ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習について手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。
紹介したい一冊は、「わたしの外国語学習法」(筑摩書房)で、著者はロンブ・カトー(1909‐2003)というハンガリー女性です。
この著者も、前回投稿で紹介した種田輝豊と同じく多国語の通訳・翻訳者として活躍した人です。
「14のヨーロッパ系言語と中国語、日本語をほとんど自国を出ることなく見つけてしまった女性」と文庫本の裏表紙に記載されていたので、手に取ってみました。
巻末の訳者(米原万里)解説では、こんな紹介もされていて、余計、好奇心を刺激されました。
以下引用してみます。
特殊な才能? こう決めつけたくなりますが、学生時代の彼女は、必須外国語のドイツ語の成績はビリの方だった。自他ともに外国語音痴を認めていたので、大学も人文系は諦めて理科系に行ったほどだと告白しています。そういった平凡な女性が、学窓を巣立ってからの二十五年に一六外国を身につけていく過程と秘訣をつつみ隠さず公開してくれるこの本は、外国学習において挫折しがちなわたしたちを、必ず目的外国語は身につけられるという楽天主義に感染させてくれます。
そんなこの本の中に、本ブログ読者はさまざまな新鮮な助言や示唆を見つけることができると思います。
自分自身が心動かされたのは、前回紹介したポログリット(多言語所有者)種田輝豊と言葉こそ違え、同様の指摘があったことです。引用してみます。
誤りを直さないままにしておくのは危険です! 間違った型を繰り返すうちに、わたしたちはそれを覚え込んでしまうのです。そして、それを後ではがし取るのは、大変な苦労を要するのです。
いかがでしょうか。
この後、彼女は英国での通訳において、いかに多くの誤訳をしてしまっていたかを告白したり、さる近隣の国における政治指導者の晩餐会スピーチの通訳の際、その指導者から通訳の誤りをその場で適時指摘されたことを「素晴らしいプレゼント」であり、「感謝している」と述べています。
このあたり、日本人にとっては耳が痛いということになるのかもしれません。
というのも、特に日本人の場合、「英語なんかブロークンでもいいじゃん、伝わればさ」といった風潮が少なからずあるからです。
そして、この風潮が、これだけ情報ツールが増えた今も、未だあまり変わっていないようにも思えますが、いかがでしょうか。
自分は、「翻訳や通訳の誤りを初心者の時か常に見過ごしてはならないようにしなければならない」と言う点に思い起こされることがありました。
というのも、20代半ば、」広告の文章やCMの企画を立てる者になろうとしてもがいていたときに、ある先達からこんな言葉を教えられたからです。いわく、
「広告の文章を書いた翌日とかに、ああ、もっとこんな言い方があった、こんな書き方もあったじゃないか、と常に省みるようになること、そしてそれを続けていくことができなければ、本当の広告制作者にはなれないよ」
以上、あなたの英語、英会話上達のヒントにしていただければ、幸いに思います。