【東京美術館・2017】バベルの塔展・ブリューゲルの「バベルの塔」は なぜ傑作なのか? | 芸術家く〜まん843

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**奇想の画家ボス 傑作2点初来日!**
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ブリューゲルの
「バベルの塔」は
なぜ傑作なのか?

***POINT1 ***
想像の巨塔を建てるための
細部にわたるリアルな建設現場

○Point1  circle1
木材で組んだ足場にレンガをはめた後に
足場を崩す当時の建築技法を正確に描写

○Point1  circle2
材料となるレンガと
漆喰を運んだ痕がつく壁面。
持ち上げるクレーンも
当時のものを忠実に描いている
旧約聖書には、
塔の建築素材を
“レンガ”と“タール(tar)”
と書かれており、 
“タール”は
アスファルト、石灰と諸説ある。

○Point1  circle3
正確に描写された船舶。
塔には入港を審査する関所や
内部への引き入れるための水路も。

○Point1  circle4
ガラス板がはめられ、
柱に彫像が置かれた教会と思われる
場所に向かう人の行列。
建設に関わる人々が
塔内で生活していることをうかがわせる。
これらの他にもいくつもの物語が
描かれています。

***POINT2 ***
誰も想像できなかった
壮大な構図

他の画家による
14〜15世紀の「バベルの塔」の作例が
数階建ての塔を建設する人々を描くのに対し
ブリューゲルは
地平線まで見渡すパノラマを背景に、
巨大な塔を画面一杯に配置。
卓抜した想像力によって、
かつて誰も思いつかなかった
壮大なスケールで
伝説の塔を描くことに成功した。
ボイマンス美術館の作品は、 
ブリューゲル自身が
以前に描いた「バベルの塔」より
作品サイズは小さいものの、
画面に対して塔をより大きく、高く描き、 
さらなるスケール感を追求している。

〜現存する油彩画はわずか40点余り〜

16世紀ネーデルラント絵画を代表する巨匠。
版画下絵作家として頭角を現し、
後に油彩画の制作も行った。
油彩画は特に希少で、
現在、真作は40点ほどしか
残されていないとされる。
聖書の物語や人々の暮らしなど、
素朴さの中におかしみや教訓などを
盛り込んだ作品で知られる。

ブリューゲルの最高傑作
24年ぶり奇跡の来日!

奇想の画家ボス 傑作2点初来日!
ネーデルラント伝統の
写実的な描写を駆使しながらも、
現実には存在しない
奇想の世界を描き出したボス。
その強烈な個性は21世紀でも
人々の注目を集めている。
世界に約25点という
希少な現存作品のうち、
今回は2点が初来日する。

○○○ヒエロニムス・ボス○○○
「放浪者」

誘惑に揺れる人間が迫られる
“人生の選択”を描いた一枚

人々の日常を描いた画家の先駆けでもある
ボスが、
行商の旅人を描いた1枚。
旅人は
猫の毛皮、スプーン、靴職人の器具などを
持っていて、
特定の職業についていない。
穴の空いた服、ちぐはぐな靴から、
貧しいことがうかがえる。
屋根の上にある棒に刺さった花瓶、
鳩小屋、白鳥の看板は
娼館であることを暗示している。
暗示的要素にあふれる細部は、
ボス作品の特徴の一つ。
旅人は、
娼館をただ通りすぎているだけか、
すでに立ち寄って浪費したことを
後悔しているところかもしれない。
円形の作品の縁ふちは鏡を連想させ、
鑑賞者は
自分と旅人が重ね合わさった印象を受ける。
すべての人間は人生という旅の途中で、
あらゆる誘惑の前に選択を迫られていることを
暗示させる。

○○○ヒエロニムス・ボス○○○
「聖クリストフォロス」

聖人の物語にちりばめられる
奇想モチーフ

ボス作品によく見られる花瓶が描かれている。
花瓶にはハシゴがかけられ、
注ぎ口から顔を出したこびとが
ランタンを灯台代わりに吊るしている。
猟師に殺された熊。
不吉を表す熊を殺すことで
悪を打ち破ったことを暗示している。
一方で廃墟から顔を出したモンスター。
依然危険な状態が続いていることを
表している。

**ヒエロニムス・ボス (c.1450-1516)**

奇想の画家

終生
オランダ南部の町スヘルトーヘンボスで活動。
ネーデルラント伝統の
写実的な細密描写を生かしつつも、
地獄の情景や
そこに跋扈する妖怪を
想像力豊かに描いた宗教画で、
強烈な個性を発揮した。
その画風は人気を博し、
ネーデルラントを治めた
ブルゴーニュ公フィリップや
続くスペイン国王フェリペ2世らが
熱心に作品を収集した。
2016年、
ボス没後500年を記念して
スヘルトーヘンボスと
マドリッドで大規模巡回展が開催され、
ヨーロッパをはじめ世界中から訪れた
ファンが連日長蛇の列を作った。

**16世紀が熱狂したボス・リバイバル**

ヒエロニムス・ボスの奇想の世界は
当時の人々を魅了し、
死後もその作品の人気が
衰えることはなかった。
16世紀半ばには、
ボスの画風をまねた版画や
絵画が人気を博す「ボス・リバイバル」が
巻き起こった。
これから登場するモンスターは、
すべて当時の画家たちが
ボスの画風を模倣して描いたもの。
これらの版画作品はすべて、
本展で見ることができる。
キモチ悪い?
でも、カワイイ?
そんな奇妙なモンスターたちを
作品の中に見つけるのも
展覧会のもうひとつの楽しみになるだろう。