Kiss the rain Ⅱ~誰も来ない葬儀に 王族会からの大きな花輪が届いていた | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
「宮」~Love in palace~のYouTube自動再生を止めたい方は
画面右側サイドバーに貼っています 停止して下さい

きらきらコチラは今回初の当サイトオリジナルキャラキム・ミニョンが主人公のサイドストーリーです

このお話は サイドバーの音楽を停止してこちらをお供にどうぞ

注意初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください

お探しのページがあれば目次をお使いください→全体の目次


中等部二年のソウルに初雪が降る少し前
皇帝陛下が崩御されて…皇太子が皇帝に
皇太孫さまは 皇太子に冊封された

厳かな即位式 韓服の礼服を纏った皇太子さまは凛として美しかった
私が呑気に恋なんかしてはいけない相手なのだと知ったのは丁度その頃

「いつまで秘密にしておくの? 一度くらい会わせてやった方が良くないかしら?」
「いいんだ もう何年も会ってない 兄さんだって望んでない」 
「そりゃあ惨めな姿を晒したくはないかもしれないけど…
あなたご存じ無いんでしょ?
あの子最近皇太子に冊封された皇子の事 好きみたいよ?
こっそり撮った写真を大事そうに持ってるの
なにも知らずに憐れなものよ…
真実を知るべきだわ!」
やだ…//// 叔母さん…知ってたの?
っていうか 何を 知るべきなの…?
「兄さんがお怒りを買うような無礼な発言をしたんだから 仕方が無かったんだと 何度も言っただろう?」
え?兄さんって…お父さんのこと?
「でも 皇太孫とはいえ 幼い子供と口論になったことを告げ口されてお怒りを買ったくらいで 何も流刑なんて…」
るけい…?
「流刑だなんて大袈裟な…何を時代錯誤な事言うんだ」
るけい って…あの流刑?
「あんなみじめな生活を強いられて…もう7年も経つのに
ソウルに戻る事を禁じられているから 王族なのに王立病院にも入れないでしょう?
世話する人も居ない闘病生活なんて 流刑みたいなもんじゃないですか」
お父さんが…流刑?闘病生活?
「とにかく 兄さんが望まないのに 会わせる事は出来ない この話はもう終わりだ 解ったね?」
私は二人の前に飛び出した
「いいえ解らない!何今のどういう意味なの?叔父さん!お父さん病気なの?どうしてソウルに戻れないの?王族なのに王立病院に入れないの?」

俄かには信じられない話を聞かされて
父に会いに行くと食い下がって 春川(チュンチョン)の病院へ会いに行った
「ミニョンなのか?大きくなったな…」
七年ぶりに会った父は 七歳の時に別れた私の記憶の中の父とは まるきり違っていた
痩せ細って 目だけがビー玉みたいにギョロリとして…私は なんでだか怖くて近付けなくて…
なのに 次に会いに行く約束の前に 父は他界した


誰も来ない葬儀に 王族会からの大きな花輪が届いていた…
何コレ…こんな仕打ちが…有るの?

その日から私が皇太子を恨む日々が始まった
だけど 学校で毎日目にするのに…近付けもしない
復讐を目論むには余りに相手が大きすぎた
だから私の目標は"いつか貴方のせいで失墜した王族 キム・ヨンチョルの娘として対峙する"
その程度だった
それなのに チャンスが巡ってきた


私が受験予定の韓国芸術高校の演劇映画科を彼が受験すると公表した
本当にただの偶然だった
でも私には只の偶然には思えなかった
私の志望は韓国芸術高校音楽科で声楽コース
彼が私を音楽の道に進ませたようなものなのにまさかこんな…
皇太子が受験に失敗する筈もなく 私も負けられなかった


中等部の頃も彼が時々音楽室でサボっている事を知っていたからきっと高校でも…

思った通りだった

音楽科は私のテリトリーなのに 敵意を抱いてる私の存在も知らずに…そこで舞踏科のミン・ヒョリンと逢い引きしている事実には 堪らない嫌悪感で胸焼けした

デジタルカメラで写真を撮り貯めた
乗馬クラブでもイチャついてるという噂を聞いて 写真を取りに行った
ミン・ヒョリンは皇太子と逢引しながら 幼馴染にもいい顔をする女で…気に入らなかった
多分その幼馴染はミン・ヒョリンをとても大切にしていた
写真を撮っている私を捕まえた彼に ”身を滅ぼすからやめておけ”と忠告めいた事を言われたわ

Power of Love 4~それをしないのが 俺の彼女への愛 だからこそ 信じてくれている

246.従姉~そんなわけないだろう?信じろよ!信じると決めたんじゃ無かったのかよ

カン・イン…大切な女を奪われても 相手が皇太子だからって身を引くの?

