現在、7月8月の2ヶ月間と11月から翌年5月31日まで猿払村内でのイトウ釣り自粛を猿払村、猿払イトウの会でお願いしています。

 

前回の投稿に引き続き

イトウを取り巻く環境と脅威について

前回は風力発電計画について投稿しましたが

今回は山林と産卵河川周辺の環境についてです

 

各土地所有者、道路管理者、森林管理署、三井物産、王子HD、その他の個人民有林、森林組合等で違いがあり、国有林、三井物産、王子HDなどは独自にイトウ保護と森林施業両立の取り組みをしていますし道路管理者も情報共有を積極的に実施してイトウ生息に配慮した工事、工期を設定しています。

民有林や森林組合等に関しては今後、情報共有などが急務と思っています。

 

取り組みをしている森林保有者の施業でも施業業者との情報共有や管理、そもそも管理者内部での認識不足もあり近年までその取り組みが機能していない事例も発生していました

また過去の施業や工事が現在まで色濃くイトウの産卵環境悪化に影響している可能性も見えてきました…それらの一部を紹介したいと思います

 

森林伐採等の施業は林業を営む上で欠かせないことです、イトウの保護とは逆行している部分もあり、その両立が一番難しい部分でもありますが、河川と工事区間にバッファー(緩衝区)を設ける、イトウの産卵、孵化に影響を与えない工期でイトウへの影響軽減を図っています、

管理者自ら環境保全区を設定して施業をしない区間を設けている場合もあります

 

産卵河川の河畔林消失状況

森林所有者のイトウ保護の取り決めの情報共有や業者への伝達管理不足でこのような事態

なってしまいました

河畔林を伐採、木材集積場を設置、そこから濁水の流入も確認できます

重機が往来するため、集積場や作業道を乾燥させたいため排水溝を作り河川に流します

それを伝って泥水は植生が復活するまで流れ続けます

 

作業道からの土砂流入、濁水とともに泥が河川へ直接流れていきます

この施業は山林所有者自ら保全区を設けその保全区内での施業、

関連企業や施業会社への伝達が不足しこの事態を招いてしまいました

 

ここまでの事例は当会と協議し応急処置、再発防止の情報共有を実施し

現在はこのような事例は発生していません

 

 

河畔林や河川環境の壊滅的な破壊行為

やや古い事例ですが(2010年)とある山林の施業事例

(昔はこれが当たり前だったのでしょう)

恐らく河川法に抵触すると思いますが…

本来はほぼ手つかずの蛇行河川でしたでした、このように河畔林皆伐、

河道を一方に切り替え直線化

排水路とかした産卵河川、蛇行、瀬渕、礫床すべてが失われ…

数年イトウの産卵床は0個に

この様な施業の(過去の)痕跡は随所に確認でき、特に小支流は軒並みこの様な施業で

大きなダメージを受けたと思われます

現在は少しづつですが回復傾向にありますが、抜本的な河川環境回復には人の手が必要だと

思います、

 

昔は北海道産木材の需要が大きく大規模な伐採が行われました、その後も猿払では1970~80年台に大規模な伐採があったようですその当時の名残と影響が今も残っています

 

山の尾根付近、河川源流部まで続く作業道、木材集積場…

一見自然に見えますが樹種と樹齢が均一、笹が突如無くなるのが特徴です

川は直線化され、搬出路、集積場確保のため流れを変えられてしまいました

まっすぐな流れは河床低下を起こし、礫床消失…土砂とともに下流へ流され

瀬渕、礫、産卵、稚魚の生息環境は無くなります

 

この様な軟弱地盤解消や仮設橋の設置も散見され

 

これらが倒壊、閉塞すると、河川は行き場を失い迷走することに…

土砂は溜まりさらに河道は不安定になり、周りの土砂を流し、泥の流下を助長します

(濁りの強い河川はこの事例が多いです)

 

この様な河川は下流側に泥がたまり孵化に悪影響を長期間与える可能性があります

勾配が緩く蛇行した猿払周辺のイトウ産卵河川は泥の排出がなかなか進まず、

特に礫子供給が乏しい河川は影響が大きく長期にわたります

 

この事例は

山間部に設置された巨大な道路…建設が途中で中止になり、

(1980年台後半から2000年台初めの公共事業見直しに該当)

一般的に使われることのない道路…

(これが開通していたら今よりさらにイトウの産卵河川に大きな影響を及ぼしていたことでしょう…)の工事で流入した土砂の影響が今も色濃く残っています

 

道路周辺はかなり泥が流下し影響は薄くなりましたが、1kmほど下流になると

いまもこのような泥堆積が確認され、30年近く経過した現在でも影響が残る

事を物語っています、

 

この様な土砂や流行変更、河畔林の影響はほぼすべてのイトウ産卵河川に見られるものです

その傷がいえている河川もあれば現在でもその影響が認識できる河川も存在します。

 

微力ではありますが、人力で何とかなる規模の河川においては自然再生の試みを試行錯誤しています、

上バーブ工法、施工直後 

下施工後1年 バーブ工法により直線河道に蛇行が生まれます

資材や工事(許可、マンパワー、費用)の面で中々進みませんが、

規模や河川を拡大して進めたいと思っています。

 

この様な小さな自然再生は全国で広がっています

 

因みに隣町の山林施業では河畔林が無いのは当たり前のようです…

川岸に木が一本も無い頓別川水系の支流

希少種が生息する…そのような事情が無いと河川環境への配慮など存在しないのかもしれません

 

希少種の有無ではなく、基本的に河川環境を守る最低限の法律が必要かと思いますが…