第1回

 

遺伝子① 『遺伝子についての基礎的なまとめ』

 

 日本でも新型コロナウイルスワクチンの投与が医療関係者と高齢者から始まっています。

 

 昨年12月、ワクチン接種を考えるに当たって、とても重要となる一つの論文が(専門家の審査を受けていない速報として)報告されていました。この論文は新型コロナウイルスの感染時に「ウイルス遺伝子がヒト遺伝子に組み込まれている」ことを証明しているのですが、今回正式な論文として世界的に有名な科学雑誌で発表されました。

https://www.pnas.org/content/118/21/e2105968118

 

 詳しい内容は次回の記事で紹介しますが、この論文を理解するためには、遺伝子についての知識(DNA, RNA, 遺伝子, 転写、逆転写、組み換え、組み込み・・・)が必要になります。様々な情報をだれでもが正確に理解できるように、遺伝子についての基礎的な知識をできるだけ簡単にまとめてみました。

 

 まず、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はRNAウイルスの仲間です。さらに、今回使用されるコロナワクチンは遺伝子ワクチン(DNAワクチン、mRNAワクチン)や遺伝子組み換えワクチン(ウイルスベクターワクチン)が主流です。

 

 日本で使われる主なワクチンは、ファイザー社とモデルナ社のワクチンがmRNAワクチン、アストラゼネカ社がウイルスベクターワクチンになり、いずれもいままでのワクチンと異なり、ウイルス遺伝子の一部が体内に投与されることに注意してください。

 

 厚生労働省や主要なメディアの専門家は、安全性の根拠としてこれらのワクチン内の遺伝子が人に組み込まれることは「決してない」と説明し続けてきました。今回は実際の新型コロナウイルス感染症にかかった患者(ワクチン接種での報告ではありません)でこの組み込みが起こっていることを示しています。ですから、この報告はワクチンの安全性の根幹に関わります。

 

 遺伝子とは「それぞれの生物のもつタンパク質の設計図」です。すべての生物の遺伝子(設計図)を記録している本体がDNAです。遺伝子の記録にDNAという文字を使っていると考えるとよいでしょう。

 

まず、DNAから必要なタンパク質の情報がRNAにコピーされます。この情報がコピーされたRNAは、他の部位に情報を伝えるという意味でメッセンジャーRNA(mRNA)と言われます(図1)。

 

 DNAは細胞の核の内部にあり、情報の貯蔵(設計図)、mRNAは核から細胞質に出て情報の伝達(作業の指示書)に使われていると考えるといいでしょう。そして細胞質でmRNAの指示書通りにそれぞれのタンパク質が作られることになります。

 

 ウイルスは生物ではないとされていますが遺伝子を持っています。遺伝子の本体がDNAの場合(DNAウイルス)とRNAの場合(RNAウイルス)があります。

 

 ウイルス全体のごく一部ですが、レトロウイルスというウイルスの仲間は、通常とは逆にRNAからDNAを合成(RNA→DNA)し、さらにそのDNAを感染した生物の細胞がもつDNAの中に組み込みます。

 

DNA→RNAを転写といい、転写酵素という酵素が行います。

RNA→DNAを逆転写といい、逆転写酵素という酵素が行います(図1)。

 

 

 通常の生物やレトロウイルス以外のウイルスはRNAからDNAを作る必要がないため、これまでは逆転写酵素はレトロウイルスだけが持っていると考えられていたのですが、現在では同様のものが多くの生物でも見つかっています。

 

 ヒトでも、レトロトランスポゾンという名称で知られ、ヒトの全DNA(約30億塩基対=文字のようなものと考えてください)の約40%もの部分は、太古の昔に、この逆転写酵素の働きにより出来上がったものと推定されています。

 

 重要なのは、ヒトでも条件さえ整えば、RNA(mRNA)からDNAへの変換が起こり、さらに、それがヒトの遺伝子であるDNAに組み込まれることになることです(図2)。

 

 

 つまり、今回のワクチンのように外来の遺伝子(DNAであってもRNAであっても)をヒトの体内に投与すると、それが、いつでもヒトのDNAに組み込まれる可能性があることになります。

 

 次回は「新型コロナウイルス遺伝子がヒト遺伝子に組み込まれる」ことを証明している論文の内容を紹介します。

この論文の重要性を本当に理解する為には、多くの知識が必要であり、そして組み込みの影響についてもとてもたくさんのことが考えられます。

 

 今後は、以下についても順にわかりやすく解説を加える予定です。

 ・ 遺伝子に組み込まれるとは、つまり何が起こるのか?

 ・ コロナウイルスの感染ではなく、スパイクタンパク質自体が病気を起こす可能性

 ・ コロナの自然感染とワクチン接種によるその後の影響の違いは?

