2024年2月某日。

久米島空港を飛び立ち、東京への帰路につきます。

(久米島ビール旅の記録はこちら→その1その2その3その4その5

 

久米島ー羽田間の直行便があるのは夏場だけ。今の時期は那覇空港での乗り継ぎが必要です。

せっかく那覇で降りるなら、那覇でもビールを飲みたい!

ということで、短時間だけですが那覇の街に繰り出すことにしました!

 

 

 

憧れの「浮島ブルーイング」を初訪問!

那覇といえば、離島ビール倶楽部として、ずっと行ってみたかったお店があります。

浮島ブルーイングさんです。

 

階段を上がって3階へ。お洒落なエントランス!

 

中に入ると、落ち着いた雰囲気の素敵なタップルームが広がっていました!

 

せっかくなので色んなビールを楽しみたい!

ということで3種のビアテイスティングセットで乾杯!

どのビールもめちゃくちゃ美味しい!

ビールファンなら、那覇に来たら絶対寄るべき名店です!

特に当倶楽部としては一番右側の「久高島ヴァイツェン」に要注目です!

 

 

神の島の麦を使用したビール「久高島ヴァイツェン」

久高島とは、沖縄本島南部の知念岬の沖合に浮かぶ周囲7.8km、人口206人の小さい島。(出典:日本の島ガイド SHIMADAS(発行元:公益財団法人日本離島センター))

琉球の始祖アマミキョが天から舞い降りたとされる聖地であり、”神の島”とも呼ばれ、数ある沖縄の島々の中でも特別な位置づけの島です。

 

そんな久高島産の「ハダカムギ」を使用した特別なヴァイツェン(白ビール)です。

※写真:しま彦が自宅で撮影。自宅に何度も取り寄せて飲んでる大好きなビールです!


ヴァイツェンらしいバナナ系のフルーティな香りに加え、ヨーグルトのように爽やかで透明感のある酸味。苦味は抑えめで、後味には優しい甘味がじんわり広がる。他のどのヴァイツェンとも違う特別な味わいです。

 

ビアテイスティングの量では足りなかったので再注文!何杯でも飲める!

 

こちらが、代表の由利 充翠(ゆり みつあき)さん。

久高島ヴァイツエンの美味しさの秘密を質問したら、「何ででしょうね~?」とおどけつつ、色々な秘密を教えてくれました!

 

久高島は琉球の五穀発祥伝説の地であり、もともと麦の栽培が盛んな島でしたが、近年は全く栽培されなくなっていたそう。

麦栽培を復活させようにも、麦単体ではなかなか値がつきません。そこで浮島ブルーイングが購買して「久米島ヴァイツェン」に加工して付加価値を高めることで、経済活動として成立させ、継続的な麦栽培に貢献しているようです。

 

まちづくりのコンサルティング会社の代表も務める由利さんは、「久高島観光基礎調査委託業務」(2017-2018年、南城市)にも携わり、久高島が直面する人口減少や産業衰退などの課題や、久高島の暮らしそのものの価値を実感したそう。

※写真は久高島でのワークショップの様子。中央が由利さん。(久高島観光基礎調査委託業務報告書より)

 

調査を通して久高島の課題や価値を目の当たりにした由利さん。第三者のコンサルとしてではなく、まちづくりの主体としてできることをやりたいと考えた結果、自ら「久米島ヴァイツェン」を製造・販売するに至りました。

 

浮島ブルーイングのタップルームは2018年7月オープン。久高島ヴァイツェンの発売は同年12月。浮島ブルーイングの定番ビールの中でも、久高島ヴァイツェンは特別な存在です。

※写真:浮島ブルーイング公式HPより

 

 

かつて那覇は「浮島」だった?川の上の「水上店舗」とは?

由利さんの詳しい経歴はこの記事では割愛しますが、路上生活、インド一人旅、ミュージシャンからの大学院(博士課程)、などなど異色の経歴です。

以下の外部記事を読むと、由利さんの経歴や想いを詳しく知ることができます。

 

軽妙なお話が面白くて、飛行機の時間ギリギリまでカウンターで飲んでしまいました。

 

「このタップルームが入っている建物自体も、「水上店舗」という特徴的な建物なんですよ。」と教えてくれた由利さん。

 

正直、その時は酔っていて理解できませんでしたが、あとで航空写真を見てみてびっくり!蛇のように長いコンクリートの長屋でした!なんじゃこりゃ!

※GoogleEarthより

 

かつての那覇は「浮島」と呼ばれる離れ島でした。現在、浮島ブルーイングがある位置(下図の)には、大きな川(入り江)が流れていたそうです。その後、埋め立てが進んで川も細くなり、現在は全長1kmが地下水路化されています。

出典:那覇市歴史博物館の資料を基にしま彦が追記

 

戦後、まだ地下水路化される前には、この川沿い(というか川の上!)に、廃材などを使ってバラックが建てられ、商店街が形成されました。

写真:那覇市歴史博物館より

 

しかし台風や大雨のたびに川が氾濫し、多くの店が水浸しになったそうです。

写真:那覇市歴史博物館より

 

こうした問題を解決するため、川を地下水路化し、その上に頑強なコンクリート造りの長屋「水上店舗」が建てられたのです。

写真:琉球朝日放送より

 

現在はアーケードのおかげで建物全体の姿が見えにくくなっており、那覇に住む人でも「水上店舗」のことを知らない人が多いといいます。

写真:琉球朝日放送より

 

由利さんは商店街の組合長も務めており、「水上店舗」を市の有形文化財にすべく、その歴史や価値を発信する活動をしていらっしゃいます。

写真:琉球朝日放送より


 

最高の那覇の夜に乾杯!

ブルワリー経営だけでも忙しいはずなのに、地域での活動にも精力的な由利さん。

久高島ヴァイツェンからも、水上店舗関連の活動からも、一貫して感じられたのは、地域への愛と、まちづくりの主体として自ら実践したいという情熱でした。

 

そんな由利さんに心からの敬意を表して、記念のツーショット!

 

ちなみにこちらのタップルームは食事もハイセンスで美味しいです!

至福の時間を楽しめました!

 

お帰りの際には、瓶ビールのお土産もお忘れなく!

 

那覇の夜風に吹かれながら、ほろ酔いで歩くのは気持ちいい~!

 

短時間でしたが最高の那覇の夜になりました!

絶対また来るぞ~!(次は1泊したい!)

 

※参考文献

このブログを書くにあたっては、以下の文献も参考にさせていただきました。

日本の島ガイド SHIMADAS(発行元:公益財団法人日本離島センター)

久高のシマ時間(南城市久高区)

これが「神の島」で生まれたクラフトビールだ!聖地の文化とくらしを入れ込んだ「久高島ヴァイツェン」(和樂web)

誕生秘話たどる「水上店舗・ガーブ川商店街」60年の歩み(琉球朝日放送)

 

離島のクラフトビール専門のファンサイト
離島ビール倶楽部 https://islandbeer.net

・全国の離島のクラフトビール情報を配信中!
全国離島ビールMAPも随時更新中!
情報提供&取材協力をお願いします!