映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン -20ページ目


ミステリー仕立ての復讐劇である。
「メルト」
しかし、チャールズ・ブロンソンやクリント・イーストウッド、メル・ギブソン等、ヒーローは出て来ない。


映し出されるのは、現在の孤独なエヴァと、少女時代のエヴァ。
エヴァの過去に何があったのか?
何かを企んでるようだが、一体何をするつもりなのか?


親友との危険を孕んだ幼い遊び。
そして裏切り。
現在のエヴァは、悲しい過去を抱えたままひっそりと生きている。


いわゆるトラウマ映画と呼ばれるものがあるとしたら、これもその一つ。
比較されているのは、尖った芸術家ばかり。
ラース・フォン・トリアーやミヒャエル・ハネケ、ヨルゴス・ランティモス。


自分も彼らを追い掛けてきたが、特にラース・フォン・トリアーとは類似性を感じる。
「奇跡の海」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」等、問題作、衝撃作を発表し続け、自身も様々な問題を抱えている監督だ。
救いのなさも、決して負けてない。


ベルギー女優フィーラ・バーテンスの監督デビュー作。
ここまで徹底した物語を描けるのだから、今後も楽しみである。
主人公を演じた二人の女優にも注目したい。


大人のエヴァ、シャーロット・デ・ブリュイヌと13歳のローザ・マーチャント。
特にローザはデビュー作であり、サンダンス映画祭で最優秀演技賞を受賞。
精神的にも肉体的にも苦しい役だが、これは申し分ない名演である。


#Me Too運動以降、女性の復讐劇は後を絶たない。
スカッとするものもあれば、復讐のやり方は様々。
エヴァの復讐は悲しいが、これまで背負い続けた十字架の重さを感じさせ、我々にも暗く深い余韻を残す秀逸なエンディングである。








我々の世代で、手塚治虫さんの影響を受けていない人はそんなにいないのではないか?
自分はもうもろに影響を受けた人間。
1月の「ブラック・ジャック展」、3月の「火の鳥展」に続く、待望の「手塚治虫展」。


八王子の東京富士美術館。
何と言っても自分はブラック・ジャックの大ファン。
何度も何度も読み返しては、その生き様、台詞に打ちのめされてきた。


物語の圧倒的な力。
人間対人間の濃くて熱いドラマ。
たった何ページかの物語に、凝縮されたそれぞれの人生と出会え、感動的だ。


「ブッダ」も「火の鳥」も、「アドルフに告ぐ」も「 人間昆虫記」や戦争物の短編も、どれも素晴らしい。
手塚治虫さんの生涯を余すところなく我々に伝えてくれるのが、この「手塚治虫展」。
60年の人生で、これ程の作品を発表するとは常人の出来ることではない。


偉業は語り継がれ、読み継がれ。
もっともっと次の世代にも伝わってほしい。
そして、手塚治虫さんが命懸けで描き続けた物語の平和への願いが、多くの人に伝わることを望む。







先日韓国を旅行した時を思い出した。
もし入国の時に躓いたら?
別室へ連れて行かれ、執拗に質問を浴びせられたら?


映画「入国審査」は、監督の実体験を元に作られた映画だ。
アメリカへの移住を望むカップルが足止めを喰らう。
二人は明らかに審査官に怪しまれている。


誰の身にも起こるというのが、この映画のポイント。
特に現在のトランプ政権では尚更だろう。
心理サスペンスで、じわじわと揺さぶりを掛けられる。


撮影期間は僅か17日間。
製作費も65万ドル。
上映時間も77分とコンパクト。


有名な俳優も出演していないが、高評価。
カップルの関係も次第に崩されていくという緊迫したサスペンス。
自分もそこは面白いと思った。


だが、クライマックスが相当淡泊で、そこは残念だった。
もう一捻り、二捻り、あっても良かったのでは?
これは意見が分かれるだろうが。


あまりにもリアルで、明日は我が身。
とても他人事とは思えない。
その恐怖がこの映画の魅力である。