バッカみたい

我儘な皇太子は 友人の気持ちなんか考えもせずにイチャついてるのに!
そして 新聞社に持ち込んだ

写真は高値で売れただけじゃなかった
なんと もう一人の皇子の母親 皇太子の伯母にあたる 恵政殿皇太后様に 直々に会いたいと言われ…
お叱りを受けるのかと思ったら 復讐するなら手を貸すと言われた
我儘で生意気な年下の皇子には皇帝になる資質が無いのだと…
ふうん…
どうや皇太后様はご自分の御子息を皇太子位に就かせたいようだった
私は 皇太后様の提案を受け入れ今後も良い写真が撮れたら提供すると約束した

でも私はすっかり世間の噂に騙されていたみたい
ミン・ヒョリンはダミーで本命が他に居たなんてね…
皇太子はスキャンダルを逆手に取り 幼馴染で許嫁のシン・チェギョンとの婚約に漕ぎ着けた

93.記者会見~僕には許嫁が居ます

ミン・ヒョリンは留学してしまうし とんだ見込み違い

皇太子は翌2006年6月 満18歳の誕生日の翌月に 乳母の娘で幼馴染のシン・チェギョンと国婚式を挙げてしまった

100.疑惑と別れⅡ~そんな顔して見ないでくれ頼む…

142.国婚式Ⅰ ~と…チョルスが言いました…と…さ…

庶民出の妃殿下は頼りないく批難されていたけど 私が気に入らないのは皇太子が意中の女と結婚したという事実だけで 私の幼い恋心なんか 憎しみにすっかり掻き消されたものだと… その時は信じていた


世間では 不仲だとか酷評の絶えないカップルだったけれど 仲が良かろうが悪かろうがどっちだって私には関係ない

とにかくぶち壊してやりたくてイライラは募るのに 私にはもはや為す術なんか無かった

恵政殿皇太后様から呼び出され 色仕掛けはどうかと持ちかけられた
「冗談じゃない!私がどれほどあの男を嫌悪しているか ご存知でしょう?」
「そうか…ならば仕方がない 少々手荒な方法で行くしかないな」
「皇太子がすっかりご執心の妃宮が邪魔なのだ
巫女(ムダン)も あの庶民出の娘が皇太子の今後を握る鍵だというので
今のうちに封じておかねばならぬのだ」

一般的な韓国人として 占いはまあ信じるほうだけど…妃宮ね…普通のどこにでもいそうなあの子のどこが皇太子の鍵なの?

でも妃宮の乗るゴンドラに細工をするよう具体的な指示をする恵政殿皇太后様の冷徹な顔は 拒むことなど許さなかった

私が復讐したいのは皇太子であって… 評判の悪かった庶民出の皇太子妃のことはホントにどうでも良かったし だんだんシンデレラと持て囃され始めた彼女に手を下すのは躊躇われたけど…

まあ確かに あの男が望む愛を得るのは不本意だし…

あの子が皇太子の運気を上げるというんなら引き離さなきゃね

前日の夕方に設置されたゴンドラの点検が終わったあと 夏休みの人気のない夜の校舎に忍び込んで ゴンドラのワイヤーに言われた通りの細工をした
あんな大怪我をするとは思ってなかったから…胸が痛んだけど…

