**奇想の画家ボス 傑作2点初来日!**
ブリューゲルの
「バベルの塔」は
なぜ傑作なのか?
***POINT1 ***
想像の巨塔を建てるための
細部にわたるリアルな建設現場
○Point1 circle1
木材で組んだ足場にレンガをはめた後に
足場を崩す当時の建築技法を正確に描写
○Point1 circle2
材料となるレンガと
漆喰を運んだ痕がつく壁面。
持ち上げるクレーンも
当時のものを忠実に描いている
旧約聖書には、
塔の建築素材を
“レンガ”と“タール(tar)”
と書かれており、
“タール”は
アスファルト、石灰と諸説ある。
○Point1 circle3
正確に描写された船舶。
塔には入港を審査する関所や
内部への引き入れるための水路も。
○Point1 circle4
ガラス板がはめられ、
柱に彫像が置かれた教会と思われる
場所に向かう人の行列。
建設に関わる人々が
塔内で生活していることをうかがわせる。
これらの他にもいくつもの物語が
描かれています。
***POINT2 ***
誰も想像できなかった
壮大な構図
他の画家による
14〜15世紀の「バベルの塔」の作例が
数階建ての塔を建設する人々を描くのに対し
ブリューゲルは
地平線まで見渡すパノラマを背景に、
巨大な塔を画面一杯に配置。
卓抜した想像力によって、
かつて誰も思いつかなかった
壮大なスケールで
伝説の塔を描くことに成功した。
ボイマンス美術館の作品は、
ブリューゲル自身が
以前に描いた「バベルの塔」より
作品サイズは小さいものの、
画面に対して塔をより大きく、高く描き、
さらなるスケール感を追求している。
〜現存する油彩画はわずか40点余り〜
16世紀ネーデルラント絵画を代表する巨匠。
版画下絵作家として頭角を現し、
後に油彩画の制作も行った。
油彩画は特に希少で、
現在、真作は40点ほどしか
残されていないとされる。
聖書の物語や人々の暮らしなど、
素朴さの中におかしみや教訓などを
盛り込んだ作品で知られる。
○ブリューゲルの最高傑作○
24年ぶり奇跡の来日!
奇想の画家ボス 傑作2点初来日!
ネーデルラント伝統の
写実的な描写を駆使しながらも、
現実には存在しない
奇想の世界を描き出したボス。
その強烈な個性は21世紀でも
人々の注目を集めている。
世界に約25点という
希少な現存作品のうち、
今回は2点が初来日する。
○○○ヒエロニムス・ボス○○○
「放浪者」
誘惑に揺れる人間が迫られる
“人生の選択”を描いた一枚
人々の日常を描いた画家の先駆けでもある
ボスが、
行商の旅人を描いた1枚。
旅人は
猫の毛皮、スプーン、靴職人の器具などを
持っていて、
特定の職業についていない。
穴の空いた服、ちぐはぐな靴から、
貧しいことがうかがえる。
屋根の上にある棒に刺さった花瓶、
鳩小屋、白鳥の看板は
娼館であることを暗示している。
暗示的要素にあふれる細部は、
ボス作品の特徴の一つ。
旅人は、
娼館をただ通りすぎているだけか、
すでに立ち寄って浪費したことを
後悔しているところかもしれない。
円形の作品の縁ふちは鏡を連想させ、
鑑賞者は
自分と旅人が重ね合わさった印象を受ける。
すべての人間は人生という旅の途中で、
あらゆる誘惑の前に選択を迫られていることを
暗示させる。
○○○ヒエロニムス・ボス○○○
「聖クリストフォロス」
聖人の物語にちりばめられる
奇想モチーフ
ボス作品によく見られる花瓶が描かれている。
花瓶にはハシゴがかけられ、
注ぎ口から顔を出したこびとが
ランタンを灯台代わりに吊るしている。
猟師に殺された熊。
不吉を表す熊を殺すことで
悪を打ち破ったことを暗示している。
一方で廃墟から顔を出したモンスター。
依然危険な状態が続いていることを
表している。
**ヒエロニムス・ボス (c.1450-1516)**
「奇想の画家」
終生
オランダ南部の町スヘルトーヘンボスで活動。
ネーデルラント伝統の
写実的な細密描写を生かしつつも、
地獄の情景や
そこに跋扈する妖怪を
想像力豊かに描いた宗教画で、
強烈な個性を発揮した。
その画風は人気を博し、
ネーデルラントを治めた
ブルゴーニュ公フィリップや
続くスペイン国王フェリペ2世らが
熱心に作品を収集した。
2016年、
ボス没後500年を記念して
スヘルトーヘンボスと
マドリッドで大規模巡回展が開催され、
ヨーロッパをはじめ世界中から訪れた
ファンが連日長蛇の列を作った。
**16世紀が熱狂したボス・リバイバル**
ヒエロニムス・ボスの奇想の世界は
当時の人々を魅了し、
死後もその作品の人気が
衰えることはなかった。
16世紀半ばには、
ボスの画風をまねた版画や
絵画が人気を博す「ボス・リバイバル」が
巻き起こった。
これから登場するモンスターは、
すべて当時の画家たちが
ボスの画風を模倣して描いたもの。
これらの版画作品はすべて、
本展で見ることができる。
キモチ悪い?
でも、カワイイ?
そんな奇妙なモンスターたちを
作品の中に見つけるのも
展覧会のもうひとつの楽しみになるだろう。