交通事故鑑定人の華麗なる内職 | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

最近、何かと話題に欠かない交通事故鑑定人であるが、実は仕事が減っている。
そもそも、人口減少や自動ブレーキの普及で交通事故自体が減った。
さらに忘れてはならないのがドライブレコーダ。
車載カメラの搭載率は40%越えだ。
二台以上が絡む事故だと、80%の事故は動画記録されていることになる。
この数値は、交通事故鑑定の需要が原理的に8割減ったことに他ならない。
弊所の場合は、交通事故だけでなく画像解析やその他事件などの業務も担っている。
画像解析分野は防犯カメラの増加で逆に需要が激増し、業務の割合は交通事故を越えた。

ちなみに、2019年の受託件数は約80件であるが交通事故は10件程度。

10年前と完全に逆転した。
防犯カメラにまつわる業務がなければ弊社FALは完全に詰んでいるだろう。
また、かなり減った交通事故の依頼も約7割以上が事故を捉えた映像の分析だ。
映像の分析=交通事故鑑定 となる日はそう遠くない。
昭和に用いられた鑑定手法が平成に入り時代遅れになった事は以前にも述べた。
https://ameblo.jp/ishibashi-kantei/entry-12492493188.html
しかし、平成の鑑定技術が令和に入ってロストテクノロジー化しつつある。
令和の時代はCGによる再現と画像解析が鑑定の中心となるであろう。


そんな趨勢の中、最も打撃を受けているのが保険会社から、禄を食んでいた鑑定人等である。
現に、科捜研出身の大御所ですら損保から切られて新たな仕官先を探す有様。・・・・

この流れに順応できない鑑定人は仕官先から切られ、浪人となるほかない。

と、ココまでのお話は、仕官先(保険会社)があるお侍様のお話。
特定の仕官先を持たない野良(町人)の鑑定人はしぶとい。
何だかんだで、副業(内職)をしながら生き延びている。
かくいう私も、交通事故鑑定という見地からすれば防犯カメラ解析は完全な内職だ。
他の鑑定人も、テレビ等での事故解説から、カメラマン等々・・・

特に、分刻みでテレビ局を駆け回る事故解説者(事故芸人)は、鑑定人の花形副業である。

元祖事故芸人の私が言うのは何だが、実はこの仕事は派手に見えて結構しんどい。

全国各地の現場巡りから、打ち合わせ、会議、更には局からの連夜の接待・・・・

また、ロケで出る食事はみんな高カロリー・・・血圧・コレステロール、検査のたびに青ざめる。

40代後半の私は、事故芸人と鑑定人の二足の草鞋であったが、よく働いたと自分でも思う。

このままでは命に関わると思い、50歳で引退した。

ただし、そんな花形副業に全ての鑑定人が恵まれる訳ではない。

ネット通販・鰐(ワニ)の養殖・怪しげなツアーコンダクターまで・・・・
同業者ながら、そのセコく逞しい右斜め上の生き様にはいつも驚かされる。