本日は前回の続き、人は忘れやすいからこそ定着させ方をコチラの本を中心にまとめてみました
40歳以降、脳の容積は10年に5%ずつ減る
もしあなたが20代で、認知機能の衰えを心配する必要はないと思っているのであれば、考え直してほしい。人間の脳は25歳になってようやく完成する。神経科学者の中には、脳は30代まで成長し続けると考えている人もいる。つまり、20代での食生活、睡眠、運動習慣、飲酒などの生活習慣のすべてが、脳の成長に影響するということだ。
30代で、脳は完全に成熟し、同時に、自然な老化が始まる。この頃になると、1日に8万5000個ものニューロンが失われ、数値化できるほどの認知機能の衰えが現れ始める。この年代で脳をケアして老化のプロセスを遅らせれば、より健康で、幸せで、知的な中年期を過ごすことができるだろう。
40歳を超えると、脳の容積は平均で10年に5%ずつ減っていく。しかし、これはあくまで平均値であり、脳をケアする新しい習慣を身につければ、加齢による脳の減少を抑えることができる。また、40代では、短期記憶、推論、発話の流暢さに支障が出てくることがある。もっとも、この年代になると、脳は、感情をコントロールしたり他者に共感したりするのがうまくなる。さらに、集中力と注意力も40代でピークを迎える。
50代では、全体的な知識量がピークに達し、新しい情報を習得し理解する能力もピークになる。このことは、中高年の人々が若い頃より認知テストのスコアが高くなる理由の一つだ。頭脳の明晰さは50代がピークかもしれないが、語彙力は60代から70代前半でピークになる。60代のパイロットは、コックピットの機器をチェックするのに時間がかかるかもしれないが、専門知識を蓄積しているため、若いパイロットより操縦がうまい。
70代になると、脳が萎縮するスピードは速まるが、体と頭をよく使っている人は、20代の頃と同じくらい幸福で、精神的にも健康であることがわかっている。また、70代の人は20代の人より幸福度が高いことを脳画像が示唆している。
幸運にも80歳以上になれた人は、これまで以上に脳の健康を保ち、認知機能を向上させ続ける必要がある。脳をケアすれば、いつまでも元気でいられて、友人や家族と交流し、本を読み、映画を見て、趣味を楽しむことができる。脳画像研究で知られる米エイメン・クリニックで私は、80代の人でも脳の血流が改善され、脳機能が向上するのを見てきた。いくつになっても脳は変えられることを覚えておこう。
10分で脳を活性化させる10の方法
私はよく患者に、「脳を放っておいてはいけない」と言う。あなたが何歳であろうと、脳を改善することは可能だ。今すぐ始められる方法を紹介しよう。
1 早歩きする
ほんの短い時間でも運動すると、脳の血流が増え、創造性が高まり、新しいアイデアが生まれやすくなり、全体的な実行機能が向上する。仕事中に頭が働かなくなったときや、大きな会議の準備をしなければならないときには、脳とキャリアのために、オフィス周辺を早足で歩こう。
2 ダークチョコレートを食べる
ダークチョコレートはミネラルが豊富で、フラボノイドと呼ばれる健康に良い植物成分が多く含まれている。フラボノイドはフリーラジカルを消し、脳への血流と酸素供給を促進する。ある研究では、記憶力と反応速度を測定する2時間前にダークチョコレートを食べると、その両方が向上した。注意してほしいのは、この効果はダークチョコレートに限られることだ。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートにフラボノイドはあまり含まれない。
3 背筋を伸ばして座る
胸を張り、首と背筋を伸ばして座ると、脳への血流が一気に増える。また、正しい姿勢で座ると、他者からの評価が上がり、自信が増す。
4 利き手でないほうの手で書く
このちょっとしたエクササイズは、脳をなじみのある安全地帯から外へ引っ張り出すことでニューロン新生を促し、既存のニューロンの接続を強化する。携帯電話での文字入力やパソコンでのタイピングばかりしている人は、文字を手で書くだけでも、脳にとって新鮮な刺激になる。
