発達障害と水星のハードアスペクト

水星のハードアスペクトを持つ人は発達障害の診断を受けやすい、というような意見があります。

私はこれについては断固反対の立場なのですが(そんなに単純なことではないので)、発達障害自体は脳機能の障害によるものというのが定義らしいので、確かにそういう意味では水星のハードととらえられなくもないな、とは思います。

ただ…やはりネイタルチャートのホイールだけを見て判断できるものではないと思います。

ちょうど最近、別の方が発達障害などの原因は親の精神状態にもあるのではないか？というポストをしていらしたのを見たのですが、それならそれで親の精神状態に影響されやすい星を持っているはずです。ということは大抵の場合、月か4ハウスか8ハウスの部分で見ることになるのではないかと思いますが、私は今までそのような決定的な何かをつかんでくることはありませんでした。

それは単純に私の鑑定数の少なさが原因です。鑑定の数が少なければ当然発達障害のお子さんを見る機会も少なくなるので、そのために「これ」というのは言えない、という結論に今のところ至っています。

ハーフサム事典には発達障害になりえる軸の接触が書いてありますが、私が見た発達障害の方々は全員、これに当てはまりませんでした。一人もいなかったということです。では、なぜこのように言われるのか。

この事典はおそらくエバーティンの本を元にしてほとんど翻訳のような形で書いてあるのだと思うのですが、その当時の背景と今の背景が違うということも一つの原因ではないかと思います。

また、双子(一卵性)のうち、一人だけ発達障害と診断されたというケースを見たことがありますが、その双子は水星のハードアスペクトはなく、また1分違いの出生時間でありながら、強烈な違いがありました。この部分はミッドポイントでしか出ない部分です。ハーモニクスであっても、そこまで大きな差は出ないのでやはり、ミッドポイントや分割調波はこういう細かいことを見る時には欠かせないものなのだと痛感しました。

分割調波でも、明らかにこれだなというのがあったのです。

発達障害にもいろいろありますが、お母様がおっしゃるその子の性質を如実に表すものでした。

ではこの差を、ネイタルチャートのホイールを見ただけで判断できたか？というと、私にはその能力と知識がありません。

1分違いでアスペクトも全く同じ、アセンダントの度数だけが1度違いというこの双子の差を、どこで見れば良いのか。

サビアンシンボルで見れば良いのかもしれませんが、サビアンシンボルは私はこじつけになってしまいそうで(私が読むからです。ほかの方なら多分そうはならない)見るのはちょっとなぁ…と思います。

そしてそのサビアンシンボルの差がどうして発達障害の子とそうでない子に分かれるのかも説明ができません。

なので、私は大事な時ほどサビアンシンボルは読みません。

そして双子の場合はなおさら、親の精神状態が関わるのは平等であるはずなのに、片方だけがその診断をされるのは説明ができないのです。

なのでやはり、その人の星はその人のものとして、きちんと細かいところまでお悩みに合わせて読むべきではないかと思っています。どちらにしても診断することやその対策についてあれこれと言うことは越権行為である、という意見は変わっていません。ただ、「なぜこのようになったのか」という親御さんの気持ちも、共感は無理でも理解はできるので、その点においては占い師だからこそ提供できるものはあるのではないかと思っています。特に去年から今年にかけては発達障害などの事例を見ることが多かったので、余計に「占い師にしか言えない、むしろ科学的でないように見えることは言おう」という気持ちに傾いています。「なぜこのようなことになったのですか」と医師に尋ねたとして、明確な答えが返ってくるわけではないと思うからです。「確率の問題」としか、医師側も言えないでしょう。ひそやかに「晩婚化しているから発達障害が多くなっているのでは」という意見も見聞きしますがそれこそ統計を取らないと分からないし、若い親御さんのところにもそういう子はいるので、やはり一概には言えなくてあくまでも確率論でしかないのではと思っています。

でも親の精神状態にしろ何にしろ、親御さんのことを責めるような結果を告げるような鑑定内容であってはいけないと、個人的には思っています。何の解決にもなりません。うまく誘導できるならいいですが、占いは所詮付け焼刃の立場にしかなれません。