長岡と山本五十六ー最近は日本でも再評価
長岡といえば、誰もが思い出すのが山本五十六だろう。ちょうど今、役所広司主演の映画も放映されている。大学のころ長岡高校出身者がいて、いつも山本五十六の話をしていた。その時には特に興味も持たず、真珠湾攻撃を仕掛け、日本を破滅に導いた人、くらいの認識しかなかった。
その後、再び山本五十六の名前を聞いたのは、何とハーバードに留学したとき、学科長の口からだった。日本人で有名な留学生は日露戦争講和の小村寿太郎と山本五十六だと言われた。小村寿太郎は外交官なのでハーバード東アジア科留学も違和感ないが(今でも毎年外務省から来ている)、山本五十六には驚いた。
早速、大学の図書館に行って山本五十六の文献に当たってみた。すると今までの自分の印象とは違い、アメリカ側の研究でも、山本五十六はアメリカとの戦争に反対だったとなっている。というのは、ハーバードやワシントンの大使館にいて、アメリカの国力は知っており、こんな国と戦争をしても勝てっこないことを五十六が一番よく知っていたというのだ。
しかし、当時の軍部の中でそんなことを言ったら、間違いなく失脚だろう。そこで五十六は、もしアメリカと戦うならば短期決戦だ。真珠湾を攻撃して半年以内に決着を付けるという方針を示した。ハワイの真珠湾アリゾナ記念館にも同様の記述があった。
となると、山本五十六は稀代の戦略家ということになる。しかし、五十六が死んだ後、結果は最悪となった。こういう人物の評価は本当に難しいが、少なくとも戦後の極端な五十六批判は間違いだったとはいえる。最近はむしろ日本でも再評価の流れができているのは、歴史上の人物を公平にみるという意味でいい傾向だ。
長岡での不思議な出会いー僧侶になった弁護士の長男の話
先日、長岡に行ったときに不思議な人にあった。藤井盛光さんといって、私が学生時代からお世話になっている藤井輝久弁護士の長男だ。昨年末に藤井弁護士から「長男が突然、僧侶になった」と聞かされて私自身も度肝を抜かれた。「理研にいたのではないですか」と聞いたら、長岡の名刹の一人娘と結婚して、僧侶になり、また長岡の市議会議員もしているのだという。
たまたま先週、長岡に行く機会があったので、その名刹に行ってみた。興国寺といって、小泉首相の就任演説で有名になった「米百表」の小林虎三郎の墓のある寺だ。盛光住職は市議会議員もしているだけあって、仏教の話など全くなく、話題は政治一色だ。特に長岡の疲弊を何とかしたいのだという。
今は地方都市は皆そうなのだが、駅前はシャッター通りになっていて、活気がない。その点、長岡は新幹線の駅ができたせいか、他の地方都市と比べて活気がある気がした。やはり田中角栄のおかげだろうか。内情を知らない身には、それほど疲弊しているとは感じなかった。
普通の科学者から僧侶、市議会議員への転進とは、さすがに藤井弁護士の息子さんだと思った。藤井弁護士も変り種で、歴史に対する造詣が深い。また独自の「藤井史学」といわれる世界をつくっている。この世界にはなかなか入り込めないのだが、写楽は源内と言ったり、卑弥呼は中国の豪族公孫氏の娘といった独自の説を持っている。
ともかく、地方から声をあげる人がどんどん出てきていいと思う。またそうしないと日本は絶対に変わらない。今後も藤井盛光さんの活躍に期待したい。
経団連と東大が秋入学で定期的に勉強会ー秋学期には産業界も協力
東大の秋入学方針が各方面に波紋を広げている。「秋入学」自体は経団連でも、少なくとも15年前から検討していた。やはり「国際化」というのは錦の御旗であり、筋論となる。4月入学自体が国際的には数カ国しかなく、とにかく日本の大学生が留学しようにも就職時期との兼ね合いが悪く、かなりの障害になっていたことも事実だ。
いくら海外の一流大学に留学しても、就職できなければ意味がない。他方、企業は「優秀な人材」を常に求めている。これからは東大で優秀な成績を収めたが、全く海外に出たことがない人材よりも、海外で揉まれた人材を企業は求めることになろう。となると、秋学期への移行は企業としても大歓迎で、東大側と企業側の利害は一致した。
そこで、東大と経団連が定期的に懇談の場を持つことになったのは極めて自然な流れだ。多くの大学も秋学期に賛成で、企業側も賛成となると、これで完全に流れは決まった。態度保留の残りの大学もなだれを打って秋学期に賛成となるだろう。
しかし、大学関係者は経団連が検討する前から、秋学期への問題意識はあったはずだ。しかし、これが具体的な議論になったのは昨年からだ。日本の若者の留学数が中国や韓国にまで負けるようになって、初めておしりに火がついて検討を急いだのが実情だろう。日本人の行動パターンは黒船のころと全く変わっておらず、「外圧」がないと動かない。
まあこれからは常にいろいろな外圧があるので、それでも良いのかもしれないが、外圧が来てからだとどうしても遅くなる。特に世の中の変化のスピードの速い現在においては、少しの遅れが致命的になる可能性があるので要注意だ。TPPなどはその典型で、参加表明が他国より一日でも遅れれば致命傷になる事だってありうる。
外圧なくして主体的に動ける日本は、いつになったら来るのだろうか。
海陽学園から最初の卒業生ー進学実績はどうなる?
