映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン -19ページ目


今、大人気の「トーベとムーミン展」。
六本木では、水木しげるさんや楳図かずおさん、手塚治虫さん等を見てきたが、今回は特に内容が良い。
エンターテイメント性、サービス精神を感じる。


とても心地いい空間だった。
ムーミンはファンタジー要素も強いけど、物悲しさが魅力。
フィンランドの風景と相まって、それぞれ個性的なキャラクターの冒険が楽しい。


自由で我が道を行くスナフキンを好きな人は多いと思う。
あんな風に生きたいけれど、世間が許してくれない。
社会が許してくれない。


それでも自由を選ぶスナフキンは格好いい。
女性客が多く、世代もバラバラだ。
どの世代にも共感出来る魅力があるのだろうな。


トーベ・ヤンソンという人を知れば知る程、余計にムーミンの物語に深みが増す。
因みに自分の住処は、怪獣やヒーローでいっぱいだが、ムーミンのキャラクターだらけでもある。
どこにいても彼らが和ませてくれるのだ。







イギリスの俳優テレンス・スタンプが亡くなった。
87歳だった。
役を徹底して選ぶイメージ。


若い頃は美しく、犯罪者を演じた「コレクター」は衝撃だった。
多くの俳優が参考にしただろう。
蝶のコレクターで、女を誘拐する男。


日本のドラマなら、「ずっとあなたが好きだった」の冬彦さんだ。
カンヌ国際映画祭で主演男優賞。
その後、「テオレマ」や「スーパーマン」の敵役。


老いても渋く、セクシーで、悪の匂いも強烈だった。
「アンコール!」で演じた頑固な老人も魅力的だった。
王道じゃないところが、いかにも彼らしい。


凄味があり、登場する度にドキドキさせた。
「コレクター」の危うさは、彼の中にずっと存在した。
俳優が憧れる、癖のある、癖になる俳優であった。






いつもそうなんだ、ブログをログアウトしてと 言われて。
その後ログインが出来なくなる。
毎回そう、パスワード入れても簡単に復活せず、ある日突然元に戻る。


まあ、いいか。
ブラジルにウォルター・サレスという、優れた映画監督がいる。
その名を知らしめたのは2本の作品。


ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品「セントラル・ステーション」と、チェ・ゲバラの若い頃を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」だ。
今から20年以上前の、どちらも優れたロード・ムービーである。
その後はパッとしなかった。


新作「アイム・スティル・ヒア」でアカデミー賞国際長編映画賞を受賞。
ウォルター・サレスの完全復活だ。
こちらがいくら期待しても、期待に応えてくれると信じていた。


1970年、軍事政権下のブラジル。
突然消息を絶ったルーベンス・バイヴァと、尋問を受け、自由を奪われた妻エウニセ。
5人の子供達を抱えた、長い戦いの始まりだった。


ウォルター・サレスには、この実在の物語に特別な思いがあった。
バイヴァ家とは親しい関係で、子供達と友達だったのだと言う。
この喪失の物語を今撮らなければ、と思ったのだ。


エウニセを演じるフェルナンダ・トーレスは、「セントラル・ステーション」で演技を絶賛されたフェルナンダ・モンテネグロの娘である。
母のモンテネグロが90歳を超えて、主人公の老年期で登場する場面は、感動的だ。
揺れるブラジルという国に、人生を奪われた女性と家族。


ウォルター・サレスが撮りたいもの、撮るべきものを撮って、表舞台に復活した。
ブラジルの今を嘆き、この題材を選んだ。
若手育成だけでなく、まだまだ自身の監督作を発表し続けることに期待したい。