409.いつもと同じ浴室~そんなに急かさなくても 今夜は長い夜になる | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→ 408.夢とアルフレッドⅡ~お前にはもう俺なんか必要ないのかと思うと惨めで 忘れてしまいたかったんだ に続くシン目線でお送りします

 

 

「あ~~~~~っ!!!」
チェギョンは 急に甦る過去の記憶に 驚きの声を上げる
いつのまにか二人きりにしてくれてたコン内官とチェ尚宮が 慌ててダイニングへ戻って来た


「「いかがなさいましたか妃宮媽媽?」」
「あ いえ…あの… そろそろお風呂に入ろうかな… ね? へへ」
首を捻る従者二名
ははっ
なんか久しぶりに お前らしい姿が見れて 嬉しいよ

 

急に…悪戯心が湧く

 

「そうか じゃあ 入浴の準備をしてくれ」

「畏まりました」

チェ尚宮とコン内官が下がると俺は 徐に席を立ち チェギョンの座るダイニングチェアの背後に廻る

「そんなに急かさなくても 今夜は長い夜になる」

「ふぇ?それって どういう…」

「ノンネッコヤ…/お前は俺の物だ

俺の許可なしにはもう何処へも行ってはならないと じっくり解らせてやらないと…」

チェギョンの首に腕を廻す

「え…と…でも…あの…あたし…」

慌てて丸い腹部を守るように両手で抱く(イダク)

はは… 俺は獣か?

「ダメなのか?」

「え…ダメじゃ ない の かも… よく… 解んないけど その… 考えもしなかったから…」

何をだよ?…は?まさか本気で言ってるのか?!

「ヒドイな…子供が出来たら夫の事は蚊帳の外なのか?」

傷付いた振りをして背を向けると 慌てて立ち上がる

「ち 違うの!もう会えないかもと思ってたし!」

背を向けた俺の袖を遠慮がちに摘まむ

「会えても ミニョンさんが正妃で 側室なんて相手にして貰えないかと…

その…少なくとも産まれるまでは…ナイと」

はぁ…全く…

笑い出したいのを堪える俺の肩が震える

「怒った?…怒ったの?」

「それは 違うと言ったじゃないか」

「うん…そうなんだけど…でも…あんまり急だったし 心の準備が…」

「なんの準備が居るというんだよ」

「だって… あたしのお腹… 凄い… みっともなくなってるんだよ?

見たら…アニ 見せらんないよ!」

 

笑いが… 徐々に 引いていく

そうか… いや 勿論忘れた訳じゃない

以前のままの細い腰を抱いて 朝まで離さないつもりで居た訳でもない

寧ろ その逆だ

腹の中に俺の子を宿したチェギョンの 裸の腹を 見たいと… 触れたいと望んでいる

チェギョンに 俺の子を孕ませたい… 俺がそう渇望して成したのだから

ソンが産まれた日の あの時の気持ちを 忘れるはずも無い

307.覚醒した欲望~きっと今よりもっと愛おしくなる

だがチェギョンは 変わりゆく姿を側で見守った訳でもない俺に 唐突に変貌したかのような姿を見られるのが… 嫌なんだな 女心ってやつか? でも

俺だって 徐々に膨らんでいく腹を撫でながら言葉を掛けたり胎名を呼んでみたりしたかった

「俺が 望んでもか? 俺が見たくても 嫌か?」

 

「え…い 嫌っていうか… 恥ずかしいよ…

前の姿とは全然違くて… ケアしてたつもりだけど… ひび割れちゃったし…」

俺だけの特権を ソ・ジテに奪われたんだぞ?!

それでも…ダメなのか?!

「触れたいんだ

お前の腹に 俺の子が居ると思うと 신기한데 ...シンギハンデ/不思議で 좋아서チョアソ/嬉しくて…

그냥 ... 확인하고 싶다/クニャン…ファギナゴシプタ/ただ確認したいんだ

返事は 無い

さっき立ち上がった俺を引き留めようと掴んだシャツの左袖を ちょっとだけ摘まんだまま

ずっと押し黙っている それが返事なんだな 解ったよ

「悪かったよ

お前の気持ちを無視した考えだった

見られたく無いんだよな 解った

いいよ 産まれるまで 見ないから 先に…」

俺の袖からチェギョンの右手をそっと外して 先に入浴するように言いかけたその時

「違うの!違う 違った! こんなの只の言い訳だ!

