清瀬市議会議員  石川秀樹のブログ -9ページ目

市議選はパイの奪い合いではない

選挙が終わって10日以上たつのに疲れは増すばかり。

今回に限ったことではなく、私の場合は選挙のあとはいつも6月くらいまで胃のもたれや倦怠感が続く。

緊張がとけたことで疲労がどっと出るのだろう。



 



今回の市議選は定数22名のところ立候補者は23名だった。

「確率95%以上だから落選するはずないよー」とよく言われたが、候補者の側はそういう発想ができない。

 

当選確率95%というのは、「投票率が100%」で「どの候補者も同等の支持を得ている」場合の確率である。

 


 

 

市議選というのは「パイの奪い合いではない」と考える。

今回の選挙は投票率約54%、有効投票数が約31000票であった。

この数字は、各候補者が支持者の票を積み上げた結果の数字であり、各候補者が選挙運動を控えたら、残念ながらとてもこれだけの人が投票所に足を運ぶとは思えない。

 

候補者やその熱心な支持者、そして政党や団体から投票依頼を受けて投票所に足を運んだ人が大多数で、まったく何のつながりもなしに投票に行く人は少数であると思う(私の予測では、この少数者は30%未満ではないかと思う)。

 


 

 

これが市町村議会選挙と他の選挙との違いであり、パイの奪い合いではないことを理解せずに「就職試験よりずっと楽な競争率だ」と思って立候補し苦杯を舐めた人を多く知っている。

 



それにしても選挙の方法はどうにか変えなければならない。

 


 

 

大音響の宣伝車を使ったり、受け手の時間を選ばない投票依頼の電話を繰り返していては、選挙が『迷惑行事』になってしまう。

 

選挙を多くの有権者の意思表示の機会とするためにはやはり80%以上の投票率が必要と考える。

そして80%の投票率であれば、候補者の側の選挙運動も変えてゆかざるを得なくなる。

 

都市部では人間関係の濃い薄いではなく政策選択の選挙に変えていくことができる。

選挙を政策選択のものに変えていくためにも、一部の国で実施しているように義務投票制を導入し、理由なく棄権した場合は罰則を導入すべきと考える。このことはいずれまた記したい。

 

選挙中のエピソード

今回も選挙中に勇気づけられた出来事がいろいろありました。

 


 

 

選挙の最終日、駅前で演説をしていると男性の方に声をかけられました。

 

「これから旅行に出かけるので、あなたに投票しようと思って駅前の期日前投票所に行ったのだが、その会場は昨日までで、今日は閉じられてしまった。ほかにどこか期日前投票できる場所はありませんかね」ということでした。

 

あとは市役所の隣の健康センターしかないことをお伝えすると、うーん、と残念そうな表情をされている。

 

「そのお気持ちをいただき、その分もうひとり得票してくださるよう演説で頑張ります」と我ながらキザなセリフでお答えしたものの、やはり気にかけていただいている様子で立ち止まって考えておられました。

 

そして「いや、やっぱり行ってきます!」とバス停に向かわれました。

 

(自分だったら、そこまでできるだろうか…)と思い胸が詰まりました。

 


 

 

それから30分ほどは、エネルギーをいただいたせいか、この選挙期間中もっとも熱のこもった街頭演説をすることができました。感極まって不覚にも涙で声が詰まってしまったのも、このときの演説です。

 


 

 

選挙は浪花節や泣き落としではいけないと訴えるものの、「私に投票してくれる1票を絶対に無駄にするものか!」という気持ちを支えにしなければとても続けられるものではありません。

 

選挙期間前の冬の朝の街頭演説は正直なところ寒さが身にしみます。そんなときに一声かけてくださると身体の奥からエネルギーがじーんと沸いてくるものです。今回は選挙期間中にそうした「じーん」を何度も感じました。

 


 

 


 

 

それから選挙後に長文のメールを送っていただいた主婦のかたの姿勢にも感激してしまいました。

 

買物の途中で私の演説を耳にして、その内容を評価していただき、その日のうちに期日前投票をしてくださったそうです。買物を済ませて荷物を置き、ふたたび聴きに来ていただいたようですが、私はあちこち移動しながら街頭演説しているのでもう姿を見ることができず、それならwebサイトを開設しているかも知れないと、webで検索していただき、私のサイトを見つけてくださったそうです。知人以外の方にそこまでしていただき1票を投じていただいたことを私は誇りに思っています。

 


 

 

選挙後に田中秀征さんから電話をいただきました。

 

「清瀬の市民は大したものだ」と喜んでくださいました。私でなく清瀬の市民を褒め称えてくださったのが秀征さんらしいと思います。

 


 



 

政治不信が蔓延しているなかで、生半可なことでは信用してもらうことはできないと思っています。選挙が終わってそれでお終いではなく、私に票を投じていただいた方には、今後は私の活動をチェックしていただく立場に立っていただきたいと思います。それが政治家を鍛える方法です。

 

 

 


 

田中秀征さんの推薦文

田中秀征さんは、必ず自筆で推薦文を書くことで有名だ。

政党の幹部クラスの方々の場合、選挙の際の推薦文はある程度の雛形が用意されていて、極端に言え
ば「○○君」の部分の名前を置き換えるものが大半である。

 



しかし秀征さんの場合は候補者の政治理念やプロフィールを必ず読んでから、推薦文を書く。

だから依頼するほうも、生半可な気持ちでは依頼できない。

私の場合、政策立案の最初の関門が田中秀征さんのチェックとなる。



 

