がる。

造りは、赤いかと鱧の落とし。個人的には、鱧の食べ方として最も好きではない落としが、まさか8月末に出てくるとは思っておらず、不意打ちを食らったような気分。食べログ4.48のお店であれば、もう少し趣向を凝らしてくれてもよいような。

気仙沼の戻り鰹。まだそれほど脂が乗り切っておらず、重くない。

夏の定番、鮑雲丹うどん。このブログには、一体何枚、この料理の写真がアップされているだろうか。

他店でも派生的料理がいろいろ考案されているが、本家に勝るものと出会ったことはない。

うざく。皮目を炭火でバリッと焼いた、誠に香ばしい鰻。おいしい。間違いなくおいしい。が、これもやや当たり前すぎるような。

岐阜・吉田川の鮎の塩焼き。これまたパリっと焼かれて悪くはないのだが、この時期はもう鮎疲れしている。

対馬のアナゴの天ぷら。温泉卵出汁につけて食べるという趣向。黄身をまとうと、たいていのものはよりおいしく感じるわけで。

炊き合わせは、甘長を飛騨牛で巻いたもの。喜ぶ客が多そうな料理ではある。

新イクラのご飯。うまいに決まっている。抗いようはない。

桃とデラウエアのデザートで終了。

 

何というか、割と遊びのない料理だったというのが、お分かりいただけただろうか。