英検1級を圧倒したこの1冊【3】「英語達人塾」 | ひとときのときのひと

ひとときのときのひと

広告業界で鍛えたから、読み応えのある文が書ける。
外資系で英語を再開し、アラカンでも英検1級1発合格。
警備業界にいたから、この国の安全について語りたい。

そんな人間が、ためになる言葉を発信します。
だいたい毎日。



まずは英語から。

 ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習について手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。

 

 自分が数年前、新しい英語学習法を模索している際に、役立った一冊が、この「英語達人塾 極めるための独習法指南」(中公新書)で、著者は斉藤兆史(1958‐)です。

 

 

 本書の特徴は、新渡戸稲造や幣原喜重郎といった、明治維新以後から戦中戦後にかけて活躍した「偉人たち」の英語学習法にあえて範を求めているところです。

 

 試しに幣原喜重郎の例を挙げてみると、彼は。徹底的に英文の暗誦(あんしょう)をたたきこまれることによって、実力を付けたことが明らかになっています。

 

 以下引用してみます。

 

 卓越した英語力を駆使して駐米大使、外務大臣、さらに内閣総理大臣の重責をこなした幣原喜重郎は、若いころ師事した英語の先生に暗誦を仕込まれていた。幣原は、先生が命じるままに毎日、3、4ページ分の英文を覚え、先生の前で暗唱・復習をしたという。

 

 いかがでしょうか。

 

 この3,4ページというのが、何百語くらいあるのかまでは、わかりませんが、それを毎日やるというのだから、相当の量になるでしょう。

 

 非常に原始的と言うか、体育会系的な訓練法と思われるかもしれませんが、自分自身、結局は、というか、いつかは、こんなことをやらないと一段上には登れないのではないかと言う気が、します。

 

 このあたりの個人的体験とそこから得た感慨について詳しくは↓もご一読ください。

 

 もうひとつ、本書で強調されているのが、多くを読むこと、すなわち多読のすすめです。

 

 少しこの先を引用してみます。

 

 多読とは、読んで字のごとく、多くを読むこと。この場合は、名文かどうかなどいちいち考えてはいられない。雑誌だろうが、ペーパーバックだろうが、理解可能な英語で書いてあるものは片っ端から読む。

 新渡戸稲造は、札幌農学校在学当時、「図書館にある書物は片はしから総て読んで了(しま)はうと云ふ、無謀な大野心を起し」て、手当たり次第に読んだ。(中略)

 もちろん、彼らばかりではない。英語達人たちは、修業時代のどこかで例外なく大量の英書を読んでいる。逆に言えば、英書の多読は英語達人になるための必須条件だと言っていい。達人レベルを目指さないまでも。英語の多読なくして高度な英語力の要請はあり得ない。

 

 

 いかがでしょうか。

 

 これ以外にも、現在では忌み嫌われている「丸暗記」も効果の上がる独習法のひとつとして取り上げるなど、最近のスマホアプリなどでマイペースでベンキョ―できる風潮にあえて異論をぶつけているようなところが、これでもかというほど紹介されています。

 

 といって、必ずしも「古いものを見直そう」といった「保守反動的」な視線のみで、書かれているわけでもありません。

 

 しかし、ついつい「ラクして、英語の実力アップできないかなあ~♪」というイマドキの甘ったれた風潮にあえて、このように正々堂々と「まっとうなやり方」をアピールしているところに、「良心」のようなものを普通の人なら感じるのではないでしょうか。

 

 その点で、この本は、まさに筆者を圧倒した一冊と言えます。

 

 以上、あなたの英語学習法や、英会話上達のヒントにしていただければ、幸いに思います。