現在、7月8月の2ヶ月間と11月から翌年5月31日まで猿払村内でのイトウ釣り自粛を猿払村、猿払イトウの会でお願いしています。
現在は村内はイトウ釣り自粛期間中です
シリーズ?投稿しています、イトウを取り巻く環境について…
イトウを取り巻く環境について(その3)河川環境の変化(遡上障壁2) | 猿払イトウの会
イトウを取り巻く環境について(その3)河川環境の変化(遡上障壁1) | 猿払イトウの会
イトウを取り巻く環境について(その2) 森林施業がもたらす影響 | 猿払イトウの会
イトウを取り巻く環境について(その1)風力発電建設が及ぼす影響 | 猿払イトウの会
今回は河川改修などについてです
皆さんもご存じと思いますが…
北海道でも本当の意味で自然が残されている河川は少ないのが現状です
河口から源流部まで全くの手つかずの河川…知床の突端?の数河川だけでしょうか??
猿払の河川も全くの手つかずという場所は、部分的にしか存在していないと思います
戦前戦後の木材重要や農地開拓、治水事業で河川は大きな改変を受けてきました
その後も現在残された環境の中で環境が回復?した部分もあれば、人命や財産保護のために
現在も改変や改修等が続いている区間も存在します…
河川環境の改変により、餌生物の減少や変化、生息空間や越冬環境の減少、
水量や水温、水質等と様々な変化が現在でもイトウを含む魚類や
多くの生物に影響していると思います。
猿払の河川では各河川管理者が当会や役場と情報共有して妥協点の模索や改善、配慮をする努力を継続しています…
時代は少し変わったかなと…思いますが「現在のイトウ保護を担っている世代」以降…
この後も引き継がれるのかが気がかりです。
一見、美しい自然が残る猿払川下流…なんて見えますが…
youtube動画のドローン動画などコメントを見ると皆さん誤解されているな…と
1950年台の米軍の航空写真と比較すると見る影もありません…
猿払川下流域から河口部…大規模な河川の直線化と拡幅や浚渫工事、堤防や水門設置が
行われ…
最下流部は一度河岸植生がすべて撤去されています、
当時その光景は非常にショッキングでした
河川改修の歴史は古いですが、最近では2000年代初期に最終的な工事終了?
現在の形になりましたが…水位、河床の低質、塩分濃度の変化は今も継続していると思われます
工事後、徐々に水深や河床材の変化、魚類相の変化が起きて、
とくにイトヨたちの減少が顕著になりました、春から初夏大群で遡上するイトヨは群れを成しそれが途切れることなく川岸を往来し、イトウに追われ川岸や海岸に上がってしまうほど(信じられないほどの数でした)…現在は見る影もなく減ってしまいました
産卵後の重要な餌生物ですのでイトウの生活史にも大きく影響したと思います
これらは河川改修による直線化、旧河川との分断、汽水域の塩分濃度や河床の低質の変化や植生の変化等々が要因かと思われます
(ポロ沼のシジミ漁が出来なくなるほど激減したのは上記に起因すると言われています)
直線化された狩別川…一見、自然豊か?に見えますが河道はまっすぐ、河岸の樹種は柳が占め樹齢も一定です、護岸されている区間も多く改修後の変化も乏しいのが現状…
狩別~カリベツ=アイヌ語ではカリ=回る、すなわち激しく蛇行した川の意味との事です…、
古い航空写真で見ると激しく蛇行しているのがわかり、アイヌ語名がその河川の形態を物語っていましたが…
現在は全くの逆で猿払水系では最も真っ直ぐな河川へと変貌してしまいました
猿払村内で最も環境改変されているのが鬼志別川です
特に河口から鬼志別市街地の下流域がほぼ人工的な河道で、鬼志別市街地に至っては
完全に切り替えられ南側に流路が切り替わっています…
昔は春の融雪増水の度に床下浸水したと聞いていますが
現在は治水対策の河道切り替えと堤防の設置により改善されています
そして近年は日本各地で豪雨災害も起こり、市街地付近の治水対策が重点的に行われ
河畔林の伐採は全国的なものとなっていま
村内河川も定期的に行われていますが漁業とイトウ等に配慮し水面際の樹木は伐採していません
個人的にはもぅ少し河畔林を残して欲しいですが…
現在の治水の考えは河畔林に流下物(倒木等)が引っ掛かり、そこから堤防が決壊する
水の流れが滞るという考えですので…残念ながら治水上河畔林は障害物というとらえ方です
他の地域では…
2017年、イトウが住む、斜里川の支流で行われた河畔林の伐採です
非常に残念ですがこの様に治水が優先される事もあります…
世界遺産の知床がある斜里町でもこの様な工事が普通に行われてしまいます…
この事例は以前も投稿してます
河川改修は生息域だけではなく産卵域にまで波及する場合も多く
農地開発の進んだ天塩、サロベツや声問川はそのダメージが大きいでしょう
村外の産卵河川…直線化され河畔の樹木も貧弱
これでも命を繋いでいます
村内でも開拓初期、特に小規模河川では直線化と農地化で大きな
ダメージを受けた河川もあります
当時は手作業や牛や馬で水路を掘って河川改修していたようです…
ほぼは排水路と化したイトウの産卵河川、産卵環境だけではなく稚魚幼魚の生息環境も
失われています…
サロベツや声問水系では幼魚や稚魚の生息環境となる小河川も、
農地開発や道路設置のために直線化されてしまいます、
中下流の小支流は各水系でほとんどまともな環境が残っていないと思われます
河川改修されていても本流と往来できれば稚魚幼魚の生息環境として利用可能です
声問水系の農地排水路と化した小支流でも稚魚は入り込みます、
増水時などは格好の避難場所です
本流の直線化がされている河川ほどこの様な避難場所が重要になってきますが…