昨日の日経新聞に久々に愛知海陽学園のことが出ていた。いよいよ第一期卒業生が出るようだ。鳴り物入りで開校しただけに、その進学実績は気になるところだ。ユダヤ人になった石角莞爾さんに言わせると、結局は文部科学省の指導要領のもとで運営しているので、アメリカのボーディングスクールのように自由に教えることはできないというのだが。
海陽学園の校長のコメントとしては、いい授業をしている自信はあるものの父兄は進学がよくないと納得しないという。確かにその通りだろう。全寮制なので授業料も高い。奨学金制度もあるようだが、まだまだ成績優秀者だけのものだろう。もし、いい「結果」がでたらもう一度注目されるだろうが、悪かったら見向きもされなくなる可能性がある。こういう灯を日本で消さないためにも、いい結果になってほしい。
海陽学園も高いが、アメリカのボーディングスクールにいくとなると、これは相当な経済力が必要になる。とても全ての人がいけるはずもない。奨学金もどうしても留学生は取りにくい。欧米で主流の全寮制の学校が日本でも増 えるといいのだが、まずは第一号の海陽学園の成功が是非とも必要だ。
どういう授業をしているのか、外部からは想像もできないが、受験対策もしているに違いない。進学結果が揃う3月が恐いが、楽しみでもある。
アメリカ社会の変貌に驚きー帰国者からの報告
最近、アメリカから帰国した方から話を聞いて驚いたことがある。カリフォルニアに住んでいた人だが、最近のアメリカ社会は「日本化」しているというのだ。私がアメリカにいた20年前は、アメリカ人はアグレッシブで、何でも自分の主張を言わねばならない、という感じだった。最近では、自己主張をする人は白い目で見られる傾向があるようだ。まさに日本のコミュニティだ。
また黒人の地位向上が顕著だという。大統領が黒人になったのだから予想されたことではある。20年前は隣に黒人が引っ越してくると地価が10分の一になるので、近所ごと反対したものらしいが、今ではその反対もしずらいらしい。やはり大統領は重要だ。
同様に、ヒスパニックなどの有色人種の地位向上が顕著のようだ。これも大統領が黒人になったかららしい。これらの人種は出生率も高く 、アメリカの国の中で大いに伸びているようだ。こういう人がアメリカ社会のマジョリティになる日も遠くない将来くるだろう。
振り返って日本は日本人とアイヌ人しかいない。実質的には単一民族だ。それでは優秀な外国人もこない。人口が減る国なのだから、外国人にも魅力的な国にならないと困る。東大から始まった秋入学は優秀な外国人を日本に留学させる一つの方法だが、それだけでは日本が魅力的な国にはならない。日本社会もアメリカのように変わらないと何かますます衰退するような気がする。
原子力関係会議の議事録がないー役所の常識からして有り得ないこと
先週来、原子力関係会議の「議事録」がないことが話題になっている。同席していたのは主に内閣府の役人だ。しかし、こんなことが本当に有り得るのか?いや、絶対にないことだ。本当に議事録がないとしたら菅首相(当時)に「議事録はつくるな」と言われた以外に考えられない。現に、今日の報道では菅さんを聴取する方針だそうだ。
昔、経団連に勤めていたころ、よく役所の審議会を傍聴した。審議会のメンバーは20名程度 なのだが、受付は3,4名いるのには驚いた。会議室では彼らが必死でメモをとり、録音もしている。2,3日で議事録(案)ができ、経団連から委員が出ていたため、それをチェックするのが私の役目だった。議事録はさすがに正確だった。
原子力関係会合で、録音はしていないにしても、役人は詳細なメモを取っているはずだ。まだまだ再現できる。早急につくってほしい。最近は審議会関係も議事録を原則公開になっているので、まずいこともあるのだろうが、会議も国民の税金で行っている以上、我々も知る権利はある。
