心を凍らすキラーワード | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

昨日、とある自己啓発系の心理セミナーに参加した時のこと。

セミナーの終わり頃に講師の方が、

「皆んなの前でデモセッションをします。
デモなのであまり深い悩みは出来ませんが、
誰か希望する人はいませんか?」

といった言葉で、
参加者の中で悩みを相談したい人がいないか、
希望者を募りました。
(記憶で書いているので、講師の言葉どおりではありませんが、
私はこのような内容に受け取りました)

個人的に依頼すれば、
1セッション何万円もするという講師の、
デモとはいえセッションを受けられる、
とても貴重な機会であり、
愛着障害や発達障害を抱えている私にとって、
改善出来るなら改善したい悩みは色々あったのですが、
私はこの時、手をあげようとは思いませんでした。

なぜなら。

私はこの日の説明会での、
私に対する講師の方の話し方や態度が、
私に好意的ではないと感じていたため、
なるべく講師の方と関わらないようにしようと、
思っていたからでした。
(あくまで私の主観ですので、事実とは限りません)

けれど、他の参加者を見回しても手を挙げる人はおらず、
誰も手を挙げないと講師の方も困るのではないかという、
ヘンな正義感を発動させてしまった私は、

「じゃあ、、、私、お願いします」

と、手を挙げてしまったのでした。

これが後々、本当に後悔する結果になるとも知らずに。

このデモセッションで講師の方とお話した内容は、
私は気付かなかったけれど、
もしかしたら、悩みを解決するための、
何か特別な仕掛けのある言葉だったのかもしれないため、
詳細を書くことは省きます。

そして、私の動揺した後の記憶に基づいて書いているため、
事実と違っているところがあるかもしれません。

そのことを踏まえて読んでいただければ、と思います。


私はデモセッション用の軽い悩みとして、

「人前で話す時に緊張する」

という悩みを打ち明けたのですが、
その緊張する場面が会社での会議であることを告げると、
自分に与えられた仕事をちゃんと行いたいと思っている、
私の思いとは真逆の解決法を講師から提案されて、
私はその提案は出来ない、と答えました。

その後、講師の方が色々言われたのですが、
私の気持ちには沿わないものばかりだったため、
講師の提案に対して自分の気持ちを伝えていくと、

「あなたは悩みを解決する気持ちが本当にあるんですか?」

と言われてしまいました。

もちろん、悩んでいるのですから、
解決するつもりはちゃんとありました。

このブログでも度々、
会議で辛い思いをしたことを書くくらい、
この会議の司会は私にとって重荷でした。

でも、自分が納得出来ない答えを、
受け入れることは出来ないと思っていたために、
私は講師の提案に対して、自分の気持ちをずっと伝えていたのでした。

自分が受け入れられる解決方法を探すために。

そんな中で突然、講師から言われた、

「あなたは何でその悩みを言われたのですか?」

という質問の意味が、私には理解出来ませんでした。

「悩みを言ってくださいと言われたので、、、」

戸惑いながら私がそう答えると、

「あなたは悩みを言えと言われたから言ったのですね。
そんな方には本当なら、私はお帰りしていただいています」

(言われた通りにしただけなのに、
私はなぜ怒られているんだろう?)

私は講師の言葉に混乱したと同時に、
脳裏に過去の出来事が蘇ってきました。

「あなたみたいな人には帰ってもらっている」

こんなことを言われたのは、
これが初めてではありませんでした。

その時の私は、心に深い傷を負い、
心身共に酷い状態に陥ったのでした。

その時のことを瞬時に思い出し、
私はすぐに自分の心と体を守る態勢をとりました。

これ以上、このデモセッションが長引いたら、
自分が酷く傷ついてしまうと感じた私は、
涙が流れそうになりながら、
精いっぱい講師の言葉に耳を傾け、
これ以上、自分の心がダメージを受けないよう、
受け入れられない講師の言葉は、
聞き流すように努め、
本当に悩みを解決したかったので伝えていた、
講師の提案に対する自分の気持ちは、
全て心の奥へ押し込めました。

そうやって講師の言葉を聞いていた時に、
私の心を凍らしてしまう、
キラーワードが2つ、出てきました。

あなたよりも大変なことをしている人はいる」

「私は一言であなたの悩みを解決出来る」

この言葉を聞いた時に、
私は居る場所を間違えたのだな、と思いました。

私にとって、私より大変な人がいることは、
悩みを悩まない理由にはなりません。

むしろ、自分より大変なことをしている人がいるからこそ、
自分がやらなければいけないことが出来ない自分に、
落ち込んで悩んでしまうのです。

私の悩みを解決する方法を一言で教えてもらっても、
その行動が私に取れるとは限りません。

心の葛藤が多い人間だと自分で分かっているからこそ、
先ほどまでの講師の色々な提案にも、
自分の気持ちがついていかないと訴えていたのです。

多分、愛着障害と発達障害を抱えている私は、
人よりもこだわりが強いため、
相手の言葉を受け入れるのにも納得するにも、
定型発達者よりも多くの時間と言葉を必要とします。

そんな私の態度が、もしかしたら、
講師の目には、
私が冷やかしのような気持ちで、
悩みを相談していると映ったのかもしれません。

けれど、私は本当に大真面目でした。

この問題の解決の糸口だけでも見つかれば嬉しいと期待して、
このデモセッションに望んでいたのです。

しかし、私の気持ちと講師の思いは、
重なることは難しかったようでした。

そのデモセッションの後、
講師の方は私に笑顔を向けてくれましたが、
私は笑顔を返そうとしても、
笑顔がひきつって困ってしまいました。

そして講師はあのデモセッション後、
場合によっては厳しい態度もとると言っていましたが、
私のような自己否定が強くこだわりがある、
愛着障害と発達障害を持っている人間には、
厳しい態度をとるセッションは不向きだと、私は感じました。

心を凍らすキラーワードが出て以降、
私の心の扉はピッタリと閉ざされていて、
講師の方のどんな言葉も、
受け入れることは出来なくなっていました。

そして、今回のこの出来事で、
私は自分の居る場所の間違いに気付くことが出来ました。

私は自分の心の中にある、
愛着障害に関わる信念を変えたくて、
今回の自己啓発系の心理セミナーに参加したのですが、
自己啓発系のセミナーで、
講師の提案する問題解決方法を受け入れられないこだわりの強い私は、
セミナーの邪魔をしていることになるのだということを学びました。

そして、自分が望む問題解決方法は、
以前受講した問題解決セラピスト養成講座や、
大学の臨床心理学の講座で講師が言われていた、
クライアントの心に寄り添う問題解決方法なのだ、と思いました。

そのことが分かっただけでも、今回の経験は良かったのだ、と思います。

そして今回のことで、
外に学びに出て行くのではなく、
自分が今まで学んできたもので、
自分の中の問題に対応出来るものがあるのではないかと、
思えるようになったのでした。