前回のRIAAカーブとゲインの設定を調整することで、音質が思っていた以上に向上しました。

今回は、さらに細かな設定をしてみることにします。それはMCカートリッジの負荷抵抗の適正値を探ることです。

今まで使ったMCヘッドアンプに負荷抵抗の調節がある機種を使ったことがなく、金田式電流伝送フォノ以外は昇圧トランスを使用するMM型のフォノイコライザが殆んどでした。そんな知識不足のためmicro iPhono2を使いこなせずにいた訳です。


micro iPhono2にはMM用に負荷容量100pF〜500pFの調整、MC用に22Ω〜47kΩの調整が出来るマイクロスイッチが裏面にあります。

前回のテストでは、初期設定の47kΩになってましたが、音質が良かったのでそのままにしてました。

まず手始めに現在使っているMCカートリッジ  「シェルター 501」の負荷抵抗を調べてみることにします。負荷抵抗値を調べて見たのですが、データで確認出来たのは次期モデルのModel501mk2しかありません。
コイル内部抵抗が12Ωとあり負荷抵抗はトランスで10Ω以下、ヘッドアンプでは100Ω以下とありました。


・シェルター Model 501Ⅱ 仕様
出力電圧: 0.4mV/
内部抵抗 : 12Ω /
負荷抵抗:10Ω以下(トランス)、100Ω以下(ヘッドアンプ)/
自重 約8g/針圧範囲: 1.4-1.8g/
針先:0.1mm角ソリッドダイヤモンド 楕円針

一般的には内部抵抗が12Ωのヘッドアンプの場合は、それ以上に設定するのが普通らしいです。micro iPhono2は22Ω〜47kΩまで、8段階の調整が出来るようになっています。

今回は、裏面のマイクロスイッチの位置を100Ωと1kΩで比較して音質の違いを確かめてみました。




抵抗値が大きいと全体がタイトになり、高域が伸びて低域が腰高になり、低域の力強さが感じられません。

逆に抵抗値が小さいと高域が抑えられ大人しく聴こえます。低域は重心が低くなり量感もたっぷり出るようになります。

試聴したレコードは山下達郎さんで行いました。比較的古いレコード「GO AHEAD !」〜「ポケット・ミュージック」は100Ωでバランスが取れていたのですが、「アルチザン」〜新しいアルバム「Softly」は打ち込みの録音のせいか低域が量感たっぷりに入ってるので250Ωの方がバランスがいいと感じました。

これが内部抵抗3Ωのカートリッジだと33Ωぐらいがベストなのかも知れません。


試聴した山下達郎さん「アルチザン」の感想です。

高低のバランスと解像度は間違いなく過去で一番良い音です。整然と整理された空間があり、個々の音が鮮明に聴こえてきます。このアルバムではヴォーカルの音像はセンターに存在するのですが、その他の楽器の定位は定まっていない感じです。これは意図的にそうしてるのかも知れませんね。




今までは金田式電流伝送フォノイコライザーが最強だと思っていたのですが、micro iPhono2の電源部を自作の物に変えて、細部の設定を適切化することで音質が劇的に良くなりました。音の鮮度とリアルさでは金田式電流伝送に一歩及ばない点はありますが、その差は極僅かです。その他の大部分はmicro iPhono2方が優れていると感じました。

ただJazzなど古い録音のレコードやライヴ録音的な物は金田式電流伝送がハマる可能性が高いと思います。比較的新しい録音のレコードは、圧倒的にmicro iPhono2が優れていました。


その後、竹内まりやさん、大滝詠一さん等のレコードを次々聴きましたが、レコードの中にこんなに情報が入っていたのかと驚くばかりです。



これからはカートリッジごとに細かな調整をして、尚且つレコードごとにコロンビアカーブなどのイコライザーカーブの切り替えなどをしてレコード鑑賞を楽しめるのが嬉しいですね。

micro iPhono2は断捨離の対象からの見事な復活劇で、メインシステムの地位を奪い取った感が強いです。