そしてもうひとつの実際的な問題として、田中秀征さんに連絡をとるのがなかなか大変なのである。

お世話になっているとはいえ、気軽に電話できるものでもない。

秀征さんを囲む都市政策研究の仲間も同様に困っていたところ、当の秀征さんが、「最近はこれを使っているんだ、便利だよな」と携帯電話を取り出しメールアドレスを教えてくれた。田中秀征さんが携帯メールをやっている姿はなにかユーモラスであるが、おそらく娘さんたちとのコミュニケーションに使われているのだろう。

 


 

 

依頼した推薦文が携帯メールで届くのかと思っていたら、FAXでいつものとおり極太の万年筆で書かれた推薦文が届けられた。額に入れたりしたら秀征さんは嫌がるだろうが、選挙のたびに家宝が増えていくようで嬉しい。

 


 

 

  田中秀征さん(福山大学教授・元経済企画庁長官)の推薦文  

 


 

 

  石川君が市政の場に戻る決意を固めてくれました。

 

  身近な友人として双手を挙げて歓んでいます。

 

  四年間に一市民として体得した問題意識と蓄えたエネルギーに大きな期待を抱かざるを得ません。

 

  それにしても「一回休んで充電する」という彼の決断と、

 

  それを理解する清瀬のみなさんに驚くとともに心から敬意を表します。

 

  多くのみなさんが石川君の改革姿勢に共鳴して駆けつけることを願うばかりです。

 


 

 





 

 

知ってしまった者の責任

「これは、相当に、まずいのではないか…。」

市議会議員に初当選したあと、清瀬市の財政状況を知るにつれ、絶望的な気持ちになっていった。

 


 

 

(1)住民ひとりあたりの税収は武蔵野市の半分にも満たない。

(2) 人件費や借金の返済、毎年必ず必要とされる福祉に費やされ、新しい事業に振り向ける予算がない。

(3)借金の割合が高く、子どもや孫の世代に負担をかける。

 


 

 

上の(1)~(3)は市報によく載る「財政力指数」「経常収支比率」「公債費比率」という財政用語の意味するところである。

 


 

 

借金の額でいえば、清瀬市は266億円の借金に対し、基金の合計は9.1億円しかない。このうち一般の家庭の普通預金にあたる財政調整基金は5.3億である。これを住民ひとりあたりで割ると、36万円の借金に対し普通預金は7200円しかない。とても健全な財政状況とは言えない。

私は、一般の家庭の家計も、国や自治体の財政も、基本的には同じ考え方に立つべきと思っている。自分たちが楽をするために子どもに借金を押し付ける親はどこにもいないのに、国や自治体の財政は次の世代に借金を押し付ける自転車操業に陥っている。

 


 

 

こんな状態のなかで「○○を作ります!」などと新たな借金となるハコモノづくりを提言できるはずがない。

私は予算の減額修正の提言がもっぱらで、障害者福祉と雑木林の公有化の他は、増額要求をあまりしない議員だった。

予算をどう使うかよりも財源をどう確保するかにテーマを絞った。だから行革は当然の課題であった。

「あれもこれも」はとうてい無理であるから「あれかこれか」という選択こそが重要であった。

 


 

 

対象者に一律にばらまいていた敬老金の廃止を提言したら、「孫にささやかでも小遣いをあげたいのに」と文句を言われた。だからこそお孫さんを苦しめる借金の返済に充てさせて欲しい。

 


 

 

日本中の自治体が借金財政に陥っている。国の言うとおりに道路やハコモノを作っていれば、借金をしても最後は国が面倒を見てくれると思っている。「赤信号みんなで渡れば…」をやっているうちに日本中の累積債務が770兆円にも達してしまった。

 


 

 

日本中がこんな財政状態にあることを一般の人は知らない。せめて知ってしまった者の責任として、「ツケを子どもに回すな!」と叫び続けなければならない。
 

 

さいたま市の土井裕之さん ~機能する議会へ~

政務調査費のつかい方など、世間の地方議員に向けられる目は厳しい。また、地方議会の行政に対するチェック機能についても疑問の目が向けられている。
 

 

「地方議会はどうあるべきか」を考えるとき、いつも真っ先に浮かぶのがさいたま市議会議員の土井裕之さんだ。
 

 

合併に反対の立場から浦和市議に当選した土井さんは、合併による議員の在任特例などに反対し市議を辞職する。そして改めて行政と議会の機能と構造の見直しを提言し、次の選挙で返り咲く。
 

 

 

 

 

 

 

政令指定都市になったさいたま市議会は60人以上の大所帯で、政党会派に属していない土井さんは同じ議員でありながら明らかに不利益を被っている。
 

 

彼ほどの人材を使いこなせない議会には外野にいる私のほうが苛立ってしまうのだが、当の本人は議会のあり方に対する見識を深化させ、この分野で間違いなく第一人者になってしまった。
 

 

彼の提言する議会改革をすべて実行すれば必ず地方議会は再生できる。
 

 

 

 

 

 

 

土井さんのホームページ(http://www.doih.net/
)で彼の発言を追ってみれば、(表現が適切かどうか)「筋のいい」良識のある政治家であることがわかる。

 

 

田中秀征さんを囲む都市政策研究会で議論している土井さんはつねに謙虚で、人の話をじっくり聞き、その人の立場を深く理解し、それでいて芯がぶれない。だからこそ彼の言葉は重い。言葉の重みを理解し、言葉で勝負できる政治家である。