世の中、すべてガラス張りの方向で動いているので、会議の記録を隠すような行為は厳しく非難されるようになってきた。ましてや、我々の生命も脅かす原子力問題だ。未だに3月11日、12日の官邸の動きがわからないところがある。その時の総理の動きを批判するだけでなく、次につなげていかないと多くの税金がまた無駄になろう。
東大が秋入学に移行ー当然の流れ
東大が秋入学に変える中間報告をまとめたそうだ。国際的に秋入学が圧倒的に多いので、これは遅かれ早かれそうなる流れだろう。もともと明治時代には秋入学だったが、日本独特の年度予算の関係で4月入学になったようだ。確かに国際的な学生の移動がなかった時代にはそれでよかったが、もはや大学生も国際的に動く時代になったので、多くの国の制度に合わせる必要がある。
東大が秋入学に変えると、間違いなく他の大学も追随するだろう。企業の採用も変わってくる。さらに高校を卒業した後に半年くらい空白ができるので、その間に留学したり働いたりできる。もっとも卒業式も6月くらいになるので就職時期は7月とかになろう。
海外の大学生の日本への留学も円滑にできるようになる。日本の大学は圧倒的に留学生が少ない。日本のよさを知ってもらうためには、若いうちに日本に来てもらった方がいい。もちろん、日本の大学生の海外留学にも都合がよくなる。若者の内向き志向を変えていかないと日本はますます衰退しそうだ。
問題はいかに早く秋入学に移行できるかだろう。方向性が決まった後はともかく早く実施して、他大学の秋入学
への加速を促すことが東大の役割でもある。
経産省官僚のインサイダーに驚きー株取引禁止のお触れが出ていたはずだが
経産省の前エネ庁次長が逮捕された。昭和56年入省の木村さんという人だが、この人とは面識はない。まあ今時、経産省職員で株取引をしていたのだから、ちょっとズレた人だろう。数多くのインサイダー事件を経て、経産省内では株取引が実質禁止されていたからだ。遅かれ早かれ、捕まる人だったのだろう。
初め「エネ庁次長」という役職がマスコミで報道されたため、かなり焦った。今のエネ庁次長は昭和57年入省の今井さんだからだ。今井さんには留学の時以来、言葉では表せないほどお世話になっている。しかし、今井さんほどの人がインサイダーなどするはずはなく、犯人は前のエネ庁次長だったのは言うまでもない。
一般的にサラリーマンで出世する人は「用心深い」。サラリーマンは基本的に減点主義なので、ミスや小さな不祥事でも命取りになる。だからサラリーマンの「三ない」原則は、「休まない、遅刻をしない、仕事をしない」と言われている。いずれも減点主義を意識してのことだ。
昔は、特にバブルの時期には「インサイダー」らしき情報はどこの会社にもあった。しかし多くはカゼネタで、痛い思いをした人も多かったはずだ。この経産省の人は自分の担当していた会社に関する情報であったたね「ガセネタ」でも何でもない。100%の情報だけに罪は大きい。
消費税増税の前で、公務員への風当たりが強い時にこんなことをしていたとはKYもいいところだ。一部報道では次官候補だったというが(もっともキャリアは全員、次官候補だが)、とても信じられない。経済産業省で出世する人は、ともかく周りの空気を読める人であることは共通している。
官僚は公僕であり、我々の血税で仕事をしている以上、社会をよくするための仕事をしてもらわねば困るのは言うまでもない。霞ヶ関官僚は自分たちのことを何か特権階級だと勘違いしている人も見受けられる。事はたまたま表に出てきた一人の男だけの話ではない。
今年の米大統領選はオバマ対ロムニーに決定かーハーバード同士の対決
今年は大統領選の年だ。予備選はおそらく盛り上がらず、共和党は前マサチューセッツ州知事のロムニーにほぼ決定という感じだ。この人には2002年のマサチューセッツ知事選で一度だけ話を聞いたことがある。ちょうどその時に2度目のハーバード留学をしており、たまたま一度目の留学のときにお世話になったロバート・ライシュ教授が知事選に立候補していて、その応援らしきことをしていたからだ。