166-Ⅰ.外奎章閣図書~叫びだしたいほどの衝動を必死で抑え込み彼女の手を握る手に祈りを込めた

あの子も批難されながら我慢しなくても 皇太子なんかの傍を早く離れればいい

ただそう思ってた

皇太子夫妻がそろっていくはずだったフランスから帰国して 妃宮の実家に泊まるとこなんかまでパパラッチに追い回されて ちょっと気の毒かも…なんて思ったら

今度は 以前から不仲説の有った従兄を殴ったと暴力事件

以来… 皇太子と大君の不仲には妃宮が関係しているとされ 皇室のトライアングルラブロマンスドラマまで放送された

順調に二人の間の溝も深くなったのは確かだった でもどうも気分は晴れなかった

決定的な傷を付けてやろう そうすればきっとスカッとする筈
怪我の所為で後夜祭で踊れなくなった二人が喧嘩している写真を撮ろうと後を追ったら 思いのほか大君殿下との良い雰囲気の写真が撮れた
だけどそれは…きっと恵政殿皇太后様も伏せようとなさるかもと思ったから 私の独断で皇太后様に理もなく皇室のアンチサイトにUPした
そこまですれば 恵政殿皇太后様の思惑通り 妃宮を追い出すことに成功するかに思えた
大成功だった 三人をモデルにした皇室トライアングルラブロマンスは単なるドラマではなく現実なのではと沸き立ち 離婚間近とまで騒がれた

184.最後の芸高祭Ⅲ~多分お互い解ってたけど ホントにもう戻れなかった

それなのに…
皇太后様が即位させたがってる当の大君殿下が ブログを立ち上げてそれに真っ向から反論する記事を書いた

189.Blog~気がついたら ノートパソコンの上に 涙が一粒零れ落ちた

190.相思相愛~どういうつもりなんだ?いいのか?あんな写真公開して

従弟をとても大切に思っていて 従弟の妻となんてありえないと
そして 私の従妹であるキム・ミルとの交際を公表した そのせいで事態は急変

ミルが大君殿下のストーカーしてるのは知ってたけど 全然相手にされてなくて 完全にあの子の片思いの空振りだと思ってたのに…

大君殿下が…自分の位を奪った従弟を…あんな男を庇うなんて…理解できなかった
そのブログにUPされた絵や写真の印象で 世論がああも変わってしまうなんて…
妃宮と大君の不倫説は消えて無くなり 皇太子は実は愛妻家と持て囃された
せっかく私が此処まで追い詰めたというのに 台無しにされて 許せなかった

その年初めての積雪に朝の交通網が乱れた日だった

恵政殿皇太后様に呼び出されて料亭の一室へ 入室されてお座りになった瞬間 開口一番

「皇太子夫妻が ついに合房を済ませた」

がっくりと肩を落としてそう仰った

 

はっきり仰らずとも 私の復讐の手伝いとは名分に過ぎないことは解っていた
でも この日の皇太后様は怒りも露わにわなわなと震えて… 皇太子夫妻がすぐにも子供を授かる事を懼れていらっしゃるようだった

巫女がなんと言ったのか知らないけど 代々宮廷に使える巫女だもの…よほど当たるのか 信じ畏れていらっしゃるのね

ミルからの大君様情報によれば 結局その合房では致してなくて…

皇室を欺いただのなんだのと大騒ぎだったらしいんだけど

結局 クリスマス前に事を成したんだとか

それでまた皇太后さまがイチイチ電話してきて私をせっつくんだもの…


「若い身で閨事に目覚めた皇太子は 曾て私の為に建てられた東宮殿の洋館で夜毎寵姫を抱いているらしい」

215.痕跡と報告~恐れながら…本日皇太子ご夫妻は善き日をお迎えになられ…

え?東宮殿の洋館が…曾て皇太后様の為に建てられたものだと仰った?
大君殿下の復位を望む他にも… それが皇太子夫妻を引き裂きたい理由?
息子の復位というよりも東宮殿そのものを取りかえしたいのかしら?

「妃宮などよりそなたの方が何倍も美しいのだ 色仕掛けでもなんでも使って妃宮を皇太子から引き離すことだってできよう!?」
「冗談じゃない!復讐の為にあの男に我が身を差し出せと?