5 ブルーベリーを食べる
新たなニューロンを育てたいのであれば、ブルーベリーをたくさん食べよう。ブルーベリーにはフラボノイドやポリフェノールなど、体に良い成分が多く含まれる。これらの成分はニューロン新生を促進する。
6 語彙を増やす
語彙を増やすと、認知機能や知性が高まり、海馬では新たなニューロンが続々と生まれる。これを毎日続けるには、例えば、日々新たな言葉を紹介する日めくりカレンダーを買うか、そのような機能を携帯電話の辞書アプリにダウンロードするといいだろう。
7 毎朝、今日をより良く生きる方法を思い描く
このエクササイズを実践すると、心が落ち着き、ストレスが減るだけでなく、気分が明るくなり、仕事、運動、生活全般において、能力を最大限発揮できる。プロのスポーツ選手や企業の経営者も、この戦術を重要なイベントの前に使ったり、毎朝の習慣にしたりしている。
8 10分間の空白時間を持つ
テレビも電話もない部屋にこもる。電話の着信音、ブザー、チャイム、ニュース、テレビ番組など、気が散るもの、拘束されるもの、ストレス源になるものが何もない部屋で、10 分間、目を閉じたり開いたりして過ごそう。このエクササイズは交感神経系を鎮めるので、朝行えば、終日、精神と感情をコントロールしやすくなる。
9 香りでストレスを解消しよう
家やオフィスでエッセンシャルオイルを使うと、ストレスを和らげ、交感神経系を落ち着かせ、脳波を変化させ、ひいては認知機能と気分を向上させることができる。例えば、ラベンダーはストレスを軽減し、ベルガモットは活力を高め、フランキンセンスは脳への酸素供給を促進することがわかっている。
10 感謝していることを一つ書く
感謝していることを一つ、付箋に書き、バスルームの鏡や冷蔵庫の扉、オフィスのパソコンなど、1日に何度も目にする場所に貼っておこう。この小さなリマインダーは、それを見るたびにあなたを落ち着かせ、ストレスを和らげ、気分を上げてくれる。
日経ビジネスより
脳の重さは約1,300g、体重の約2%、
デジタルメモリーにして250万ギガバイト相当の記憶容量を持つと考えられている。対してスマホの記憶容量は、最新の機種でも512ギガバイトだ。仮に脳にテレビ番組を録画する機能があるとしたら、300万時間分のテレビ番組を録画できる。300年以上テレビをつけっ放しにしていても録画できるほどだと、サイエンティフィック・アメリカン誌は形容している。
科学者の中には、脳をコンピューターにたとえる人がいるが、脳の内部構造はパソコンの内部とは似ても似つかない。人間の脳は、重量の75%が水、容積の60%が脂肪、脳には神経細胞が集まっていて、その数は1000億を超えるそうです。 そして、この神経細胞を包む膜(細胞膜)を作る材料も脂質です。
脂質のうち50%は神経細胞を保護するコレステロール、残り50%は神経組織を活性化させ、情報伝達をスムーズにするリン脂質やDHAで、
脳の神経細胞のうち、ミエリンと呼ばれる部分の75%は脂肪でできていて、これが神経伝達のスピードを決めます。この構造が悪ければ脳機能にも影響が出ます。神経細胞は他に、別の細胞との結合部シナプスに全身で最も高濃度のDHA(オメガ3)を持っています。これが不足すれば細胞間の交信に問題が生じます。
脳の構造だけでなく、全身に脳からの指令を届けるメッセンジャーもまた必須脂肪酸から作られます。免疫細胞の活動と停止、血管の拡張と収縮などを制御する役目で、オメガ3から作られるプロスタグランジン3、オメガ6から作られるプロスタグランジン1や2といったメッセンジャーがあり、互いにアクセルとブレーキのように正反対のメッセージを届けるので、調和の取れた脳機能にはオメガ3とオメガ6のバランスが鍵になります。 残り40%が、たんぱく質だ。
集中力や記憶力、頭を使う作業をする直前に水を500mL飲むと、水を飲まなかった人に比べ約14%程度パフォーマンスが高くなるいうことが研究によって判明されています。
脳は75%が水でその水分が血液の循環をスムーズにしている。いかに身体にとってお水が大事か
脳細胞は何歳になっても生み出せる
