2018年(平成30年)4月1日付けの酒税法改正についての補足です。
<過去の関連記事>
・2018年4月からブルワリー開業のハードルが高くなりそうです(酒税法改正)
・2018年4月の酒税法改正でブルワリー開業は本当に難しくなるのか?
上記記事を読んでくださった方から、沢山のコメントをいただきました。
コメントをくださった皆さま、本当にありがとうございます。ブログ継続の励みになっております(^^)
その中には、“2018年4月の酒税法改正後でも、主発酵終了後にドライホッピングをすれば発泡酒扱いになる”ということを教えてくださった方もいました。(Sharkさん、情報提供ありがとうございました!)
これまで僕は、ビール免許よりもハードルの低い発泡酒免許でブルワリーを開業するために、麦芽比率を下げるか、副材料を投入することで「クラフト発泡酒」を製造する方法ばかりを考えていました。
ですので、ドライホッピングをすれば発泡酒扱いになる、という点には全く気が付きませんでした。
これを利用すれば、本格的なIPAを発泡酒免許で作れるかもしれない!ということで詳しく調べてみることにしました(^^)
ところで2018年4月の酒税法改正で、ドライホッピングの扱いはどのように変わったのでしょうか?
その点に関しては、下記の記事が参考になります。
ドライホッピング解禁でフレーバーホップビールの可能性に注目 酒類総合研究所副部門長 日下一尊氏に聞く
同記事には以下のように書かれています。(文中の来年4月というのは2018年4月のことです。)
今回の酒税改革では、将来的にビール・発泡酒・新ジャンルの税率を一本化する酒税改定と、ビールの定義見直しが行われる。海外で広く認められているドライホッピングが来年4月から新たに認められることとなった。
(中略)
今回のビールの定義見直しでは、主発酵が終わった段階でホップを添加して発酵させると、これまで発泡酒となっていたものを、来年4月からはビールとして認めるというものです。
あれ?
ドライホッピングをした場合、これまでは発泡酒扱いだったけど、2018年4月の酒税法改正後はビール扱いになる、ということ??
なんだ。。ガッカリ。。(TT)
しかし、酒税法のどの部分を読むとそのように解釈できるのでしょうか?
酒税法(2018年4月改正)の条項を具体的に見てみましょう。第3条第12項にビールの定義が書かれています。
第3条第12項(ビール)
次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。
イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)
要するに、「イ」、「ロ」、「ハ」のいずれかに該当すればビールだということですね。
このうち、2018年4月の改正で変わった部分は以下のとおりです。
「イ」…従来通り
「ロ」…麦芽比率の変更と副原料の追加が行われた。
「ハ」…新設された条項
これまで「ロ」が変わったことばかりに注目しており、「ハ」が新設されたことを見逃しておりました。
括弧書きが長くて難解ですが、要するに「ハ」は以下のような内容が書かれています。
・ビールの原料として、完成品のビールを使ってよい。
・完成品のビールにホップ等を加えて発酵させたものは、ビールである。
(≒いわゆるドライホッピング(※)をして作ったものもビールとなる)
※酒税法では「ドライホッピング」という言葉は登場せず、定
「ドライホッピング」が、①主発酵中にホップを添加して引き続き発酵させる製法と、②主発酵完了後にホップを添加して発酵させない製法の、どちらを指すのかは、話す人によって異なるので注意が必要です。
ここで注目したいのが、「発酵させたもの」という部分です。
あくまでも、ホップを加えた後に発酵させないとビールとは呼べず、発泡酒扱いになります。
つまり、主発酵完了後のビールにホップを添加し、その後発酵させなければ、それはビールではなく発泡酒となります!
でも、最終的に発泡酒が出来上がるとしても、途中で原料として使う「ビール」って、一度出来上がったビールですよね。
それってビール免許がないと作れないんじゃないですかね…?
そうだとすれば意味がないなぁ(^^;
以上、素人なりに調べてまとめてみましたが、本件は非常に複雑で奥が深い話です。
関係法令の正確な解釈を要する話なので、正確なところは税務署か国税庁に問い合わせることをお勧めします。
※本件記事を書くにあたり、複数の方からご教示・ご協力いただきました。ご迷惑がかかる可能性があるので具体的なお名前は控えさせていただきますが、あらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。
※副原料使用やドライホップ以外にも、麦芽比率を低くする道にも活路がありそうです↓