運転手は何故、左折を断念したのか? 【京急列車衝突脱線事故】 | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

【続報注意】

 本記事は推定で再現したものだが、続報で修正した。

 最新記事を更新したのでそちらを読まれたい。

https://ameblo.jp/ishibashi-kantei/entry-12521528432.html

 

<経過として一応掲載を続ける。>

 

昨日、京急踏切でトラックと列車の衝突事故が起きた。
狭路と広路の交わる交差点で大型トラックが旋回できず立ち往生した事が端緒である。
とりあえず、トラックの寸法を全長11.81m、軸距6.470mの前提で旋回軌跡を再編した。

現時点ではトラックの詳細が分からないので取りあえず下記のトラックで検証しよう。
なお、検証車の最小旋回半径は9.9mである。

事故現場での旋回状態についてシミュレートしてみた。

 

【旋回理論】
 作図理論については、旧建設省の「旋回軌跡による偶角部の設計について」を用いた。
            ※ (土木研究所資料 昭和54年1月 旧建設省土木研究所道路部道路研究室)
 約40年前の考え方だが、車両の基本構造に変化はなく現在でも使用されている。
 主な用途は道路の偶角の設計時に用いるものだ。
 また、仮設道路の設計で、大型貨物車の通過の可否の検討にも用いる。

【左旋回は可能だった】
 このトラックの場合、車体を交差点より約11m前進させて左旋回すれば旋回は可能だった。
 旋回時に緑色に着色された歩道部まで巻き込んでの左折であるが原理的には可能である。
 勿論、標識柱などをなぎ倒すこともない。


 他方、同条件で右折すると、車体前部はやや線路にはみ出すこととなってしまう。
 つまり、複数回の切り返しを余儀なくされることとなる。
 下掲図で赤の太線で示した部位 (右30度) は、切り返し決断地点だ。
 いわゆる、立ち往生という現象が発生する。


【何故左折を断念したか】
 ここで、左折可能であるにも関わらずなぜ左折を断念したのかについて考察する。
 左折方向は、踏切と踏切に阻まれた、僅か30m程度の狭い区間だ。
 おそらく、歩行者や別の通行車両でごった返していたと推定できる。
 また、左折時にはほぼほぼ、進行方向と逆車線にはみ出してしまう。
 そのため、左折を断念し、右折したと推察する。


【ミスの連鎖】
 運転手は通常のルートではない路線を通っている。

 恐らく、道を間違え、この場所に迷い込んだのであろう。

 また、旋回可能な左折を断念し、右折という最悪の選択をしてしまった。

 幾つものミスが連鎖的に生じ、本件事故に至ったものと推察する。

 恐らく、運転手はパニック状態で冷静な判断が出来ない状態だったのであろう。

 実は、生真面目な人ほどパニック状態に陥りやすい。

 逆にいい加減な人間ほど、パニックにはなりにくい。

 生真面目な人は、他人様に迷惑を掛けてはいけないという念が強い。

 その念がければ強いほど自分で対処しようとする。

 しかし、この場合、110番して立ち往生した旨を警察に申し出れば事故には至らなかった。

 お目玉は食らうが、違反切符が切られることはないだろう。

 自分の容量を超えたときは、直ちに救援を求めること・・・・

 これが更なる迷惑を回避するために知恵だ。

 

 

 
 

 

FAL