初めに少し悲しい真実をお知らせしよう。私たちは自然な老化現象として、毎日数千個のニューロンを失っている。過剰なストレス、環境や水や食べ物に含まれる重金属や薬剤といった有害物質のせいで、さらに多くのニューロンを失う場合もある。もちろん、薬物やアルコールの問題、中程度の脳損傷、脳卒中、パーキンソン病やアルツハイマーなどの認知機能障害も、ニューロンを失う原因になる。
次に、少々良いニュースをお知らせしよう。脳には約1000億個のニューロンがあり、これらは体内で最も寿命の長い細胞の部類に入る。大半のニューロンは私たちとともに生まれ、ともに成長し、私たちが死ぬまで生き続ける。したがって、認知機能を長く維持するには、ニューロンの健康を維持することが大切だ。
最後に、素晴らしいニュースをお知らせする。以前は、大人になると新たなニューロンは生まれないと考えられていたが、それが間違いだとわかった。60代でも、70代でも、80代でも、何歳になっても新しいニューロンを生み出すことができる。
健康なニューロンが増えれば増えるほど賢明な判断をより早く下せるようになり、集中力と記憶力が向上し、「実行機能」と呼ばれる、行動を制御する高次の認知スキルを維持しやすくなる。脳の老化とはニューロンが死ぬことなので、新たなニューロンを生み出してその欠落を補えば、脳を若返らせることができるはずだ。
人間の脳は、重さは体重の2%しかないが、体内の血液の15~20%を必要とする。酸素と栄養を含む血液を脳の司令塔に送り続けるために、他の臓器への血流がストップすることさえある。
また、脳は筋肉の3倍、酸素を使う。血液は、その酸素をニューロンに送り届けて、ニューロンが効率よく働き、発火し、信号を送れるようにしている。血流が十分でないと、ニューロンは死に始める。
脳の血流が要
血流は、脳にグルコース(ブドウ糖)も運んでいる。グルコースはニューロンのエネルギー源だ。脳は筋肉と違って、グルコースを蓄えることができないので、血流が十分でないと、脳の組織はエネルギー不足に陥る。しかも、脳は大食いで、体内のグルコースの40~60%を消費する。また、血流はグルコースのほかに、ビタミン、ミネラル、脂肪、アミノ酸、電解質など、脳にとって欠かせない栄養素も運んでいる。脳への栄養と酸素の供給が少しでも減ると、集中力、記憶力、創造力、判断力、マルチタスク能力などの認知機能と気分を司る脳領域がうまく働かなくなる。
脳内の血流には、もう一つ重要な役割がある。それは、脳内に蓄積する老廃物を洗い流すことだ。蓄積すると脳を破壊し、アルツハイマー病の発症に深く関係していると言われているアミロイドベータと呼ばれるタンパク質もその一つだ。
ストレスの多い状況が終わらず延々と続くと、脳に悪影響が及ぶ。動脈の内壁にプラークが蓄積して動脈が狭まり長期的なダメージをもたらす上、ストレスのせいで首の筋肉が緊張するため、脳への血流がさらに減る。
強いストレスが長期間続くと、新たなニューロンが生まれなくなり、それどころか、既存のニューロンが死に始めてしまう。慢性的なストレスは、脳組織の老化ももたらし、脳震とうや神経変性疾患に似た形で、ニューロンの寿命を縮める。
私たちがストレスを受けると、コルチゾールが生成される。少量のコルチゾールはいくらかメリットがあるが、多すぎるコルチゾールは、体重増加から睡眠障害、海馬の萎縮、集中力や記憶力の低下まで、様々な害を及ぼす。また、コルチゾールは、扁桃体を太らせ、その働きを強化する。扁桃体は脳の深部にあるアーモンド形の器官で、記憶に情動的な意味づけをする。扁桃体が大きくなり活発に働くようになると、人は恐怖と不安に対して敏感になる。
私たちは、精神的、情動的、身体的なストレスに加え、環境ストレスにもさらされている。環境ストレスの問題は、現代社会でますます大きくなっている。食べる物、飲む物、着る物、肌につける物、家庭やオフィスで使う物など、あらゆる物に化学物質が使われているからだ。呼吸する大気に含まれる汚染物質もストレスを増大させ、脳に害を及ぼし、認知機能の低下や認知障害のリスクを高めている。