まだそのようなむごいことをおっしゃるのですか?!」
「呑気な事を言っておるが 卒業して進路が別れてしまうえばもう そなたが復讐できるチャンスは激減してしまうのだぞ!手段を選んでいられる身なのか?!」
指摘されなくても充分解ってた

「もう…復讐は諦めて自分の為に生きるべきなのか…
父は復讐を望んでいないのでは…?
自分が向かうべき方向へ 後ろでは無く前を向くべきなのでしょうか」
秋に世界的音楽祭の声楽部門で最優勝賞を受賞した事は 確かに私の気持ちを変え始めていた
でも…
「なんと弱気な事を…!?
現実を知らぬからそのようなぬるい事を言えるのだ!
あの男 今や まるで盛りの点いた猫の様に宮中のそこかしこで人目も憚らず妃宮と睦む様を晒しているのだぞ!こんなことが許されて良いのか!?

223.雪の庭園で~皇太子が景福宮の庭園で 昼間っから人目も憚らず妃と…

そなたの父親を追い出し そなたに深い傷を負わせたと言うのに 何も知らずのうのうと皇太子の座につき ぬくぬくと東宮殿で暮らし
高校生の身でありながら堂々と自分の意中の娘を妃として娶り まだ春は遠いこの季節に まるで犬猫のように盛って… そんな者が次期皇帝だなど悍ましい
そなたはあの男が皇帝の座に就くのを このまま黙って見過ごす気なのか?!」


嫌悪感は黒い靄で私の胸を包む
何とかしてあの男と対峙する機会が欲しいのに無情に時は過ぎていく

「まだ実行せぬのか?何をしておるのだ そなたの憎しみは 自分の未来が拓けさえすれば薄れる程度のものであったのか?父上の仇を取らずしてそなたに幸福が訪れると思うておるのか?」
電話口で攻め立てられもした

私は とんでもない事だと声を荒げる

こうもけしかけられると 貴女の為にやってるんじゃない!という反発心も湧くけど…

まだ引っ掻き回しただけ このままじゃ終われない

せめてあの男と対峙して父の無念を訴えるまでは諦めたくない



卒業間近の二月 秋の「ワールドミュージックアワード2006」での受賞をきっかけに国民栄誉賞を受賞することになり 景福宮へ参内する事になったのは…
恵政殿皇太后様に向かって弱音を吐いた私に射した 光だった
でも それさえも 皇太后様の根回しだったと後になって知ったけれど
その時の私には 本当に卒業を前に 最後のチャンスだった
世界的歌手への切符を手にすると同時に 復讐のチャンスも巡ってきたんだもの

今回は皇太子に近付く十分に正当な理由が有る
今度ダメだったら…復讐はキッパリ諦めて自分の道を進もう それだけの価値ある光が射しているのだから
ふっ 皇太后さまがご自身の復讐の為に 裏で手を回した授賞だと知っていたら 純粋にそうは思えなかったでしょうね
「今度こそ決行するのだ 受賞の祝賀パティーが絶好のチャンスではないか」
「解りました…」
「不義の既成事実を作るのだ
なあに どうしても既成事実を作るのが嫌ならば でっち上げる為の奥の手が有る」
「奥の手?」
「意識を奪えばよいのだ…
…桃だ」
「桃…でございますか?」
「ああ…シンは幼い頃 桃を食べてショックを起こした事が有る
果実そのものを食べると命を落とす事も考えられるが まあ果汁入りの飲み物ぐらいなら気を失う程度であろう
気を失った隙に そなたが一芝居 襲われたと騒ぐだけで良いのだ
事を大きくせずとも イギサとパパラッチだけで充分だ
失敗するでないぞ 今度こそ皇太子を潰すのだ」

そしてあの日…私は妃宮が離れた隙に あの男に桃のシャンパンを手渡した
それを一気に煽ったあの男は…化粧室から戻った妃宮の胸へ倒れ込み
驚くほどスムーズに 私の控室へ運び込む事に成功し 動揺する妃宮に水を汲みに行かせた

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ
新シリーズサイドストーリー「Kiss the rain」オッテヨ?
本編を休んで 敢えて挟ませて頂く必要性少しはご理解頂けたかな?
続きもお楽しみに→8/26(金)

ランキングに参加しています
にほんブログ村 ←ポチ↓ペタ お願いしますふわハート
ペタボタンKissTheRain