 

 

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第2回

 

遺伝子② 『新型コロナウイルスの遺伝子がヒトの遺伝子に組み込まれることを証明した論文』

 

 前回お伝えした通り、「新型コロナウイルス遺伝子がヒト遺伝子に組み込まれる」ことを証明している論文を紹介します。

https://www.pnas.org/content/118/21/e2105968118

 

 はじめに強調しておきますが、この論文は新型コロナウイルスの感染時に起こっていることを示しており、ワクチン接種後に同様のことが起こる事を確かめている訳ではありません(前回の記事にも書いています)。

 

 今回の記事は、とくに医師や医療関係者の方に呼んでいただきたいと思います。専門知識を含む内容になりますので、難しく感じる方は、結論(この記事の表題です)だけでも頭に入れておくといいでしょう。

 

 先に前回の記事の遺伝子についての簡単な説明を読むことを強くお勧めします。(上記 ↑)

https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/3010303815961284

 

 この論文で確認されたことの要点だけを以下にまとめます。詳しく内容を調べたい方は直接原論文をご覧ください。

 

 ① 新型コロナウイルス感染時にウイルス遺伝子の一部がヒト遺伝子に組み込まれている(逆転写だけではなく組み込みも起こっている)

 ② これは、人のだれもが持つLINE1により行われている

さらに、LINE1を使っていないと推定される遺伝子組み込みも起こっている

 ③ これにより感染後に長期にPCR検査が擬陽性になる可能性がある

 ④ この組み込みが新たなウイルスを産生する事はない

 ⑤ この組み込みがその後、人にどのような影響を与えるのかは今後の課題である

 

補足して解説を加えます。

① 新型コロナウイルス感染時にウイルス遺伝子の一部がヒト遺伝子に組み込まれている

 実験室での培養した細胞に感染させた場合、実際のウイルス感染患者から得られた細胞のどちらでも組み込みが起こっています。

 

 ウイルスに感染した場合ではなく、ワクチンを打った時に何が問題と考えられるかは次回以降に説明します。まずは感染時に「遺伝子組み込みが起きている」という事実を理解してください。

 

 遺伝子の組み込みにより、結局何が起こるのか(変わるのか)?実際に感染した時とワクチンの時に何が違うのか?なども後日の記事で考察します。

 

② これは、人のだれもが持つLINE1により行われている

 ヒトはレトロウイルス(前回の記事参照)がもつ逆転写酵素を持ちません。コロナウイルスもレトロウイルスではありませんので逆転写酵素を持ちません。

 

 しかし、LINE1という人のDNA配列に逆転写活性があり、このLINE1は全員が持っています。つまり、逆転写酵素を持っていなくても、だれでもが組み込みを起こす可能性が高いことを示しています。

 

 重要なのは、ワクチンなどにより入って来た遺伝子も、同様にヒトの細胞に組み込まれる可能性があることになります(この報告で確かめているわけではありません)。

 

③ 感染後に長期にPCR検査が擬陽性になる可能性がある

 PCRはウイルス遺伝子のごく一部(断片)を増幅して検出する検査です。この検出部分がヒト遺伝子に組み込まれた場合、感染後に長期にPCR検査が擬陽性になる可能性がでてきます。

 

④ この組み込みが新たなウイルスを産生する事はない

 組み込まれるのはウイルス遺伝子全部ではなく一部になります。ですから、この組み込みが新たなウイルスを産生し、ウイルスがどんどん増殖したり、他人に感染することはありません。

 

⑤ この組み込みがその後、人にどのような影響を与えるのかは今後の課題である

 とても重要です。これにより考えられる影響はとてもたくさんありますので、次回以降の記事でまとめます。

 

 これまで、人もコロナウイルスも逆転写酵素を持たないため、新型コロナワクチンに含まれている遺伝子がヒトに組み込まれる事は「決してない」と説明されつづけてきましたが、この根底が否定されたことになります。

 

 またLINE1はこれまで、自分自身の遺伝子だけを特異的に逆転写で増幅すると説明されてきましたが、今回はウイルスの遺伝子(自分以外)を組み込んでいることが示されており、これもいままでの常識と異なります。

 

 さらに論文では、このLINE1以外の未知の機序によるウイルス遺伝子の組み込みの可能性も示しています。

 

 このように、我々人類の持つ遺伝子についての知識はまったく不完全であり、専門家であってもわかっていない部分がたくさんあると思います。

 

 繰り返しますが、自然感染時に起こる事がワクチンで起こるかどうかは不明です。しかし、今回のワクチンは、最終的に全人類70億人以上への接種を目指しています。つまり、他のあらゆるワクチン以上に安全性が求められる必要があります。

 

 重大な懸念がある場合は、即刻中止すべきだと思いますし、最低でも、説明する事が誠実な対応ではないでしょうか。ましてや、わかっていないことを「絶対にない」などと説明するべきではないでしょう。

 

 次回は「ウイルスの遺伝子がヒトの遺伝子に組み込まれた場合の影響」になります。

 

 

 これまでに書いてきたコロナウイルス関連の記事は以下にまとめています。

 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812

 

 

吉野敏明先生や大橋眞先生ともコラボ講演をしています。

 

 

※ 本間先生は、2021/05/30、山梨県・甲府で講演会を行います。