オープンソースの導入・維持コストは思ったより安くは無い | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

オープンソースというと「無償」という、とかく安いイメージが先行するのですが、導入する環境の全体をよく見て決を行わないと、思ったより安くない環境が出来上がってしまいます。


例えば、オープンソースの代表格であるLinuxに商用のパッケージソフトウェアを導入した場合、導入当初はWindows環境で構築するよりも安くできたからいいか」なんて思っていると、その後サーバーが障害に見舞われた際に、その商用パッケージがネックとなって思った以上のコストがかかってしまうことがあります。

その商用パッケージが自分能力でどうにか再構築できるのであれば問題ないかもしれませんが、そうで無い場合、外部のベンダに依頼して再構築してもらう事になってしまいます。

それはWindows環境でも同じでしょという意見は確かに正しいのですが、当初からそのコストを計算しているかどうかの腹積もりの違いで、何かあった際の余計なコストに痛手を受けることになるということです。

「オープンソース=タダ」、なんて事が頭にあるとなお更です。


オープンソースのよさは、その自由さです。

自分たちに力があれば、その環境を無限大に使う事ができる魔法の道具でもあります。

しかし、そうでは無い場合、それは諸刃の剣となります。

安いコストと引き換えに(多少)複雑な管理を行わなければなりませんし、何かあった際の対応は全て自己責任です。


しかし、ブラックボックスでベンダに依存するようなソフトウェアを抱え込むよりは、壊れたらちゃんと責任を持つよということで、その環境を自由に変更することができるオープンソースは、その知識を持っているものにとっては都合の良い代物です。

私は、Linuxサーバーで大きなトラブルがあった場合は、再構築すれば良いやと思っているほうで、割とその自由さが気に入って進んで導入しています。

しかし、その上で商用パッケージを入れてしまうと、その自由さがいっきにしぼんでしまい、商用OSのものと変わらない窮屈さがそこにできてしまう事になります。

自由なものは自由なものと組み合わせて使わないと自由ではなくなる。

白い絵の具に、ほんの少し黒い絵の具を落としただけで、その純白が失われるように。


ただ、もう一つの問題はエンタープライズ分野においては、純粋にオープンソースなものというのは、なかなか入り込む余地が無いということです。

それは、先ほど述べたように自己責任である事が企業側にとっては大きなネックとなるからです。

安定したシステムを稼動させるには、何らかの保障があって欲しいと運用者は思いますし、そういう理由からオープンソースに保守サービスが付いたようなソフトウェアが出回っています。

先ほどのLinuxの話でも、エンタープライズ分野で利用するLinuxはRedHatEnterpriseLinux(RHEL)に代表されるような商用OSとなります。


RHELは、多くのオープンソースのソフトウェアを適切に管理して提供を行ってくれますが、商用のサポートに継続して入っていないと、その恩恵を受けることはできません。

そしてまた、多くの商用パッケージソフトウェアはそのようなエンタープライズ向けのLinuxOS上でしか動作保障を行っていないものもあります。

ですので、「オープンソースで構築すればコストがほとんどかからない」というのは多くの場合は幻想です。


オープンソースを正しく理解して、導入する環境に見合ったものなのか、そしてそれらを保守・管理できる人材はいるのか、その判断を行わないとオープンソースの環境はその秘めたパフォーマンスを発揮する事はできなくなります。