現在、7月8月の2ヶ月間と11月から翌年5月31日まで猿払村内でのイトウ釣り自粛を猿払村、猿払イトウの会でお願いしています。

 

ちょっと間隔があきましたが…

 

前回

イトウを取り巻く環境について(その3)河川環境の変化(遡上障壁1) | 猿払イトウの会

に引き続き 

 

ダムによる影響は皆さんご存知かと思います

今回はダム以外の遡上障壁、何度も投稿して紹介していますが

カルバートです…カルバートとは…

道路や鉄道、堤防などの下に埋設された水路やトンネルの構造物

河川の水を流すパイプや箱状の構造物 鉄やコンクリート、形状は丸、楕円、ボックス型等々

 

イトウは河川上流、源流部の比較的狭い空間を利用します

それらは山間部に位置することが多く林道との交差部には橋以外にこのカルバートが設置されることが多く

 

これらのカルバートは河川サイズに適合していないカルバートがほとんど…

(河岸幅では無く、水面幅それも設置時の渇水時の水面幅に合わせている、

高さは林道の高さに合され、河床から離れている場合が多い)

 

増水時に流される流木が間口を塞ぎ、閉塞するとどんどん流下物が堆積し

魚水の通過する隙間もなく、落差も生じてしまいます

 

径3mクラスのカルバートもこのように巨大な流木でふさがることも…

こうなると流石のサクラマスも厳しい…

 

林道の管理は、現在の木材価格の情勢、その費用や人員不足により適正とは言えません

林道が崩落しても中々メンテナンスされず…

現在は施業の予算が付くまで放置されることが多く、十年ほど放置されている箇所も

これらは現在施業の際に大きな問題となっている事が森林管理署主催の会議でも

施業業者から指摘されていました。

 

メンテナンスが何時になるかもわからない現状で、それまで魚類の遡上障壁を

放置する訳にもいかず…カルバート閉塞は上流の過度な土砂堆積や下流の河床低下…

ダムと同じような弊害を引き起こし、閉塞により上流の水位上昇が発生し

さらなる流下物の増加を引き起こします

 

また設置状況により落差が発生するとカルバート自体が障壁となってしまいます

落差を果敢に遡上するアメマス…その先の浅い斜路も遡上を妨げる…

 

または水位が低く泳ぎあがれない事例もボックスカルバートに多く発生しています

この問題は世界各地で発生し、欧米では行政や研究者、NGO等が共同で問題解決に向かっていますが…

カルバート設置の基準を魚類遡上や河川環境、道路維持管理等合わせて考えられていて…

カルバート底面は無い物、あるいは河床に埋没する、カルバート径は(幅、高さ)はその河川の最大増水時を考慮、カルバート横は浸食防止を施す等々…

日本ではまだまだ…そんな気配は微塵もなく…

 

粛々とメンテナンスあるのみ(笑

魚類の遡上環境改善カルバート閉塞物撤去作業No2(イトウ保護活動)Unclogging Culvert Pipes 倍速ビデオ編集

 

魚類の遡上環境改善カルバート閉塞物撤去作業(イトウ保護活動)Unclogging Culvert Pipes TG5タイムラプス - YouTube

 

 

カルバートの設置が適切ではない場合(高い場合)底面が錆び、そこが抜けて

上からの圧迫による底面の突起の発生も問題になりその突起に流木がたまり…

閉塞する、または底抜け部の河床が低下する事例も発生しています

 

 

 

昔の施業に多く存在した木製の工作物、その存在も認識されず、長年遡上障壁となっていた

箇所もありましたが、

撤去や経年劣化により自然と崩落し流れが回復している箇所も多い…

コンクリートや強固な構造物よりはまだましかな??と、これらの崩落によりサクラマスや

アメマスの産卵区間は自然と増え、アメマスの増加に影響しているのでは?と

感じることもありますが(真相はわかりません)

木製工作物の劣化等の情報は土地所有との共有を実施しています。

 

 

これらの情報共有により土地所有者による環境改善作業も実施されるようになっています

 

皆さんから協力いただいているチャリティーステッカーの売り上げで

簡易魚道、嵩上げ工の設置の活動も実施しています。

 

猿払村内に限ってはイトウへの配慮が土地所有や行政、施工業者などに浸透しつつある

様です、

 

ですがこれらも活動の継続が不可欠で抜本的な問題解決にまだ道半ばかと

猿払以外の河川でも同じような事例が発生していると思われ…いったい誰が

これらの事例を解消するのか??イトウとの向き合い方、保護の将来、

この事例は風発の建設予定にも影響し、猿払以外の生息地の重要性が軽んじられる

状態にあります…

 

またこのような事例や現場の状況把握には地道な実地調査が必要です

昨今の、水をくむだけでとか…1千万もする高価なカメラで魚をカウントするなど

研究手法のための調査研究も良いのですが…これらが長年実施されても

イトウが増えた実績はありません…もぅイトウへの脅威は把握され

それらに警鐘をならすだけでは何も変わりません…。

 

保護のための調査や活動が必要で研究者のための調査研究はイトウには

もぅ必要が無いと個人的には思っています。

 

数日プラス気温4月並みの暖かさと強風

融雪が進み春が一歩近づきましたが明日から冬に逆戻りです。