見ないって言われて解った

ホントは見て欲しい 触って欲しい」

じゃあなんで…

「それどころか それ以上を望んでる…

희망/(ヒマン/希望(赤ちゃん))に良くないかも知れないのに…シンくんと…どうにかなりたいなんて我儘 自分が怖いよ」

背中にしがみついたチェギョンの手をそっとほどいて向き直り その両手を包むように愛しむ

歓びに胸が沸き立つのを どう押さえれば良いんだ?

「望んで くれるのか?」

「でも 怖いの だって…」

様々な理由が チェギョンの頭を駆け巡って居るのが解る

「うん…解るよ

俺も 抑えられなくなるのは 怖い

でもそれより お前と子供を 傷付けたくない

だから 大丈夫だ」

「ホント?」

「ああ 約束する」

チェギョンを抱き上げ ダイニングテーブルの上に座らせて 両頬を包む

「キスしていいか?」

途端に不満げに唇をへの字に曲げる

「どうして聞くの?」

「急にして 驚かせると良くないかと」

「いいに決まってる!」

「ああ 返事は解ってる」

 

「御入浴の準備が整いました…っと 失礼致しました」

チェ尚宮が深々と頭を下げるのが視界に入ると 名残惜しくチェギョンの唇を解放する

「ですがあの…殿下… 妃宮さまに御無理は…」

やれやれ…

「今その話をしていたところだ 心配には及ばない」

「申し訳ございません」

うん…

「いや これからは 以前よりも助言が必要だ

二度と間違いが起こらぬよう 特に妃宮の胸中に関しては 些細な変化も私に知らせるよう 貴女に頼んでおこう」

「はい 畏まりました殿下」

チェ尚宮が下がるのを待たずに もう一度チェギョンの唇を食む

舌を絡めて艶かしい水音がするとチェギョンが身を捩るので 追いかける

「んっ!ダメよ…こんなキス 困る!」

っち

「なら先に入浴しろ 堪える自信が無い」

「…は~い」

残念そうにするなよな… 俺の方がより残念だってのに

チェギョンがダイニングを出ていくと テーブルの上のアルフレッドを寝室へ連れて行こうと振り返える

と…

どういうわけか 両手で目を覆うようなポーズをしていた

…は?誰もやってないのに勝手に?

「おまえ… いったい何者なんだ?」

当然アルフレッドは答えてはくれない

ぬいぐるみ相手に可笑しいだろ?

でも不思議じゃないか…

俺の見た夢と同じ夢をチェギョンにも見せたらしいが…随分印象の違う物だった

なぜ?何のために?

SideStory「吸血鬼」

357.東宮殿から消えたモノ~俺を 完膚なきまでに叩きのめす必要が有ったのかよ? )

俺はあの夢を見てジテやミニョンを警戒した… チェギョンにもそうさせてくれたら良かったのに…

それにしても

いくら逆光だったからって… いくら双子だからって… ジヌに抱きつくなんて…

ジヌもジヌだ 慌てたからって 皇太子妃を チェギョンを尻餅つくほど突き飛ばすなんて…

くそっ だんだんムカついてきた

 

 

「お待たせ… お風呂 どうぞ」

髪を撒いた白いタオルが ソフトクリームのように聳えるチェギョンは 湯上りの淡く色づく頬を ドライヤーを握った手の甲で抑えて俺の横を通り過ぎる

「うん…」

読むとも無しに開いていた新聞を閉じて浴室へ向かう

 

久しぶりにチェギョンが使った浴室は いつもと同じ浴室とは思えない程甘い香りが充満していて… 息苦しかった

最愛の妻を取り戻せて 幸せな筈なのに…

俺達の間には 六ヶ月間という 確かな溝が有る

その溝を早く埋めたくて焦ったりしてはいけない

チェギョンは今 出産を控えているんだから

解っている 解っているのに 俺らしくも無く無性に苛つくから もっとムカツク…

 

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ
自分の子が成長すると共にチェギョンのお腹が膨らんでゆくのを夢見ていたのに
6ヶ月間離れて居た間に その楽しみを奪ったジテと 悪夢の正体だったジヌ
ファヨンに始まって どこまでもソ家との因縁に悩まされるイ・シン皇太子殿下です
 

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