ロバート・ライシュはクリントンのエール・ロースクールの同級生で、クリントン政権で労働長官を務めた。経緯は知らないが、なぜか2002年のマサチューセッツ知事選に立候補していた。しかし、本人も言っていたようにライシュはロムニーには勝ち目はなかった。それほどロムニーとは強い候補で、ボストンでは絶対的な人気を誇っていたエドワード・ケネディに上院選で善戦したことは有名だ。
民主党はおそらくオバマが候補になり、オバマ対ロムニーという構図が予備選を前にできている。ともにハーバード大学院卒で、最近の大統領選では初のハーバード同士の対決になる。2004年のブッシュ対ケリーがエールのしかも同じ「スカル・アンド・ボーンズ」という少人数サークル同士の対決になったことは、日本のマスコミでも報道された。
アメリカ独立初期は、大学そのものが少なかったのでハーバードの卒業生同士が争うことは多かっただろう。ワシントンは軍人だが、二代目のアダムズはボストン出身のハーバード卒で、息子のクインジー・アダムズも大統領になった。そのころはボストンがアメリカの中心だった時代だから当然だが、200年ぶりにボストンに関係の深い二人の争いになるのはボストニアンには感慨深いものがあろう。
アメリカは今、南部、西部の「サンベルト」地帯の人口が増えていて、北部からの最後の大統領がケネディだと言われていた。オバマがその説を破ったが、これはインターネットの普及が原因ではないか。出身地に関わりなく、自分の意見を全土に浸透させることが可能になったことが大きい。事実、オバマは初めてのインターネットを重視した選挙戦を行った。
大統領選は選挙の年の景気が現職の当落を決めると言われている。今年アメリカ景気が回復すればオバマで回復しなければロムニーが当選するのだろうか。それにしても、アメリカは小粒になったとはいえ優秀な人がトップになる。日本の政治家の不毛を省みて、うらやましい限りだ。
野田首相の「消費税増税」への偏狭的な執念ー財務省に洗脳された?
人間は一度思い込みをすると、なかなか元には戻れなくなる。今の野田首相は間違いなくそう見える。民主党が国民にマニフェストで何を約束しようが、行革が進まなかろうが、とにかく消費税を上げたいようだ。それが政治家としての使命、良心だと勘違いしている。困ったものだ。
しかし、当然これには原因がある。野田首相だって、政権を取ったころは「官の無駄を徹底的に省いてから増税の話をしよう」というまともな考えだったはずだ。でも菅前首相と同じく、財務大臣になってから財務官僚の洗脳に会い、消費税絶対増税路線になってしまったのだろう。
以前、ある自民党閣僚経験者から聞いたが、政治家は「現在の世代を犠牲にして将来の世代を助ける」という論理に弱い。そういう説明をすれば絶対に乗ってくるそうだ。財務官僚は、言うまでもなくそのあたりのことは知り尽くしているので、野田首相を説得することなど赤子の手をひねるようなものだったろう。同様のことを元大蔵官僚から聞いた。
問題は「政治家は誰のために仕事をするか」である。もちろん国民のためだ。官僚のために政治をするのではない。これは野田首相に声を大にして言いたい。財務省としては消費税増税は悲願だ。但し、これは省益のためであって、国益でも国民のためでもないことが大問題なのだ。
国が大変なことになっていることは国民皆が知っている。しかし、この難局の打開の方法は、消費税を上げて景気を冷やすことでは絶対にない。財務省が省益を追求することは組織である以上、ある程度仕方がない面もあるが、これを制するのが総理や大臣の役目だ。官僚のいいなりになる総理や政治家のためにこの国が滅びることになったら、まさにこの国は大変だ。