金星は何の天体の上に成り立つか【幸せについて】

私は何でも言い方が極端になりがちだから、「金星ってなくても人生にはそう困らないんだよね～」みたいな話をへらへらしながらしゃべったら、ある生徒さんから「そんなことないと思う」という反論の記事を書かれていた。こういうところ、気を付けなければと思うのだが…なんでも極端に寄るのは良くない。

さて、なぜ金星が「余剰」なのかというと、木星や月の上に金星は成り立たないからである。

金星は幸せには直結しないので、すでに幸せな状態にさらにトッピングをするようなものだとイメージしてもらうといいかもしれない。アラザンはそれ自体がおいしいものではなく、お菓子という土台があってこそ輝くし意味を持つ。お菓子のアラザンやカラースプレーのようなものと理解していただきたい。

女性であればコスメやアクセサリーに例えても良いかもしれない。別にないならないでもいいし、困るものではない。ただ生活に潤いと輝きが増すのみである。

それでいいじゃないかと思われるだろうか。

だが、それが幸せには直結しないのである。

すでに幸せな状態でなければならない。

どういうことか。

木星は「幸せ」を管轄する天体だが、そもそも月の示す暮らしがきちんと運営されていることが第一条件である。うつ状態なのに幸せも何もあったものではない。小さいことに幸せを感じられるのは精神的に健全であることが絶対だ。そしてそれは水星にも波及する。今水星のことはそこまで大した問題ではないから割愛するとして、もとより大事なのは木星である。

ところで、何をもって幸せとするかは人によると言われるが、幸せの定義とは何だろうか。

社会全体が幸せでなければ個人の幸福はあり得ないとする宮沢賢治の言い分もあるが、これは占星術的に言えば的を射ていると言える。木星は社会であり、善の世界を作るからだ。占星術で言うなら、お互いがお互いを尊重することによってシステム(土星)の中で守られて生きることによって、その個人の特性や特技(火星)が生かされることによって個性は発揮され(太陽)、その上でしか金星は輝かないのであるから、やはり人生の優先順位としては低いのだ。

お金がないのに金星だなんだと言っている場合ではない。

金星を「私には必要な天体だ」と言えるのはその人が今幸せな証拠である。

金運は金星で測るのではなく木星で測るのだから、やはり金星だけでは生活はできない。

そして金星は刹那的なものであって、それだけで恋愛や結婚ができるものでもない。

マズローの法則でおなじみのマズローは「絶対的な幸福などない」と説いている。それはそうだろう。人間は欲深いから、あれが叶えば今度はこれも、となるのだ。そしてその欲求はとどまるところを知らないから、不老長寿を願うようになる。

医療が金持ちのためにあってはならないと某医師が言っていたがこれも全くその通りで、これは生きる最低限のものが提供されるのが医療だからである。本来、お金で長寿を保つなどということは不自然で、自然の摂理に反することなのだ。

さて、動物園のクマやトラが檻の中をぐるぐると徘徊しているのを見たことがある人も多いだろう。あれは習性ではない。能動的な行動を、数少ない選択肢の中からやっているに過ぎない。つまり本来なら縄張りをパトロールするなどの行為が野生下においてできるものが、野生ではないからそれができないので、代替行為のようなものである。過激な人はこれを「ノイローゼだ」と言う。これは、火星を動かしている行動に等しいと言える。もう木星の状態は守られていて、要するに外敵に襲われる心配もなければ餓死する心配もないので、日がな一日ヒマなんである。だからこそ、何かを能動的にしたいと考えて、運動の形で火星を動かすことによって平静を保っているのだ。

ああいう行為をするのは基本的に高等な知能を持つ動物だけである。ヤギが徘徊などしない。

ここまで聞いて、では彼ら動物は幸せと言えるだろうか？と聞かれて、「はい」と答えられる人がどれだけいるだろうか。

休みたい、カネの心配をしたくないと思いながらその実、このような生活を望んでいるわけではないことがよくわかるのではないか。

人の幸せの定義は個人によって変わるとは言われるが、ある程度の指標や土台はあるはずだ。

まず幸せと思えるには、「今までよりもより良い状態」をキープできることが必須である。マズローの言う「絶対的な幸福などない」というのはそういう理由からではないだろうか。つまりは、ずっと右肩上がりでなければ現状に慣れてしまって感動が薄まり、「なんか楽しいことないかな」「幸せになりたーい」などとのたまうことになる。

