前回は、地上系放送局の決算データを分析した結果をまとめてみたが、総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」の配布資料を分析してみた。
 
 「ラジオ放送事業者の経営概況とラジオにおける新しい動き」
 
資料は平成5年(1993年)を100として平成20年(2008年)のリーマン・ショックを経て、平成26年(2014年)までの20年間をグラフにしてある。
 

 
表中「テレビ単営は地上デジタルテレビジョン基幹放送局、「AM単営」は中波AMラジオ基幹放送局、「FM単営」は超短波FMラジオ基幹放送局。
 
売上高
総務省「ラジオ放送事業者の経営概況とラジオにおける新しい動き」(平成28年1月29日)
 
地上テレビ局の売上高は平成20年度のリーマンショック以降減少に転じたものの、ここ数年は回復傾向にある。
AMラジオ局は一貫して減少傾向にあり、平成26年度には平成5年度の約5割の水準まで減少した。
FMラジオ局は、平成10年度から減少傾向で、平成22年度以降回復傾向にあるものの、平成26年度には、平成5年度の 約7割の規模まで減少している。
 

 
営業利益
総務省「ラジオ放送事業者の経営概況とラジオにおける新しい動き」(平成28年1月29日)
 
地上テレビ局は平成14年(2002年)に本格化した地デジ化(地上デジタルテレビ放送)対応にリーマンショックも加わり、「アナログ停波」の平成24年(2012年)直前に平成5年レベルに戻るまで営業利益が減少している。
 
FMラジオ局はリーマンショックの影響を受けるも、経営規模が小さなため回復も早いことが解る。一方、従業員数の多いAMラジオ局は、営業収支の改善が進まず、厳しい経営が続いている。
 

 
下表は出稿側から見たテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットへの広告出稿先別の金額を比較している。
 
広告費
総務省「ラジオ放送事業者の経営概況とラジオにおける新しい動き」(平成28年1月29日)
 
平成20年度(リーマンショック)頃まで減少傾向で、その後やや回復したが、平成26年度においてもピーク時には遠く及ばない。
インターネット広告は、リーマンショックに関わらず順調に伸び続け、平成26年には1兆円を超えるまでに伸び続けている。
新聞、雑誌の広告も下落傾向が止まらない。平成21年(2009年)に新聞広告とインターネット広告の出稿額が逆転した。
 

 
現状で民間放送局は広告料収入に依存している訳だが、改めて前回も申し上げた通り、広告の「水商売」ぶりを感じさせる次第だ。
 
次回は、地上テレビ局の目先に迫る展望を考えてみます。
 
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