今日はブルワリー開業のために避けては通れない免許に関するお話しです。
ビールを製造するためには、税務署から免許をもらう必要があります。
調べてみると、免許取得のハードルは想像以上に高いみたい。
どれだけ困難な道のりなのかを、少し真面目にまとめてみたいと思います。
まず免許の種類ですが、ビールが作れるビール免許と、発泡酒が作れる発泡酒免許とがあります。
そもそも、ビールと発泡酒の違いって何でしょうか?
酒税法上、①麦芽使用率と②使用原料の2点から規定されています
・ビール
麦芽を原料の3分の2以上使用し、かつ、政令によって定められた副原料(麦・米・コーン・でんぷん・糖類等)のみを使用して作ったもの。
・発泡酒
麦芽使用率が3分の2未満、または、ビールとしては使用できない原料を使用したもの。
ここで注目したいのは、麦芽比率が高くても、ビールとしては使用できない原料(レモンピール、コリアンダー等々)をちょっとでも使ったら、発泡酒に分類されるという点です。
これまで当ブログで紹介したクラフトビールの中にも、このパターンで発泡酒になっているものが多くあります。
(例えば、常盤野ホワイトエールは、麦芽比率75%以上なのに発泡酒です。)
ちなみに「発泡酒の税率が安い」というのは麦芽使用率50%未満の発泡酒の話であって、麦芽使用率50%以上の場合はビールでも発泡酒でも税率は同じです。
せっかく美味しい「ビール」なのに、美味しくないイメージの発泡酒扱いにされて、税率も安くないというんじゃ、メーカーさんは不本意なんじゃないかと思いきや、あえて発泡酒に分類されるように狙って作っているメーカーさんが多いようです。
なぜなら、ビール免許と発泡酒免許で求められる年間最低製造量が違うからです。
ビール免許を取得するためには、年間60Kリットル以上の製造量が求められます。
一方、発泡酒免許は年間6Kリットル以上の製造量でOKなので、小資本のブルワリーでも発泡酒免許なら取得しやすいのです。
なので、あえてビールとしては使用できない原料を使用して発泡酒を作るブルワリーが多く存在します。
最近設立されたクラフトビールメーカーや最近流行りのブルワリーパブの中には、この裏技的な手法を使っているところも多いみたいです。
発泡酒といえどもビールと遜色ない麦芽使用率なので味はもちろん美味しいですし。
私もこの手法を利用すればブルワリー開業も夢じゃないと思っていたんですが、調べてみると2018年4月に酒税法改正が予定されており、この手法が使えなくなるみたいなんです。
羽田ブルワリーさんによると、2018年4月1日より、酒税法が以下のように改正されます。
(1)麦芽使用率の緩和
現在の3分の2以上よりも緩和され、50%以上ならビール扱いになります。
(2)副原料の緩和
ビールとして使用できる原料が大幅に増えます。
これにより、これまで発泡酒に分類されていた以下のようなものがビール扱いになります。
果実を使った発泡酒
コリアンダーを使った発泡酒
胡椒やサンショウを使った発泡酒
カモミール等のハーブを使った発泡酒
かぼちゃ等の野菜を使った発泡酒
そば・ごまを使った発泡酒
ハチミツ等を使った発泡酒
花・茶 コーヒーを使った発泡酒
牡蠣やこんぶを使った発泡酒
この改正後に発泡酒免許で発泡酒を作ろうと思ったら、
①上記以外の副原料を使用するか、②麦芽50%未満で作るかしかありません。
しかし、考えられるほぼ全ての副原料がビールとして認められてしまうので、①はなかなか困難です。
かといって②で美味しいお酒を作るのも簡単ではないでしょう。
もちろんビール免許を取得してビールを作ればいいのですが、個人の資本力で年間60Kリットル以上のブルワリーを立ち上げるのは・・・。
製造能力だけでなく、予め販路も確保しておかないと免許が下りないそうですし、非常に困難な道のりです。
結論として、今度の酒税法改正により個人でのブルワリー開業は極めて困難になるでしょう。
せっかく夢が膨らんでいたのになぁ(´;ω;`)
まあ、法律はまた変わるかもしれないし、妙案が見つかるかもしれないので、これからもビールの勉強は続けます!
※以下の続報(関連記事)もご覧ください。
・2018年4月の酒税法改正でブルワリー開業は本当に難しくなるのか?
・2018年4月の酒税法改正とドライホッピングの関係を調べました