相手がいないときには彼氏が欲しいと言い、彼氏ができたらプレゼントがイマイチだったと文句を言い、3年も経てばなんでプロポーズしてくれないのかと悩み、いざ結婚したら今度は相手の稼ぎが少ないと言い、さらに子供が生まれれば言うことを聞かないとか勉強しないとか嘆く。そして子供が親の手を離れたら今度は全然顔を見せてくれないと言い、孫ができたら子育ての仕方がなってないと怒る。

このように段階を踏んでどんどん欲求はエスカレートしていくのだから、絶対的幸福などないというのはごく自然なことで、このようなエスカレートをとがめる権利は誰にもない。常に幸福を追求する権利を皆が持っているというだけの話である。

だがこれらの話には必ず木星が関わる。それは、社会の中に個人の幸せがあるとした宮沢賢治の、あるいは仏教の主張が反映されているかのようである。しかし逆に、金星の話が一切出てこない。まぁ、「もらったプレゼントがイマイチだった」というくだりだけは金星だが、それ以外は基本的にすべて木星か、もしくは土星の管轄の話なのである。

これらのことは生活が成立していればこそだから、月の上に金星が成り立つし、何度も言うが安心で安全な世界にいることが前提なのだから木星もしくは土星が関わることである。その上に金星は成り立つ。

金星だって刹那的な幸せは運んでくるが、それはもはや「ときめき」である。

ときめきは瞬間的なものである。

可愛いと思って買ったコスメ、(使用期限の話は別として)1年後もうっとり眺めていられる人がどれだけいるだろうか？だから、金星は刹那的なのである。そのコスメはほったらかして新しいものを買いに走りはしないだろうか？やれ新作が出た、やれ限定品と言って飛びつきはしないだろうか？これらのことは金星と火星によって成立させられているのだから、「幸せ」そのものとは違うと言える。

いかにして断捨離をするか？という話で、X(旧Twitter)上で「捨てるときに中身を見るな。見ると「やっぱり…」とときめいて捨てられなくなる」と書いている人がいた。これは断捨離あるあるだと思うが、要するに性質として流動的で反射に近い部分があるので、見てしまうと金星が発動してしまうということだ。身に覚えのある人も多いのではないだろうか。一度捨てるとした天王星的決意はいとも簡単に葬り去られるのである。瞬間的に。結局要らなくなって「やっぱ捨てる」となるわけだが。

だからある意味で、物で幸せになろうというときには大きいもの、ある程度金額の張るものでしか得られないのではないかと思う。我が同居人は何しろ道具が好きだから、特に使いもしないのに集めては「いいわぁ、これで酒が飲める」などと言ってはばからないのだが、こういった物たちは少なくとも10万円単位だしものが大きいから、常にそこにあるのだ。しまい込めるコスメなどとはわけが違う。大きいもの＝木星だし、ある程度金額がするものも木星である。

つまり結局、大きな意味での金運も幸せも、木星が管轄するということなので金星よりも木星を大事にすべきだし、というかそもそも生活の安定を図るのなら月をどうにかしなければならない。

もちろん月さえ良ければ良いということではない。せんべい布団でも寝れないことはないが、それよりはふかふかのベッドがいいに決まっている。これは「設備」という点で見れば木星なのである。それを飾る、フランフランの布団カバーとかは金星であるが、そこにこだわるからと言って睡眠の質が上がるわけではない。起きているときに、しかも買うときに一番テンションが上がるのみである。せいぜいその日か二日後までしか効果はもたないから、あとは日常に紛れていくのが金星なのだ。

さて、そういうわけでうっすらと星を絡めて幸せについて、そして主題である金星とほかの天体との関係性を述べてきたが、自分の幸せはどんなものであるか、想像してみてほしい。想像できることは実現可能というからには、そこには海王星の力も借りて、絶対的幸福の果てへと夢を描いていただきたい。

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